2022.06.11 診療コラム

お口の中には細菌が沢山

こんにちは歯科衛生士の松本です。

みなさんはお口の中の細菌についてご存知ですか???

口の中の汚れや細菌は、唾液のもつ自浄作用によって洗い流されますが、加齢によって唾液の分泌量が減ることで、さらに細菌が定着しやすくなります。
口の中の細菌には、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌など、全身疾患の原因菌も含まれていて、免疫力の低下とともに増殖し、病気を引き起こすこともあります。お口の中には様々な微生物が生息しています。
500から700種類の細菌が少ない人でも1,000億以上生息し、歯面、歯周ポケット、唾液、舌の表面などそれぞれの部位に特徴的な細菌集団を形成しています。その菌は歯垢1gあたりだと糞便1gあたりより多いことが分かっています。
菌があることが悪いことではなく、菌の数をコントロール出来ているか、自身の口にはどんな菌が多いのかを知ることが大切になります。細菌の形は球菌(球状のもの)や桿菌(棒状のもの)などさまざまな形態をしており、お口の中の様々な場所で活動しています。
むし歯に関わる菌むし歯に関わる代表菌種 としては下の3種の細菌がよく知られています。

それぞれの菌がそれぞれの特徴を持ち、助け合いながらむし歯を進行していきます。
ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)グラム陽性で通性嫌気性のレンサ球菌の一種。元々お口の中にいる菌ではなく食器やキス、お箸やスプーンなどの使い回しによって口腔内に入ってくる菌です。むし歯菌とは多くの場合、このミュータンス菌を指すことが多くあります。ストレプトコッカス・ソブリナスグラム陽性で通性嫌気性の連鎖球菌。ミュータンス菌が歯に付着・定着するための不溶性グルカンを作成し、う蝕原性バイオフィルムの成熟を手伝っています。比較的近年に発見されたむし歯菌で、酸性の環境下や、酸素や糖が全くない飢餓状態でも酸を作ることができる強い菌。
ラクトバチルス(Lactobacillus)グラム陽性の通性嫌気性または微好気性、桿菌、非芽胞形成性の真正細菌。乳酸菌群の大部分を占める菌で、う蝕検査という唾液中のむし歯の検査に使われてきた菌。むし歯の原因菌というよりは、むし歯の進行を手伝っている菌と言える。むし歯に最も関与していると言われるミュータンス菌は、日頃私たちが食べている食べ物の糖分を餌として活発になります。「甘いものを食べるとむし歯になる」というのはこのミュータンス菌の特徴から来ています。しかもその糖分を接着剤代わりにして歯の表面に付着し、そして餌にした糖分から酸を産生し、歯を溶かしていきます。私達が「むし歯」と呼んでいるのはこの状態です。それぞれの役割としては、ミュータンス菌がむし歯の原因となり、ソブリナス菌が住処をどんどん広げてミュータンス菌を住まわせ、ラクトバチルス菌が出来たむし歯を大きくするお手伝いをしているということです。ミュータンス菌の5つの血清型におけるホスホエノールピルビン酸依存性スクロースホスホトランスフェラーゼ活性。

歯周病に関わる菌ちなみに歯周病の原因として有名なのは、以下の3つです。細菌の形は球菌(球状のもの)や桿菌(棒状のもの)などさまざまな形態をしており、お口の中の様々な場所で活動しています。歯に付着する歯垢の中にいる代表菌種 としては下の3種の細菌がよく知られています。
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivaliss)非運動性のグラム陰性偏性嫌気性。慢性歯周炎に関わる最重要細菌と言われている他、上部消化管、気道、結腸にも生息している。むし歯菌とは多くの場合、このミュータンス菌を指すことが多くあります。
トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)嫌気性のグラム陰性菌で、らせん状の形で錐揉み運動をしている。重度歯周炎の病巣からの検出頻度が高いとされており、この菌が免疫抑制作用に関わっているともいわれています。
タネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)グラム陰性偏性嫌気性細菌。、基本的に酸素のないところを好む通性嫌気性菌。歯周病の原因となる細菌で、ジンジバリス菌・デンティコラ菌と共に歯周病を増悪することが報告されている。上の3つの菌はポルフィロモナス・ジンジバリスを中心に、歯周病の病原菌のグループとしてお口の環境を悪くしていきます。これらの細菌が好むのは歯ぐきからの出血、血液です。つまり歯周病が悪化し、出血が状態化するとこれらの菌がますます元気になっていくということになります。歯周病の悪化を止めるということは、これらの菌のコントロールをするということです。これら3つの菌の住処は歯周ポケットという歯と歯肉の間の溝です。酸素が苦手なこのグループはどんどん奥の酸素が少ないところを目指します。これを止めるには、餌となる血液を菌に与えず、住処をなくす必要があります。それにはまず毎日の歯磨き、それと歯科医院による専門的なクリーニングが必要です。歯周病とは即ち「菌」との戦いです。菌の生息方法を知り、その戦い方を知れば、どうすべきかは見えてきます。この菌が活動しているかも?と思ったら、まずは歯周ポケットの深さを図るところから始めましょう。

Instagram

view more