2022.06.09 診療コラム

糖尿病と歯周病の関係

こんにちは、歯科衛生士の伊藤です。
皆様、糖尿病と歯周病は深い関わりがあるのはご存知ですか?
「歯周病はお口の中だけの病気でしょ?」
そう思われている方も多いのではないでしょうか。
実は歯周病は全身疾患と深い関わりがあり、その中の1つの疾患が「糖尿病」です。
糖尿病の方は、そうでない方と比べて歯周病になりやすいこともわかっています。
糖尿病のコントロールがよくない場合や罹病期間が長い場合には歯周病の進行が速く、早期に重症化しやすいと言われています。
本日は、糖尿病と歯周病の関係についてご説明します。

歯周病が原因で糖尿病が悪化する可能性も。。

歯周病は、歯周病原菌の感染により歯茎に炎症が起きる病気です。
初めは歯茎の腫れや出血の症状が起き、治療しないまま進行すると歯を支える組織を破壊し、歯を失うリスクとなります。
歯周病菌により炎症が起きると、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が作り出されます。
「炎症性サイトカイン」は血流にのって全身をめぐります。
炎症が起きている場所に作用し、炎症反応を強めることが本来の役割ですが、同時に血糖値を下げるインスリンの働きを弱める作用ももっています。
そのため、治療をしている糖尿病患者さんでも、歯周病が原因で血糖コントロールがうまくいかなくなり、糖尿病を悪化させる原因となる可能性があります。

糖尿病が原因で歯周病になる可能性も。。

歯周ポケット周辺では、歯肉や顎の骨などの歯周組織を破壊しようと攻撃する歯周病菌とそれを何とか修復しようとする働き (免疫力)とのせめぎあいが起こっています。
糖尿病で高血糖状態になるとお口の中では、、
①お口が乾燥する
②唾液などの糖分濃度が高くなる
③歯肉の毛細血管の血流が悪化して細菌に対する抵抗力が低下する
④組織の修復力が低下する
といった変化が起こります。
つまり糖尿病により、お口の中は歯周病菌にとってはとても生息しやすい環境になり、体の方は免疫力を弱められた状態になります。

・歯周病→糖尿病
インスリンの働きを弱める・歯を失い食生活が偏る

・糖尿病→歯周病
免疫力の低下・唾液分泌の低下から菌が増殖

このように、歯周病と糖尿病は相互的に悪影響をもたらします。
歯周病は糖尿病に限らず全身疾患との関連性が様々な研究によりわかってきています。
「歯周病はお口の中だけの病気でしょ?」と思い込むのはとても危険です。
もう何年も歯医者に通っていない。。という方ぜひお気軽にご受診ください。
当院の歯科衛生士が詳しく歯周病について説明させて頂きます。
今から歯周病の治療を始めても遅くありません!
これから歯の健康と全身の健康を維持していく為に一度ご受診下さい。

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