2022.06.08 診療コラム

熱いものがしみる原因とは?

こんにちは。歯科衛生士の八田です。
皆様は普段歯がしみる症状はございませんか?
歯がしみる症状は冷たいものだけでなく、熱いものでも起こる場合がございます。
例え一瞬でも歯がしみるのは辛いですし、その時は歯がしみるどころか痛むこともあります。もちろんそれには原因があり、歯に何らかの異常が起こっていることは間違いありません。そこで、本日は「熱いものがしみる」時に考えられる原因について説明します。

虫歯

「虫歯=歯が痛い」の症状のイメージですが、それだけでなく熱いものもしみるようになります。これは歯が痛いことに関係しており、そもそも虫歯で歯が痛むのは虫歯が象牙質まで進行したためです。象牙質はエナメル質に保護された歯の表面とは違って刺激に対して非常に敏感です。
虫歯が象牙質まで進行したということは、虫歯の穴が象牙質まであいていることになります。ですから熱いものを飲食すればその熱さが象牙質に届いてしまい、それが刺激となってしみますし、熱いものだけでなく冷たいものもしみるようになります。

歯周病

歯周病は初期段階では歯肉に炎症が起こり、この時点で痛みやしみは一切感じません。しかし進行すると歯槽骨が溶かされてしまい、それに合わせて歯肉退縮が起こります。そして、この歯肉退縮が熱いものがしみるという状態に関係してきます。
歯肉退縮が起こると文字どおり歯肉が退縮するため、歯肉全体の高さが下がります。そして、歯肉が下がることで本来歯肉に埋まっていた歯の根が露出してしまいます。露出した歯の根は象牙質が剥き出しの状態ですから、熱いものや冷たいものでしみてしまうのです。

知覚過敏

知覚過敏になると熱いものを飲食した時に一瞬「ピリッ」としみた感覚を受けます。知覚過敏の原因は様々で、例えば上記で挙げた虫歯や歯周病によっても起こりますし、確実に言えるのは何らかの理由でエナメル質が破損しているということです。
ちなみに、他の原因としては「強い歯磨きのしすぎでエナメル質が傷ついている」、「歯ぎしりや食いしばりなどの癖でエナメル質が傷ついている」なども考えられます。エナメル質が傷ついた箇所は象牙質が剥き出しになり、そのため熱いものや冷たいものでしみてしまいます。

歯髄炎

聞き慣れない病気だと思いますが、歯髄炎とは歯髄の炎症…すなわち歯の神経が炎症を起こす病気です。重度の虫歯や歯周病によって起こることがありますが、それだけでなく歯が割れるなど外傷的な原因によって起こることもあります。
歯髄炎になると痛み、それも激痛と言えるほどの痛みを感じるのが特徴ですが、熱いものがしみるのは歯髄炎の初期症状に該当します。この初期症状で治療しないと、前述したとおり激痛を感じるほど進行してしまいます。

歯科治療の影響

歯科治療の影響によって熱いものがしみる場合もあり、特に可能性が高いのは根管治療です。根管治療とは、歯の根の根管内の清掃や消毒をするための治療であり、根管内の形状は人によって異なり、さらに歯科医も目で見て治療することができません。
このため治療の難易度が高く、歯科医の腕によっては細菌を取り逃してしまうこともあります。そうなると根管内に細菌が残ったままになりますし、さらに根管内は封をしてしまうため、治療後に痛んだり熱いものがしみたりするなどの症状が起こります。

熱いものがしみるのは危険な症状

熱いものがしみるというだけでその原因は特定できないものの、どの原因であったとしても深刻で危険な症状にあることに間違いありません。虫歯や歯周病が原因の場合は既にこれらの病気が進行していることになります。
さらに、歯髄炎が原因でなおかつ虫歯や歯周病によって歯髄炎が起こっている場合、これらの病気は重度段階まで進行していることになります。このため、熱いものがしみるのは危険な症状と認識して、早く歯科医院に行って診察を受けましょう。

まとめ

いかがでしたか?
これら6つのことから、熱いもので歯がしみることについて分かります。お口に病気などの問題が起こっている場合、何らかの自覚症状があります。そして、熱いものがしみるのもそんな自覚症状の一つです。
さらに言えるのが、熱いものがしみるのは自覚症状の中でも深刻なものであり、虫歯や歯周病が原因だとすれば、その虫歯や歯周病は進行していることになります。ですから、熱いものがしみる自覚症状があった場合、できるだけ早く歯科医院に行きましょう。
些細なことでも構いません。いつでもお気軽にご相談ください。

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