2025.05.17 診療コラム

夏に増える子どもの“歯の外傷”に備えるには?

折れた、抜けた、その瞬間にできること
こんにちは、歯科衛生士 本間です。

汗ばむ陽気に誘われて外遊びやプール、お祭りなどアクティブなシーンが増えるこの季節になってきましたね。
お子さまの笑顔がいっそうまぶしく感じられる反面、増えてくるのが「歯の外傷」です。

「転んで前歯が欠けた」
「顔をぶつけて歯がグラグラしている」
「乳歯が抜け落ちたけど、大丈夫…?」

その瞬間、親御さんの頭をよぎるのはきっと「どうしよう!?」という不安。
でも大丈夫です!正しい知識と冷静な対応が未来の歯を守ることができます。

子どもの歯の外傷が多い“夏”

外傷とは、転倒やぶつかった衝撃によって歯や歯ぐきにダメージを受けることです。
実は、1年の中で最も「歯のケガ」が多いのが夏休み前後だと言われています。

特に多いシーンは…

  • 公園やアスレチックでの転倒
  • プールでの滑りや衝突
  • 自転車やキックボードの事故
  • 室内での兄弟げんかやじゃれあい

など、ほんの数秒の油断が歯の一生に関わることもあるのです。

こんなとき、どうする? すぐに役立つ初期対応

外傷を受けた直後は、見た目以上に内部が損傷している可能性もあります。
以下は、すぐに役立つ初期対応のポイントです。

▶ 歯が「欠けた」「折れた」場合

  • 欠けた歯のかけらが見つかれば、乾燥させないようにして持参してください。
  • 牛乳や生理食塩水、なければラップに包んで歯科医院へ。
  • 冷やしておくと痛みや腫れの軽減に。濡らしたタオルがおすすめです!

→ 欠け方によっては、元の歯片を使って接着できる場合もあります。

▶ 歯が「グラグラしている」「動いている」場合

  • 無理に触らず、そのままに。
  • 歯を固定することで保存できる可能性があるため、早めの受診が大切です。

→ 応急処置として、歯科医院で固定装置を装着し経過を観察します。

▶ 歯が「抜けた」場合

  • 抜けた歯は、根っこを触らないように。
  • 洗わずに、牛乳や歯の保存液に入れて保存。
  • 可能であれば、30分以内に歯科医院へ!

→ 条件が揃えば、「再植(元に戻す)」という処置ができる可能性があります。

乳歯でも油断しないで!

「どうせ抜ける歯だから…」と乳歯のケガを軽く考えてしまいがちですが、乳歯の外傷は永久歯にまで影響を与えることがあります。

乳歯の根のすぐ下には、これから生える永久歯の芽(歯胚)が控えており、
強い衝撃を受けるとその発育や位置に影響が出ることも。

違和感がなくても必ず歯科医院でチェックを受けましょう。

応急対応だけじゃない。「予防」もできる?

外傷は予測不能なもの…とはいえ、実はある程度の“予防”も可能です。

▶ 外遊びやスポーツ時の注意点

  • 自転車やキックボードには、ヘルメット&口元のガードを。
  • 人と接触しやすいスポーツでは、マウスガードの装着も有効です。
  • 滑りやすいプールサイド、浴室でのはしゃぎすぎにも要注意。

▶ 家庭内の“危険ポイント”をチェック

  • フローリングの滑りやすさ
  • テーブルや角の多い家具
  • 段差のある場所や階段

ちょっとした工夫で、「ケガをしにくい家」に近づけることができます。

その後のケアも、大切です

歯の外傷は、見た目や痛みが落ち着いたからといって安心はできません。

  • 数週間〜数ヶ月後に、神経が死んでしまうこともある
  • 歯の色が徐々に変わる、歯ぐきが腫れるなどの遅発的な症状が出ることも

THE DENTALでは、外傷後の経過観察を丁寧に行い、
将来的なトラブルを未然に防ぐサポートを大切にしています。

最後に:備えあれば、安心です

“歯のケガ”は、いつ起こるかわからないからこそ、知っておくだけで「いざという時」に冷静な判断と行動ができます。

そして、何よりも大切なのはケガを未然に防ぐ意識です。
安全な遊びの環境、しっかりした準備そして日頃からの歯のチェック。

この夏お子さまが元気に遊び、思いきり笑えるように。
私たちもそのサポートができればと思っています。

何か気になることがありましたら、いつでもご相談ください。
THE DENTALは、治療だけでなく「守る」歯科として、皆さまの暮らしに寄り添ってまいります。

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