JOURNAL
急に歯が折れた!そんな時

皆さま、こんにちは!
歯科助手の伊東です。
今回はお電話でよく聞く「歯が折れた!」についてご紹介いたします。
何をして折れたのか、治療はどういったことをするのか、
普段じゃあまりない経験だからこそ緊急事態に役立つ知識をお話しいたします。
ある日、ふとした拍子に「パキッ」と音がした。グラスにぶつけた前歯。転んでしまった子どもの歯。硬いおせんべいを噛んだときの奥歯。
——まさか、自分の歯が折れるなんて。
そんなふうに、ある日突然起こる“歯のトラブル”。「歯が折れた」と聞くと、すぐに抜歯やインプラントといった治療を想像される方も多いかもしれません。でも、どうか慌てないでください。歯は“折れてからの行動”次第で、その未来が大きく変わるのです。
今回は、「歯が折れたとき、何をすればいいのか?」「どんな治療があるのか?」を、THE DENTALの視点でご紹介します。
まずは、落ち着いて。応急処置の3ステップ
① 折れた部分を探して、乾燥させない
小さな破片でも、折れた歯の一部はできる限り水に浸ける。乾燥はNGです!
その理由は、歯の表面の細胞や象牙質が乾燥でダメージを受けやすいからです。
特に神経が見えているような大きな破折では、再接着によって自然な見た目を取り戻せる可能性もあります。
② 出血している場合は、清潔なガーゼで圧迫
出血していれば、清潔なガーゼやティッシュで10分程度、しっかり圧迫します。無理に触ったり洗いすぎると、余計に出血が長引くこともあるので注意してください。
③ 痛みが強い場合は、応急的に鎮痛剤を
ズキズキと痛む場合は、市販の鎮痛薬(ロキソニン、イブなど)を服用しても構いません。ただし、空腹時の服用は避け、薬の使用は応急処置であることを忘れずに。できるだけ早めの受診が必須です。
歯の折れ方で変わる「治療の選択肢」
歯の破折には、大きく分けて以下のタイプがあります。
● エナメル質だけが欠けた場合(軽度)
前歯の角が少し欠けた、奥歯の一部が欠けたなどのケースです。
この場合はコンポジットレジンという樹脂で、自然な形と色合いに修復できることがほとんど。治療時間も短く、1回で終わることもあります。
● 象牙質まで達する中等度の破折
歯の中層まで達していると、冷たいものにしみたり、痛みが出ることがあります。この場合もレジン修復や、場合によってはセラミックインレー・クラウンなどを用いた治療が必要になります。
● 神経(歯髄)まで到達する重度の破折
赤く神経が見えていたり、ズキズキとした強い痛みがある場合は、神経の治療(根管治療)が必要です。その後、歯全体を被せ物で補強していくケースが多いです。
● 歯根まで割れてしまった場合
歯の根の部分に達している場合は、抜歯が必要になることもあります。ただし、歯科用CTなどの精密な診断をもとに、分割抜歯や部分補綴で残せることもありますので、まずは正確な診断が重要です。
折れた歯を「守る」日常の工夫
歯が折れる理由はさまざまですが、共通するのは「突発的な力」と「慢性的な負荷」です。
● 食生活と噛みグセに気をつけて
硬い氷、ナッツ、フランスパンなどの“歯に負担が大きい食べ物”は、意外とリスクが高いもの。さらに、いつも同じ場所で噛んでいると、特定の歯に疲労がたまります。
● 歯ぎしり・食いしばりがある方は要注意
特に夜間の歯ぎしりは、自分では気づかないうちに歯に大きなダメージを与えます。マウスピースでのナイトガードは、歯を守る有効な手段のひとつです。
歯を失わないために、「早く診せる」という選択
当院には、転んで前歯が折れた小学生や、硬い煎餅で奥歯が割れたシニアの方など、さまざまな患者様が来院されます。
その中でいつも思うのは、「早く来てくださって本当によかった」ということ。
歯は、放っておいて良くなることはほとんどありません。特に折れた歯は、放置すればするほど、感染や破折の進行が起こりやすくなります。
最後に:その1本の歯に、未来はまだある
「歯が折れた」と聞くと、ショックで気持ちも沈んでしまうかもしれません。
でも今は歯科医療の進歩により、歯を残せる可能性が高まっている時代です。正しい知識と、素早い対応。そして信頼できる歯科医院へ。
THE DENTALでは、見た目だけでなく、その歯のこれからを一緒に考える治療を心がけています。
——その1本の歯を、あきらめないでください。
私たちが、できるかぎりの方法でサポートします。