JOURNAL
スポーツドリンクと虫歯の危険な関係
みなさんこんにちは。歯科衛生士の本間です。
汗ばむ陽気が続き、街にはTシャツ姿の子どもたちがあふれる季節になりましたね。
水分補給が欠かせないこの時期、よく耳にするのが「熱中症対策にはスポーツドリンクがいいって聞いたんですけど…」という声。
確かに、スポーツドリンクは体内の水分やミネラルを素早く補うためにはとても優秀です。
でも実は、その裏側に“虫歯”という大きなリスクが潜んでいることを知っていますか?
今回は、夏場の水分補給にまつわる“お口の落とし穴”について歯科の視点からやさしく解説していきます。
スポーツドリンク=体にいい、は本当?
まず大前提として、スポーツドリンクは「悪者」ではありません。炎天下での運動や、大量の汗をかいた後のミネラル補給にはとても効果的です。
特に、小さなお子さまや高齢者は体温調節が苦手なため、命を守る飲み物としても活躍しています。
問題なのは、その成分です。
▼ スポーツドリンクの主な成分は…
- 水
- ナトリウム(塩分)
- カリウムやマグネシウムなどの電解質
- 砂糖(糖類)
- クエン酸(酸)
つまり、「甘い × 酸っぱい=虫歯が好む環境」になっているんです。
虫歯菌がよろこぶ2つの条件
虫歯の原因となるミュータンス菌は
①糖分をエサにして
②酸をつくり出し、
③歯の表面(エナメル質)を溶かしていきます。
でもスポーツドリンクの場合は、それを自前で用意してくれているようなもの。
甘くて酸っぱい=虫歯のリスクを向上させるとも言われてしまう理由がここにあります。
だらだら飲みに要注意!
夏場は「のどが乾く前にこまめに水分補給を」と言われますが、スポーツドリンクを少しずつ何度も飲むスタイルは、虫歯リスクを高めます。
なぜなら、お口の中が酸性に傾いている時間が長くなるからです。
通常、食事や飲み物で酸性になった口内は、唾液の力で徐々に中和され再石灰化が始まります。
しかし、だらだら飲みをしていると「回復タイム」が訪れず、歯がずっと溶けやすい状態が続いてしますのです。
小さなお子さまが特に危ない理由
- 歯のエナメル質が薄く、酸に弱い
- だらだら飲みをしがち(マイボトルに入れて一日中飲む)
- 自分で歯磨きがしっかりできない
- 虫歯の進行が早い
だからこそ、親御さんの意識がカギを握ります。
「熱中症を防ぎつつ、虫歯にもなりたくない」
そんなバランスのとれた選択肢をとっていただきたいです。
歯科目線で考える“夏の水分補給”のベストプラン
◎ 基本の水分補給は「水」または「お茶」
- 普段の水分補給には、糖分や酸の少ないものを。
- 麦茶やルイボスティーなど、ノンカフェインなら小さなお子さまにも安心です。
◎ スポーツドリンクは「場面を選んで」
- 激しい運動後や大量の発汗時だけに限定
- 飲んだあとは、口をゆすぐ or 水を少し飲むだけでも中和効果があります
◎ 歯にやさしい時間帯を意識する
- 食事中や食後にまとめて摂る
- 寝る前の摂取は避ける(唾液量が減るため、虫歯になりやすい)
「フッ素」で歯を守るという選択
もしスポーツドリンクを日常的に飲む生活が続くようなら、
フッ素入り歯磨き粉の活用や、フッ素塗布(歯科医院での処置)も効果的です。
フッ素は、歯の再石灰化を助け、虫歯菌が出す酸に強い歯にしてくれます。
THE DENTALでは、お子さまにも安全な濃度でのフッ素塗布を行っています。
季節の変わり目のタイミングで、ぜひ検診とあわせてご相談くださいね。
まとめ|正しく飲めば、スポーツドリンクは“味方”になる
夏の暑さとたたかうための「熱中症対策」と、お口の健康を守る「虫歯予防」。
この2つは、どちらかを選ぶものではなく、どちらも両立できるものです。大切なのは、「使い分ける」「飲み方を意識する」という知識とちょっとした習慣。
この夏も、お子さまの笑顔が健康な歯とともにありますように。
THE DENTALは、そんなご家族の毎日をそっとサポートしています。
お気軽のご相談ください。お待ちしております。