2025.06.07 診療コラム

キシリトールはなぜ歯に良いのか?

「甘いのに虫歯予防?」
こんにちは。歯科衛生士の本間です。

日差しがまぶしく感じる季節。外に出る機会も増えて、つい冷たいドリンクや甘いお菓子に手が伸びる方も多いのではないでしょうか。
「甘いもの=虫歯の原因」というイメージが根強い中でちょっと不思議に感じるのが“キシリトール”の存在。

実は、キシリトールは甘いのに虫歯予防に役立つ歯にとってうれしい糖アルコール。
今回はその理由と正しい取り入れ方について、歯科の視点からわかりやすくお伝えします。

キシリトールってなに?

キシリトールは、白樺(しらかば)やとうもろこしの芯など、植物由来の天然素材から作られる糖アルコールです。
見た目も味も「砂糖そっくり」ですが、決定的に違うのは、虫歯の原因にならないという点です。
厚生労働省も認可している食品添加物で、世界中の歯科医師に推奨されている成分の一つです。

キシリトールが歯にいい「3つの理由」

① 虫歯菌(ミュータンス菌)の“エサ”にならない
虫歯の原因菌(主にミュータンス菌)は、食べ物の糖分を分解して酸を作り出します。
その酸によって歯の表面(エナメル質)が溶け、虫歯が進行していくのです。
しかし、キシリトールはミュータンス菌に取り込まれても、酸が作れません。
つまり、虫歯菌の“活動をストップ”させる天然のバリアのような役割を果たすのです。

② 唾液を増やし、口の中を中和してくれる

キシリトールを含むガムを噛むと、唾液の分泌が促されます。この唾液には、酸性に傾いたお口の中を中和し、歯の表面を修復する「再石灰化」の働きがあります。
特に食後や間食のあとにキシリトールガムを噛むことで、虫歯になりにくい環境をスピーディに整えることができるのです。

③ 歯の再石灰化をサポートする

キシリトールには、カルシウムの吸収を助ける働きもあるとされています。
これは初期の虫歯(白く濁った状態)であれば、自然な修復を後押しする可能性があるということ。
もちろん重度の虫歯には治療が必要ですが、「虫歯予防」や「歯を守る習慣」としてはとても心強い味方です。

キシリトール製品、どう選ぶ?

キシリトールが入っている商品は、ガムやタブレット、歯磨き粉などさまざま。
選ぶ際のポイントはズバリ、“キシリトール100%”のものを選ぶことです。
市販のガムの中には、キシリトールが入っていても、他の砂糖類(ブドウ糖や果糖)が混ざっているものも多くあります。
それでは本来の虫歯予防効果が発揮されません。

▼ パッケージのチェックポイント

  • 「甘味料としてキシリトールのみ使用」などの表記があるか
  • 原材料表示の一番上に“キシリトール”とあるか
  • シュガーレスの記載があるか

注意点も知っておこう

キシリトールは安全性が高いと言われていますが、一度に大量に摂取するとお腹がゆるくなることがあります。
特に小さなお子さまや初めて取り入れる方は、少量から始めるのが安心です。
また、キシリトールは「魔法の成分」ではなく、あくまで“補助的な予防手段”です。
歯磨きやフロス、定期検診を怠っては意味がありません。

日常に取り入れるタイミング

キシリトールガムやタブレットは、下記のようなタイミングにおすすめです。

  • 食後すぐ(特に外食や間食のあと)
  • 歯磨きができない外出先
  • ちょっと口さみしい時の代替
  • 勉強や仕事中のリフレッシュに

“習慣の中に自然とキシリトールがある”
そんなスタイルを目指せると、歯の健康もぐっと守りやすくなります。

まとめ|“甘いのに味方”という新常識

甘いのに虫歯にならない。
それどころか、歯を守ってくれる。
キシリトールは、そんなちょっと不思議で頼もしい存在です。
正しく取り入れれば、虫歯予防にとって強いパートナーになってくれます。
「最近甘いものがやめられない」
「子どもが飴を欲しがるけど心配…」
そんな時こそ、キシリトールという選択肢を思い出してみてください。

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