2025.06.15 診療コラム

子どもの歯に“黒いライン”?

— それ、虫歯じゃないかもしれません。

こんにちは。歯科衛生士の八田です。

「歯の根元に黒い線が…」
「毎日ちゃんと磨いているはずなのに、なんだか取れない…」

そんなご相談を、私たちはよくお受けします。
特に小さなお子さまの前歯や奥歯の根元に、黒く線のような着色が現れて、心配されるご家族も少なくありません。

ですが、どうかご安心ください。
それは、虫歯ではなく「黒色色素産生菌」による着色である可能性が高いのです。

黒い着色の正体は、“菌が生み出す色”かもしれません

子どもの歯に見られる黒いラインのような着色は、「黒色色素産生菌」という菌によって引き起こされることがあります。
これは、歯の表面にいる細菌の中の一部が、鉄分や硫化物と反応して、黒い色素を作り出すことによって起こります。

特によく関係しているのは、Actinomyces(アクチノマイセス)属と呼ばれる菌。
この菌は、健康な口腔内にも常在していることが多く、特別な異常ではありませんが、特定の条件下で目立つ黒い着色をつくることがあります。

なぜ黒くなる? 着色の原因はいくつかあります

実は、黒い着色が現れる背景には、いくつかの原因が重なっていることが多いのです。

・唾液の性質

お子さまの唾液には個性があります。唾液中のミネラルバランスやpHによって、特定の菌が定着しやすくなることがあります。

・歯並びの影響

歯と歯の間が狭かったり、凹凸が多いと、歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れがたまりやすくなります。

・ブラッシング不足

奥歯の根元や裏側など、見えにくい部分の磨き残しは、着色のもとになりやすいポイントです。

・黒色色素を産む菌の存在 

そして、この菌こそが、黒いラインを生む主な原因のひとつ。
完全に取り除くことは難しいものの、適切なクリーニングや日々のケアで、色の目立ち方は大きく変わります。

虫歯とは違う?気になる見た目の扱い方

この黒いラインは、歯の表面に付着した色素汚れのようなものです。
歯そのものが溶けていたり、穴があいたりしているわけではないので、「虫歯の治療」が必要なわけではありません。

ただし、見た目が気になる場合や、お子さまが気にしている場合には、歯科医院でのやさしいクリーニングがおすすめです。
THE DENTALでも、歯の表面を傷つけずに落とすプロケアを行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。

ご家庭でできる予防のヒント

黒い着色は、完全に防ぐのが難しいこともありますが、次のような工夫で予防につなげられます。

  • 寝る前の仕上げ磨きを丁寧に
  • 奥歯や歯の根元を意識してブラッシング
  • 歯科での定期的なクリーニング

また、お子さま自身が「歯がきれいになると気持ちいい!」と感じられるような声かけや体験も大切です。

見つけたときが、スタートの合図

着色に気づいたとき、それは「ダメだった証拠」ではありません。
むしろ、「これから、もっとお口の中を大切にしていけるきっかけ」だと、私たちは思っています。

「これって虫歯?」と不安に思ったら、どうか一度見せてくださいね。
私たちが、その子に合った“やさしい予防の方法”を一緒に考えます。

THE DENTALでは、お子さまの歯の色・形・クセに合わせた丁寧なケアをご提供しています。
見た目の不安も、成長に合わせたお悩みも、ぜひ気軽にお話しください。

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