JOURNAL
シーラントとは?

子どもの歯を守る“予防の第一歩”
こんにちは。歯科衛生士の本間です。
梅雨の合間にのぞく青空が、夏の訪れを少しずつ知らせてくれる今日この頃。
お子さんの学校や園でも、歯科検診が行われる季節ですね。検診の後、保護者の方からよくいただく質問のひとつが「シーラントって何ですか?」というもの。
「予防のために勧められたけれど、よく分からなくて…」
「虫歯じゃないのに、なぜ処置が必要なの?」
今回は、そんな不安や疑問にお応えするために、「シーラントとは何か」「どんな効果があるのか」「いつ・どんな子に必要なのか」などを、歯科の視点で分かりやすくお伝えします。
シーラントってどんなもの?
シーラントとは、虫歯になりやすい奥歯の溝(とくに6歳臼歯など)に、プラスチックの樹脂を流し込んでコーティングする予防処置です。
見た目は透明〜乳白色のやわらかい素材で、歯を削ることなく、歯の表面をなめらかに整えます。
一言でいえば、「虫歯ができる前に、歯を“ガード”するための保護フィルム」のようなものです。
奥歯の“溝”はなぜ虫歯になりやすいの?
私たちの奥歯には、噛むための複雑な溝(小窩裂溝)があります。
この溝には、以下のような特徴があります
- 細くて深く、歯ブラシの毛先が入りにくい
- 汚れや食べかすがたまりやすい
- 歯が生えたばかりの時期はまだエナメル質が未熟
つまり、毎日しっかり磨いていてもどうしても磨き残しが出やすい構造なのです。
そのため、永久歯が生えて間もない子どもにとって、“奥歯の溝”は虫歯のホットスポットともいえる部位です。
そこで活躍するのが、シーラントです!
シーラントはいつ、どんなときにするの?
主に対象となるのは、6歳頃に生えてくる「第一大臼歯(6歳臼歯)」や、乳歯の奥歯です。
この時期は、まだお子さん自身でのケアも難しく、歯も未成熟な状態です。そのため、虫歯予防の“スタートダッシュ”として、シーラントがすすめられることが多いのです。
▼シーラントが効果的なタイミング
- 永久歯(第一大臼歯)が顔を出してすぐの頃
または、完全萌出後 - 乳歯の奥歯に溝の深さや汚れの溜まりやすさがある場合
- 虫歯のリスクが高い(甘いものが多い/磨き残しが多い)と診断されたとき
※大人には基本的に行わない処置ですが、重度のリスクがある場合は例外的に検討することもあります。
処置はどんなふうに行うの?
「歯を削るんですか?」「痛くないんですか?」とご心配される方もいらっしゃいますが、ご安心ください。シーラントはまったく痛みのない、やさしい処置です。
- 歯の表面をきれいにクリーニング
- 特殊な薬剤で表面を処理し、しっかり接着する準備
- シーラント材を溝に流し込む
- 光を当てて硬化させる(ほんの数秒)
トータルで5〜10分ほどの処置で完了します。
どれくらいもつの?メンテナンスは必要?
シーラントは“半永久的”ではありません。
噛み合わせや食習慣、歯ぎしり、歯の成長などにより、数ヶ月〜数年で一部が欠けたり剥がれたりすることがあります。
そのため、以下のような定期的なメンテナンスが重要です:
- 定期検診でシーラントの状態チェック
- 必要があれば追加塗布・補修
- シーラントがあるからといって油断せず、歯磨きの習慣を継続
「貼ったら終わり」ではなく、「定期的に確認しながら使っていく」ことが大切です。
シーラントのよくある誤解
Q:シーラントをすれば絶対に虫歯にならない?
A:いいえ、あくまで補助的な予防です。食生活や歯磨きが不十分だと、シーラントのすき間から虫歯になることもあります。
Q:費用は高いの?保険は?
A:基本的には保険適用で、1本数百円程度。
Q:子どもが嫌がらないか心配…
A:痛みのない処置なので、歯医者さんが初めてのお子さんでも比較的スムーズに受けられることが多いです
まとめ|小さな予防が、大きな安心に
シーラントは、子どもの虫歯を防ぐための「予防の第一歩」です。まだケアが不安定な時期にこそ、頼れる味方となってくれます。
THE DENTALでは、お子さま一人ひとりの歯の状態に合わせて、必要な予防処置を丁寧にご提案しています。
未来の歯を守るために、“今”できることを。
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