JOURNAL
歯が抜けてから生えてこない…と不安になっているおうちの方々へ

歯が抜けてからなかなか生えてこない…
その“空白期間”、実は自然なことかもしれません
こんにちは。歯科衛生士の本間です。
梅雨の気配が少しずつ近づき、雨にぬれた紫陽花が美しく咲く季節となりましたね。
お子さまの成長とともに「乳歯が抜けた!」といううれしいご報告をよくいただきます。一方で、こんなお声も増えています。
「歯が抜けてから、もう数ヶ月…でも次の歯が生えてこないんです」
「まさか歯がないまま過ごすの?」
そんな不安な気持ちを抱えていませんか?
実は、乳歯が抜けてから永久歯が生えてくるまでには“思ったよりも時間がかかることがある”んです。
今回は、その理由や目安、注意しておきたいポイントをわかりやすくご紹介します。
生え変わりの基本をおさらい
まず、乳歯から永久歯への生え変わりの基本的な流れを確認しておきましょう。
- 前歯(下の前歯):6〜7歳頃
- 奥歯(第一大臼歯):6歳頃(乳歯が抜けずに“新しく”生えてくる歯)
- 犬歯・小臼歯あたり:9〜12歳頃
これはあくまでも「目安」。生える時期や順番には個人差があります。
そして最も見落としがちなのが…
歯が抜けてから“すぐ”に生えてくるわけではない
という事実です。
なぜすぐに生えてこないの?
乳歯が抜けた後、歯ぐきにぽっかり空いたスペースが気になりますよね。
でも、そのスペースに永久歯がゆっくりと時間をかけて上がってくるのが通常です。
以下のような理由が考えられます
1. 永久歯の準備期間
永久歯は、あごの骨の中でじっくりと形成されてから表に出てきます。乳歯が抜けたからといって、すぐに頭を出すわけではありません。2〜6ヶ月かかることも珍しくないのです。
2. あごの成長とのバランス
お子さんのあごがまだ十分に成長していない場合、永久歯が生えるタイミングが自然と遅れることがあります。これは成長と歯の“スペース”の調和を取るためでもあります。
3. 歯の位置や方向の問題
永久歯の向きや位置によっては、生えるのに時間がかかる場合もあります。
特に、歯列の外側や内側にズレている場合、生えにくくなったり、違う方向から出てくることも。
こんなときは一度チェックを
一般的に、乳歯が抜けてから半年〜1年以内に永久歯が出てこない場合は、一度歯科で確認するのがおすすめです。
以下のような状況があるときは、早めに受診してください。
- 抜けた場所に1年近く歯が生えてこない
- 歯ぐきに硬いふくらみが感じられない
- 抜けた歯の隣の歯が倒れてきている
- 同じ年齢の他の歯が次々と生えてきているのに、特定の箇所だけ進まない
THE DENTALでは、必要に応じてパノラマレントゲン(お口全体のX線撮影)を行い、永久歯の位置や向きを確認できます。
まれにある「先天性欠如」とは?
ごく稀に、永久歯がもともと存在しないという「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」という状態もあります。
日本では約10人に1人の割合で見られ、特に小臼歯(前から4番目・5番目)や前歯に起きやすい傾向があります。
この場合、抜けた乳歯のあとに何も生えてこないため、歯列やかみ合わせ、見た目への影響を考慮した治療プランが必要になることも。
ただし、先天性欠如があったとしても、すぐに治療が必要とは限りません。
お子さんのあごの成長や歯並びの状態に応じて、タイミングを見ながら慎重に判断していきます。
おわりに|「遅れている=異常」ではありません
お子さんの歯の生え変わりは、誰もが通る大切なステップです。
そして、歯が生えるスピードやタイミングは、本当に一人ひとり違うんです。
「まだ生えてこないけど大丈夫かな」
そんな小さな不安も、どうかお一人で抱えず、気軽にご相談ください。
THE DENTALでは、成長段階をふまえたやさしい診察と、未来を見据えたご提案で、お子さまの“今”と“これから”をサポートしています。
歯のないスペースも、その子の成長の一コマ。
慌てず見守ることが、実はとても大切なケアになるのです。