JOURNAL
歯を抜いた後の注意事項

こんにちは。歯科衛生士の本間です。
気温も安定し、少しずつ季節が夏へと移り変わる頃。体調の変化も感じやすい時期ですね。そんなとき、意外に多くなるのが「抜歯」のご相談です。
「親知らずを抜いたけど、痛みが引かない」
「血が止まらない気がして不安…」
「食べていいもの・ダメなことが分からない!」
実際、歯を抜いたあとの過ごし方は回復のスピードやトラブルの有無を大きく左右します。
今回は、抜歯後の正しいケア方法と注意すべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。
抜歯後の体に起こる変化
歯を抜いたあとのお口の中は、“外科処置を受けたばかりの傷口”と同じ状態。
とくに親知らずや炎症を伴う抜歯は、周囲の骨や歯ぐきにも負担がかかっているため、回復には時間が必要です。
抜歯後、数時間~数日間は以下のような症状がみられることがあります:
- 軽い出血(数時間)
- 腫れ(1~3日)
- 鈍い痛み(1~5日程度)
- 口が開けにくい、話しにくい感じ
これらは、体が自然に回復しようとしている正常な反応です。
ただし、注意しておかないと“治りが遅れる原因”になってしまうことも…。
抜歯後に絶対気をつけたい5つのポイント
① 血を無理に止めようとしない
抜歯後にガーゼをかむことで、自然に血が固まって「かさぶた(血餅)」ができます。
これは治癒にとってとても大切な“天然のばんそうこう”。
うがいや強い吸う動作(ストロー・喫煙など)で取れてしまうと、「ドライソケット」という強い痛みを伴う症状につながる可能性があります。
▶ ガーゼは30分程度かんだら、優しく外しましょう
▶ その後は1日程度、強いうがい・すすぎを避けるのがベスト
② 食事は反対側で、柔らかいものを
抜歯した当日は、とくに注意が必要です。
傷口に刺激を与えないよう、噛まなくても飲み込めるようなもの(おかゆ・スープ・豆腐など)を選びましょう。
固い・熱い・辛い・酸っぱいものは避けてください。
▶ 反対側の歯でゆっくり噛むように意識を
▶ アルコールやカフェインも控えめに
③ 激しい運動・長風呂はNG
抜歯当日は、体をあたためすぎると血行が良くなりすぎて出血のリスクが高まります。
また、運動後の疲労が痛みを悪化させることも。
▶ シャワー程度にとどめ、湯船は翌日以降に
▶ ウォーキングや筋トレも翌日以降が安心です
④ お薬は指示通りに
THE DENTALでは、抜歯後の腫れ・痛み・感染を抑えるために、必要な方へ痛み止めや抗生物質を処方しています。
自己判断でやめたり飲み忘れたりすると、痛みがぶり返したり、治りが遅れたりすることがあります。
▶ 服用中に異常があった場合はすぐにご連絡を
⑤ 喫煙・飲酒はできれば数日控えて
タバコの煙やアルコールは、血管を収縮させたり、治癒に必要な血流を妨げたりするため、傷口の治りを妨げる代表格。
特に喫煙は、血餅が取れてしまう「ドライソケット」のリスクを大幅に上げるといわれています。
▶ できれば抜歯前から禁煙を。難しい場合は1週間だけでも我慢を
▶ お酒も血行が良くなるため、腫れ・痛みが強くなる可能性があります
よくあるご質問
Q. 血がにじんでいるけど大丈夫?
→ はい、大丈夫です。うっすらとした出血や唾液に混ざる程度の赤みは通常の経過です。
ただし、口の中が血でいっぱいになるような出血が1時間以上続く場合は、早めにご連絡ください。
Q. 食べかすが穴に入ってしまった!
→ 無理に取らず、そのままで!
ご自身で強くうがいすると、かさぶた(血餅)が取れる可能性があります。軽くゆすぐ程度で問題ないです。
Q. 腫れがひかないけど大丈夫?
→ 3日目くらいが腫れのピークです。冷やしすぎず、様子を見ましょう。濡らしたタオルで冷やすことをお勧めします。熱感やズキズキした痛みが強まる場合は、感染の可能性もあるため受診をおすすめします。
最後に|歯を抜いたあとのケアも、治療の一部です
抜歯は、あくまで“治療の通過点”。
その後のケアや経過によって、次の治療(ブリッジ・入れ歯・インプラントなど)の成功率も大きく左右されます。
THE DENTALでは、抜歯後のケアまでしっかりサポート。
おひとりおひとりに合った過ごし方やお食事アドバイスまでご提案しています。
もし不安なことがあれば、どうぞいつでもご相談ください。
抜いたその日から、回復ははじまっています。
安心して、そして自分のペースで、お口の健康を取り戻していきましょう。