JOURNAL
歯ブラシを嫌がるお子様への寄り添いケア

こんにちは、歯科衛生士の本間です。
日ごとに陽射しが強くなり、夏の気配がすぐそばに。お子さまとのお出かけも楽しい季節ですね。
でも、そんな穏やかな日常の中でも子育てにはちょっとした「悩みのタネ」がつきもの。
中でも、「うちの子、歯ブラシをすごく嫌がって…」というご相談はとても多くいただきます。
泣き叫ぶ、逃げる、口を閉じて開かない――。
一生懸命磨いてあげたい親心とは裏腹に、毎日が“歯みがきバトル”という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、子どもが歯ブラシを嫌がる理由と、その上手な乗り越え方について、やさしく、そして具体的にお伝えしていきます。
どうして子どもは歯みがきを嫌がるの?
子どもが歯みがきを嫌がるのは、「わがまま」や「反抗」ではありません。そこにはちゃんと理由があります。
◎ お口の中が敏感
赤ちゃんや幼児は、口の中の感覚がとても敏感です。
特に前歯の裏や上あごに歯ブラシが触れると、不快に感じたり、くすぐったくて嫌がったりします。
◎ 何をされているかわからない
小さな子どもは「歯みがき=必要なケア」だと理解できていないことも多く、
“口に物を入れられている”という感覚に近い不快感を抱いていることもあります。
◎ 過去の嫌な経験
歯ブラシで痛かった、のどに当たってオエッとなった、強く押さえつけられた……
そんな体験がトラウマとなり、「歯みがき=嫌なもの」になっている場合もあります。
歯みがきが“好き”になるアイディア
少しの工夫と、ほんの少しの気持ちの余裕で、歯みがきタイムはもっと楽しくなります。
① 「見る」→「触る」→「まねる」
まずは歯ブラシに慣れるステップから始めましょう。
おもちゃのように歯ブラシを持たせて、「おくちにトントン」だけでもOK。
大人のまねをするのが大好きな時期なので、鏡の前で一緒に磨いてみるのも効果的です。
▶ 親子で「おそろい歯ブラシ」も◎
② お気に入りの歌やタイマーを使う
「はみがきのうた」や短いアニメ動画で、歯みがきタイムにリズムをつけましょう。
2分タイマーをセットして「終わったらごほうびシール」といったルールにするのもおすすめです。
▶ 視覚・聴覚で「楽しい記憶」に置きかえていくことが大切です
③ 抑えつけない・急がない
焦って磨こうとすると、子どもは余計に身構えてしまいます。
泣いて嫌がる日があっても、「今日は奥歯だけ」「前歯だけ」と1日1か所クリア方式にしてみてもOKです。
▶ “完璧じゃなくて大丈夫”という気持ちを忘れずに
仕上げ磨きは、いつから・どうする?
仕上げ磨きは、乳歯が生えはじめた生後6か月ごろからスタートを。
自分で磨けるようになるまで(およそ小学生くらい)までは、大人のサポートが必要です。
◎ 寝かせ磨きで安定感を
子どもを仰向けに寝かせ、ひざの上で顔を固定することで、しっかり見えて磨きやすくなります。
◎ 歯ブラシはやわらかめ、ヘッドは小さめ
「痛くない・気持ちいい」と感じてもらうことで、歯みがきに対する印象が変わっていきます。
「仕上げしないと虫歯になるよ」はNG?
つい言ってしまいがちな「虫歯になるよ!」「歯が黒くなるよ!」という声かけ。
実はこれは、脅しのように受け取られ、歯みがきそのものが“恐怖”になってしまうことも…。
声かけは、こんなふうに変えてみましょう。
「ぴかぴかになって、気持ちいいね」
「バイキンさん、やっつけちゃおう!」
「おくちの探検、ごろーんしようか♪」
遊びや物語にすることで、自然と楽しい気持ちが芽生えていきます。
歯科でのケアも味方に
THE DENTALでは、お子さまの成長段階に合わせた無理のない歯科ケアを行っています。
「嫌がるけど、このままでいいのかな?」「仕上げ磨き、これで合ってる?」
そんなお悩みも、お気軽にご相談ください。
また、フッ素塗布やシーラントなど、虫歯予防のためのサポートも充実しています。
ご家族の毎日の努力に、ちょっとした“プロのひと手間”を加えて、お子さまの歯を守りましょう。
最後に|毎日の歯みがきは、「信頼」の積み重ね
子どもが歯みがきを嫌がるのは、当たり前のこと。
でも、声かけひとつ、手の動かし方ひとつで、少しずつ“好き”に変わっていくものです。
毎日の小さな積み重ねが、将来のお口の健康をつくる。
それは、歯ブラシを持つあなたの優しいまなざしが、お子さまに伝えてくれるはずです。