—インプラント周囲炎という落とし穴

こんにちは。歯科衛生士の八田です。

「せっかく高い費用をかけてインプラントにしたのに、グラグラしてきた…」
——これは、実際に患者さんから聞こえてくる、残念ながら珍しくない声です。

インプラント治療は、歯を失った方にとって強い味方です。見た目も噛み心地も天然の歯に近く、食事も会話も快適になります。でも、「もう治ったから安心」と、その後のケアをおろそかにしてしまうと、インプラント周囲炎という厄介なトラブルに悩まされることがあります。

今回は、インプラントを長く快適に使い続けるために知っておきたい「インプラント周囲炎」について、THE DENTALからお伝えします。

インプラント周囲炎ってなに？

インプラント周囲炎とは、インプラントのまわりに起こる歯周病のような炎症です。原因のほとんどは、プラーク（歯垢）やバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊。

インプラント自体は人工物なので虫歯にはなりませんが、その周囲の歯茎や骨は本物。そこに炎症が起きると、骨が少しずつ溶けてインプラントが支えられなくなり、最終的には抜け落ちてしまうことも。

天然の歯に起こる「歯周病」と似ていますが、インプラントの場合は進行が早く、症状に気づきにくいのが特徴です。

なぜ起こるの？インプラント周囲炎の原因

1. セルフケア不足
   「天然の歯じゃないから大丈夫」と思って、ついブラッシングが甘くなりがちです。インプラントの周囲はデコボコしていて、プラークがたまりやすい構造をしています。
2. メンテナンス不足
   インプラント治療後、「痛みもないし特に困ってないから」と、定期的なチェックやクリーニングを受けない方もいます。でも、痛みがない＝健康ではないのがインプラント周囲炎の怖いところ。
3. 喫煙や糖尿病などの全身的なリスク
   免疫力が落ちると、炎症が起きやすくなります。

THE DENTALで行う“守る治療”
— GBT（Guided Biofilm Therapy）

THE DENTALでは、インプラント治療を受けた方のメンテナンスにエアフロー（GBT）を導入しています。

これは、水と微粒子のパウダーをジェットで吹きつけることで、歯やインプラントの表面に付着したバイオフィルムをやさしく・確実に除去する方法。

従来の金属器具でのクリーニングに比べて、インプラント体やそのまわりの組織を傷つけにくく、痛みや不快感も少ないのが特徴です。

GBTは、ただ“キレイにする”だけではなく、インプラント周囲炎を予防するための最前線のプロケアといえます。

ご自宅でできるセルフケアも大切

もちろん、プロケアだけに頼るのではなく、毎日のホームケアも大切です。

• 歯間ブラシやタフトブラシで細かいところまでお掃除を
• 柔らかめの歯ブラシで、力を入れすぎず優しく
• フッ素入りのジェルや洗口剤も活用して

特にインプラントの周囲は感覚が鈍いため、「磨けてるつもり」で磨き残しがあるケースも。メンテナンスの際には、衛生士が磨き方のコツや道具選びも丁寧にお伝えしています。

インプラントを“長く使えるもの”にするために

インプラント治療は、一生モノではありません。“一生モノ”にするかどうかは、その後のケア次第。

定期的なメンテナンスを通じて、歯科医師や衛生士がインプラントの状態をチェックし、小さな異変も見逃さずに対応します。

THE DENTALでは、患者さんのインプラントが10年後、20年後も変わらずしっかり機能するよう、診療後の“その先”まで寄り添う治療を大切にしています。

まとめ

インプラント治療を成功させる本当の鍵は、「治療の技術」だけでなく、「治療後の習慣」にあります。

インプラント周囲炎を防ぐために——
毎日のケアを少しだけ意識して、そして私たちプロの手を、ぜひうまく使ってくださいね。

THE DENTALでは、インプラントを守るケアも、デザインする治療のひとつと考えています。