JOURNAL
妊娠中のお口のトラブルと、やさしい歯科の付き合い方

みなさんこんにちは。歯科衛生士の本間です。
新緑がまぶしい季節ですね。ふわりと吹く風にも夏の気配が混じり、日差しの強さも増してきました。
妊娠中の患者さまから「なんだか歯ぐきが腫れてきた」「口の中が気持ち悪い」といったご相談が増えてきます。
妊娠中は、体だけでなく“お口の中”にも大きな変化が起きるタイミング。
今回は、妊娠中に起こりやすいお口のトラブルと、歯科との上手な付き合い方についてお話しします。
妊娠中の体は思っている以上に“お口”にも影響があり、ホルモンバランスや体の免疫機能が大きく変化する時期です。それに伴って、お口の中の状態も不安定になりやすくなります。
以下のような変化を感じたことはありませんか?
- 歯ぐきが赤く腫れる
- 出血しやすい
- 口の中がネバつく
- 強いにおいに敏感になって歯磨きがつらい
- 唾液の量が減った感じがする
- すっぱいものを欲する、甘いものをちょこちょこ食べてしまう
こうした変化は、決して珍しいことではありません。
むしろ、「誰にでも起こりうる」と思っておくことが、心の余裕にもつながります。
代表的な“妊娠中のお口のトラブル”
■ 妊娠性歯肉炎(にんしんせい しにくえん)
妊娠中に特有のホルモン(特にエストロゲンやプロゲステロン)の影響で、歯ぐきが炎症を起こしやすくなることがあります。
とくに妊娠初期〜中期に多く、歯ぐきが赤く腫れたり、軽い刺激で出血するのが特徴です。
放っておくと、「歯周病」へ進行することも。
妊娠中でも、やさしいクリーニングやお口の状態のチェックは可能ですので、無理のない範囲で受診をおすすめします。
■ 妊娠性エプーリス
まれに、歯ぐきに赤く柔らかいできもののような腫瘤ができることがあります。これを妊娠性エプーリスと呼びます。
良性のものであり、出産後に自然に消えることもありますが、心配な場合は遠慮なくご相談ください。
妊娠中の“むし歯リスク”が高くなるワケ
意外かもしれませんが、妊娠中はむし歯ができやすい時期でもあります。
主な理由は:
- 唾液の分泌量や性質が変わり、口の中が乾きやすくなる
- つわりで歯みがきが十分にできない
- 食事の回数が増える(ちょこちょこ食べ)
- 甘い物が欲しくなる
- 胃酸の逆流(嘔吐)により、歯の表面が弱くなる
このような生活リズムや体の変化が重なることで、むし歯のリスクが上がってしまうのです。
妊娠中でも、歯科にかかっていいの?
よくあるご質問のひとつに、「妊娠中に歯医者へ行っても大丈夫ですか?」というものがあります。
答えは、YES。
妊娠中でも、多くの歯科治療やケアは可能です。
ただし、タイミングと内容には配慮が必要です。
● 妊娠初期(〜12週):慎重に
胎児の大切な器官が形成される時期なので、応急処置中心で無理はしません。
● 妊娠中期(13〜27週):安定期
最も治療に適している時期。クリーニングやむし歯治療、レントゲンも必要に応じて行います(胎児に影響のないよう防護します)。
● 妊娠後期(28週〜):体勢に配慮
お腹が大きくなり、長時間の診療がつらくなることも。無理のない範囲で短時間の処置や相談が中心になります。
未来の赤ちゃんのためにも、お口の健康を大切に
近年では、妊娠中の歯周病が早産や低体重児出産のリスクになることがわかっています。
ママのお口の中の状態は、赤ちゃんの未来にもつながっているのです。
そして何より、出産後は赤ちゃん中心の生活が始まり、自分のケアは後回しになりがち。
「今だからできること」を、安心できる歯科医院で始めてみませんか?
THE DENTALのやさしいサポート
当院では、つわりや体調に配慮しながら、心地よい時間をご提供できるよう努めています。
「においが気になるから短時間で」
「仰向けがつらいから姿勢に配慮してほしい」
…そんなご希望も、遠慮なくお伝えくださいね。
おわりに
お腹の中の小さな命とともに過ごす、かけがえのない時間。
その中に、“お口の健康”という視点がひとつ加わるだけで、
ママ自身も、赤ちゃんも、もっと笑顔で過ごせる未来が待っています。
気になることがあれば、いつでもTHE DENTALへ。
私たちは、今と、未来を見守る“お口のかかりつけ医”でありたいと考えています。