JOURNAL
世界の歯の文化は色々です

皆さまこんにちは!歯科助手の雛田です。
今回は世界の「歯の文化」についてお話しさせていただきます。
「乳歯が抜けたら、屋根に投げる」「歯を枕の下に置くと、妖精がプレゼントをくれる」
こうした言い伝え、聞いたことはありますか?
自分自身、小さい頃に乳歯が抜けた歯をおばあちゃんの家の屋根に投げたことを覚えています。ですが、歯を枕の下に置くのは知りませんでした・・。(歯科助手の伊東に知ってた?と聞いたところ枕の下に置いていたらしいのですが、屋根に投げるのは知らなかったそうなので、土地柄によるのでしょうか?)
実は歯という存在は、世界中で特別な意味を持っていました。
今回はそんな歯にまつわる各国の文化や習慣についてご紹介いたします。
⭐︎ 歯の妖精 “Tooth Fairy” — アメリカ・カナダ・イギリスなど
子どもの乳歯が抜けたら、ティッシュでくるんで枕の下に…。
朝起きると、そこにはコインや小さなプレゼントが!
これは「Tooth Fairy(トゥース・フェアリー)」と呼ばれる歯の妖精のしわざとされています。
妖精は子どもたちの抜けた歯を集めてまわり、代わりに贈り物を置いていくんですね。
⭐︎ 屋根にポイッ! — 日本・韓国・ベトナムなど
これは日本でもおなじみですね。
「上の歯は縁の下へ、下の歯は屋根の上へ」
これには、“丈夫な歯がまっすぐ生えてきますように”という願いが込められています。
実は似たような風習が、アジア圏を中心に多く見られるんです。
たとえば…
・韓国:「屋根に投げながら、“カラスよ、この歯と交換してくれ!”と唱える」
・ベトナム:「まっすぐな歯が生えるよう、投げるときの角度にもこだわる」
なんともほほえましい、世界共通の子どもを思う文化ですね。
⭐︎ 魔除けとしての乳歯 — インド・中東など
インドでは、抜けた乳歯をネズミの巣穴にそっと入れるという伝承があります。これは、ネズミのように丈夫な歯が生えてくるようにという願掛け。
また、アラブ諸国では抜けた歯を太陽に向かって投げる習わしも。
これは「光に見守られながら新しい歯が育つように」との意味があるそうです。
⭐︎ 真っ黒な歯が美しい? — 昔の日本の「お歯黒」
江戸時代、日本では既婚女性や身分の高い人が「お歯黒(おはぐろ)」といって歯を黒く染める風習がありました。
黒く染めることで大人の象徴とされ、歯が黒いことが美の基準でもあったのです。
現在の“白い歯”への憧れとは、まさに正反対。
時代や文化がいかに価値観を変えていくかがわかる、興味深い事例です。
◎お歯黒の正体
実はお歯黒には鉄と酢を使うことで抗菌作用もあったそう。美容と実用を兼ねた古代の歯科ケアとも言えますね。
⭐︎ 口元の美しさは、文化の鏡
国によって「きれいな歯」の定義はさまざま。
たとえば…
・アメリカ:とにかく“白くてまっすぐ”な歯が美しいとされ、子どもでも矯正が一般的
・日本:近年はホワイトニングや矯正が一般化しつつあるが、“八重歯がかわいい”とされた時代も
・フランス:少し隙間がある“個性的な笑顔”がチャーミングとされることも
こうして見てみると、歯は単なる機能だけでなく、その国らしさや人々の価値観を映し出す文化の一部になっています。
⭐︎ まとめ
乳歯が抜けるのは、ほんの数回のこと。
でも、そのたびにお祝いしたり願いをこめたりするのは、親にとっては「子どもの成長を見守る、かけがえのない瞬間」になります。
世界のどんな国でも、親のまなざしはあたたかく、そして歯はその成長の証として、大切にされてきました。
そんな背景を思い出しながら、
「また1本抜けたね」
「大人の歯が生えてくるね」
そう声をかけるひとときは、きっとお子さんの心にも残っていくはずです。