2025.08.02 診療コラム

口腔内環境と全身の健康の関係

こんにちは。歯科衛生士の本間です。
陽射しがきらめき、蝉の声が夏の訪れを知らせてくれる季節となりました。冷たい飲み物が恋しくなるこの時期、実は“お口の健康”にも大きな変化が現れること、ご存じですか?

今回は、普段あまり意識されないかもしれない「口腔内環境と全身の健康の関係」についてお話しします。

お口の健康は、全身の健康の“鏡”かもしれません。
「歯ぐきから血が出る」「口の中がネバつく」「歯がぐらぐらする」——これらは、歯周病のサインかもしれません。

けれどこの“お口のトラブル”、実はお口の中だけの問題ではないのです。
最新の研究では、歯周病とさまざまな全身疾患との関連が次々と明らかになってきています。

一見、関係なさそうに見える「心臓病」や「糖尿病」、「認知症」や「早産」にまで…?
今回はその“つながり”を、お伝えしていきます。

歯周病菌が全身をめぐるという事実

歯周病は、歯と歯ぐきのすき間に細菌(歯周病菌)がたまって炎症を起こす病気です。

しかし問題はその先にあります。
炎症を起こした歯ぐきから、歯周病菌や炎症物質が血流に乗って全身へと広がっていくのです。

この“静かなる侵入者”が、動脈硬化を進めたり、血糖値のコントロールを悪化させたりと、じわじわと体に悪影響を及ぼします。

関連が指摘されている主な疾患

ここで、口腔内の状態と関連が深いとされている代表的な疾患をご紹介します。

糖尿病

歯周病と糖尿病は相互関係にあります。
歯周病があると、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病が悪化することが知られています。一方で、糖尿病になると免疫力が低下し、歯周病も進行しやすくなるのです。
まさに「悪循環」です。

逆に言えば、歯周病治療を行うことで、血糖コントロールが改善することも報告されています。

心筋梗塞・脳梗塞

血管の内側にプラーク(脂質のかたまり)がたまり、血流が途絶えることで起こるこれらの疾患。
実はこの“プラーク”に歯周病菌のDNAが見つかっているという研究もあります。
口の中の細菌が、血管の健康にまで影響しているかもしれないのです。

認知症

アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内に、歯周病菌の一種「ポルフィロモナス・ジンジバリス」が検出されたという報告も。
炎症物質が脳に影響を与えている可能性があると考えられています。

早産・低体重児出産

妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが高まると言われています。
これは、歯ぐきの炎症から出るサイトカイン(炎症性物質)が子宮の収縮に影響を与えるためとされています。

「歯の健康」は、未来の健康投資

こう聞くと、少し怖くなるかもしれません。
でも、裏を返せば——お口の環境を整えることで、全身の疾患リスクを下げる可能性があるということ。

健康診断の数値を気にするように、
これからは「歯ぐきの出血」や「歯のぐらつき」など、
小さなサインにも気を配ってみませんか?

THE DENTALができること

THE DENTALでは、歯のクリーニングや歯周病治療を通じて、
お口の中だけでなく、患者さまの“未来の健康”まで見据えた診療を大切にしています。

歯科衛生士があなたに合った口腔ケアを提案いたします。
一緒に口腔環境整えて将来の健康投資を目指していきましょう。

最後に

“歯ぐき”の健康は、見た目にはわかりにくいもの。
でも、その静かな変化が、体のどこかで大きな波紋を広げているかもしれません。

夏の体調管理の一環として、お口のメンテナンスもぜひ意識してみてくださいね。
私たちTHE DENTALが、心を込めてサポートいたします。
気になることはお気軽にご相談ください。お待ちしております。

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