2025.08.03 診療コラム

ナイトガード、ハード?ソフト?

—食いしばりや歯ぎしり対策の正しい選び方

こんにちは。歯科衛生士の八田です。

「朝起きると、なんだかあごがだるい…」
「歯がすり減ってきた気がする…」
「就寝中の歯ぎしり、家族に指摘された…」

こんなお悩みをお持ちの方、実はとても多いんです。
歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づきにくいけれど、歯やあご、詰め物や被せ物に大きな負担をかけてしまう厄介なクセ。
そんな無意識の力からお口を守るために登場するのが「ナイトガード(マウスピース)」です。

でも、ナイトガードには「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」があって、どちらがいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
今回は、それぞれの違いや選び方のポイントについて、わかりやすくお話ししていきます。

ナイトガードって、どんなもの?

ナイトガードは、寝ている間に装着する「歯の保護装置」。
プラスチック製のマウスピースで、歯ぎしりや食いしばりの力から歯やあごの関節を守る役割があります。

また、近年ではナイトガードが顎関節症の予防や管理にも効果的であることがわかってきています。

ハードタイプとソフトタイプ、何が違うの?

● ソフトタイプ:やわらかくて違和感が少ない

ソフトタイプのナイトガードは、シリコンのような柔らかい素材で作られており、「違和感が少ない」「慣れやすい」といったメリットがあります。
初めての方や、軽い歯ぎしり・食いしばりがある方に向いているとされています。

しかし、実はソフトタイプが逆効果になってしまう場合もあるんです。
素材の“やわらかさ”がかえって「噛みごたえ」を生み、脳がそれを心地よく感じて無意識に強く噛みしめてしまうという方もいます。

その結果、朝起きたときに
「なんだか余計に顎が疲れる…」
「首や肩がこる…」
「歯が浮いたような違和感がある」
といった症状を訴える方も少なくありません。

● ハードタイプ:しっかりした作りで、力を分散

一方、ハードタイプのナイトガードは、硬いレジン(樹脂)で作られており、力をうまく分散・吸収するように設計されています。
厚みがあり、歯の噛み合わせを調整する役割も果たすため、顎関節症の管理にもよく使われます。

「噛んでも噛み応えがない」=「脳が噛むのをやめる」仕組みになっており、無意識の食いしばりや歯ぎしりを抑える効果が期待できます。

ただし、慣れるまでは違和感がある、しゃべりにくいと感じる方もいるため、装着を続けて少しずつ慣らしていくことが大切です。

結局、どっちを選べばいいの?

これは「症状の強さ」と「目的」によって変わってきます。

  • 軽度の歯ぎしり・違和感が苦手な方 → ソフトタイプ
  • 強い食いしばり・顎関節に負担がある → ハードタイプ

「柔らかい方が楽そう」と思ってソフトを選んだものの、「かえって噛み締めがひどくなった」というケースは意外と多いので、自己判断は避けたいところです。
当院では、症状や噛み合わせをしっかり確認した上で、患者さまごとに適したタイプをご提案しています。

ナイトガードってずっと使うもの?

症状の程度や生活習慣によって異なりますが、ナイトガードは基本的に「継続して使う」ことが推奨されています。
ただし、素材や厚みによっては数年に一度の作り直しが必要になることもあります。
特に歯ぎしりの強い方は摩耗が早いので、定期的なチェックが大切です。

最後に:歯や顎の“静かな敵”から守るために

歯ぎしりや食いしばりは、音もなく進行し、気づいたときには歯がすり減っていたり、詰め物が欠けていたり、顎の痛みが慢性化していたりすることも。
ナイトガードは、そんな“静かなダメージ”からあなたの大切な歯を守るための、大事なパートナーです。

「最近、あごが疲れる気がする」
「詰め物がよく取れるようになった」
「朝起きたら歯がしみる」
そんなサインを感じたら、一度歯科医院でご相談ください。

私たちがあなたにぴったりのナイトガードをご提案し、日常を快適にサポートします。

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