2025.08.15 診療コラム

お子さまの「ぽかん口」、気づいていますか?

みなさまこんにちは。歯科衛生士の本間です。
夏の陽ざしが日に日に強くなり、マスクの下も少しずつ開放的になってきたこの季節。外で元気に遊ぶお子さまたちの笑顔がまぶしく感じられる時期ですね。

さて今回は、最近ご相談が増えている「お子さまがいつもお口をぽかんと開けているのが気になる」という声にお応えして、“ぽかん口(口唇閉鎖不全)”と口腔内への影響について、わかりやすくお話しします。

ぽかんと開いたお口、それだけで大丈夫?

公園で遊ぶお子さんを見て、「あれ?ずっと口が開いているかも…」と感じたことはありませんか?
無意識にお口を開けている状態が続くと、実は歯並びやお口の機能に影響を与える可能性があります。

“ぽかん口”は医学的には口唇閉鎖不全(こうしんへいさふぜん)と呼ばれ、お口を閉じる筋力の低下や、鼻呼吸がうまくできない状態が背景にあることも。
つまり、ただの「癖」とは片付けられない、将来的な歯並び・発音・嚥下・呼吸に関わる大切なサインかもしれないのです。

ぽかん口によって起きやすいお口の変化

口が開きっぱなしになることで、次のような変化が見られることがあります。

  • 歯並びへの影響:
    舌の位置が低くなり、前歯が出っ張る(出っ歯)や、上下の前歯に隙間ができる(開咬)など、噛み合わせの乱れが起きやすくなります。
  • 虫歯や歯周病のリスク増加:
    口呼吸によりお口が乾燥し、唾液の力(自浄作用)が弱くなることで、虫歯や歯ぐきの炎症が起きやすくなります。
  • 発音や飲み込みへの影響:
    口の周りの筋肉の発達が遅れ、発音や飲み込みがうまくできないことも。
  • 姿勢や睡眠の質にも影響:
    姿勢が猫背になったり、睡眠中のいびきや浅い眠りの原因になったりする場合もあります。

どうして「ぽかん口」になるの? 原因はいろいろ

ぽかん口の背景には、いくつかの原因が考えられます。

  • 鼻づまりやアレルギー性鼻炎などで、鼻呼吸がしにくい
  • 舌や口まわりの筋力が弱い
  • 指しゃぶり・口呼吸の癖
  • 姿勢(猫背など)や生活習慣の影響

成長とともに改善することもありますが、「まだ小さいから…」と様子を見ているうちに、歯並びやお顔立ちに影響を及ぼしてしまうケースも少なくありません。

予防とアプローチ:ご家庭でできること&歯科でできること

まずはご家庭で、お口を閉じる習慣づくりを意識してみましょう。

■ ご家庭でできること

  • 姿勢を正す(テレビを見るときや勉強中の姿勢も大切)
  • 鼻呼吸を意識する(鼻炎があれば耳鼻科への相談も)
  • 舌の体操や口まわりの筋トレ(「あいうべ体操」など)

■ 歯科でできること

THE DENTALでは、ぽかん口が気になるお子さまには口腔内や噛み合わせのチェックに加え、**舌や口唇の機能評価、必要に応じてMFT(口腔筋機能療法)**もご案内しています。

また、歯並びの予防的な観点から、小児矯正のご相談もお受けしています。
当院では毎月日曜日に矯正専門医が来院しており、保護者の方からのちょっとしたご相談だけでも大歓迎です。

「成長の途中」だからこそ、気づけることがある

ぽかんとしたお口は、成長中の「今」だからこそ軌道修正できる大切なサインです。

子どものうちに正しい呼吸・舌の位置・姿勢を身につけることは、これからの歯並びや健康の土台づくりにつながります。

お子さまのお口のことで気になることがあれば、どんなに小さなことでもお気軽にご相談ください。

最後に

子どもたちの未来のために。
“見える歯”だけでなく、“育つ口”も、私たちは大切に診ています。

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