JOURNAL
ストレスが引き金になる“歯の痛み”

― 原因がわからない歯の違和感、気づかないうちに溜めているかも
こんにちは。歯科衛生士の八田です。
「虫歯はないって言われたのに、なんだか歯が痛い…」
「検診では異常なし。でも奥歯がムズムズするような、重たい感じがする」
そんな経験はありませんか?
実はこうした“原因のはっきりしない歯の痛みや違和感”には、ストレスが深く関わっているケースがあります。
現代人の多くが抱えるストレス。その影響は、気づかぬうちにお口の中にも現れています。
ストレスで歯が痛くなる?そのメカニズム
ストレスによって起こるお口のトラブルには、主に以下のようなものがあります。
1. 歯ぎしり・食いしばり
もっともよく見られるのが「歯ぎしり(ブラキシズム)」や「食いしばり(クレンチング)」です。
寝ている間、あるいは集中している時に、無意識のうちに強く噛みしめていることはありませんか?
強い力で上下の歯を擦り合わせたり、長時間ギュッと噛み続けることで、歯やその周囲の組織に大きな負担がかかります。
その結果、歯がしみたり痛みを感じたり、歯の根元が削れてくる(くさび状欠損)ことも。
さらにひどくなると、歯にヒビが入る「クラックトゥース症候群」や、顎関節症の原因にもなりかねません。
2. 自律神経の乱れによる“知覚過敏様の症状”
ストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
それにより、痛みに対する感受性が過剰になり、健康な歯でも「しみる」「ズキズキする」と感じてしまうことがあります。
歯科の検査では異常が見つからず、でも確かに痛みや違和感がある。
そうした場合、背景にストレスが隠れていることも多いのです。
3. 唾液の減少と口腔内のトラブル
ストレス状態では交感神経が優位になりやすく、唾液の分泌が減少します。
すると、お口の中が乾きやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境に。
その結果、歯ぐきの炎症や口臭、口内炎といったトラブルが頻発するようになります。
乾いたお口は虫歯や歯周病のリスクも上がるため、見逃せない問題です。
心と歯はつながっている ― 歯科でも「心のケア」が大切な理由
実は、歯科の世界でも「心の状態」を診る視点が重要視されるようになっています。
特に、慢性的な痛みや、原因不明の違和感が長引くケースでは、「ストレス」「不安」「緊張」などの心理的要因が深く関係していることが少なくありません。
当院でも、患者さまのお話を丁寧に伺いながら、必要に応じてナイトガードの提案や生活習慣の見直しをご案内しています。
また、「どうしても歯が痛い気がする…」という訴えに対しても、「異常なしです」と突き放すのではなく、患者さまの“感覚”や“思い”に寄り添うよう心がけています。
こんな症状があれば、一度歯科へご相談を
- 奥歯に重たい違和感がある
- 冷たいものでしみるが、虫歯ではないと言われた
- 朝起きると顎が疲れている
- 歯の根元がすり減っているように感じる
- 顎関節がカクカク音がする、開けにくい
- 最近、無意識に歯を食いしばっていると感じる
- 日中でも口の中が乾きやすい
こうした症状に心当たりがある方は、一度歯科で相談してみることをおすすめします。
特に、ストレスが多いと感じる日常を送っている方こそ、歯への影響を“見える化”することが大切です。
歯科ができるストレス対策
歯科で行えるケアには、以下のようなものがあります。
● ナイトガードの作成
就寝時の歯ぎしり・食いしばりから歯や顎を守るためのマウスピースです。
薄く柔らかいものから、しっかり保護するハードタイプまで、状態に合わせてご提案します。
● 咬合(かみ合わせ)のチェック
ストレスによる過緊張で咬み合わせが変化している場合、バランスの調整を行うことで違和感が軽減することもあります。
● 生活習慣のアドバイス
リラックスできる時間の作り方、スマホ姿勢の見直し、カフェインやアルコールの摂取時間など、歯科目線での“暮らしとストレス”へのアプローチも。
まとめ:違和感の奥には「こころの声」があるかもしれません
ストレス社会に生きる私たちにとって、「こころとからだのつながり」を意識することは、これまで以上に大切です。
歯や顎の違和感が、実は「がんばりすぎてるよ」というサインだった——
そんなことも、日々の診療で少なくありません。
「ただの疲れかも」と放置せず、お口の中の変化にはぜひ耳を傾けてください。
そして気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。
心も歯も、健やかに。
それが、私たちTHE DENTALの願いです。