2025.08.16 診療コラム

子供の歯の着色

みなさまこんにちは。歯科衛生士の本間です。
暑さが本格的になり、冷たい飲み物やアイスが恋しくなる季節ですね。
さて今回は、保護者の方からよくいただく質問のひとつ——
「うちの子の歯がなんだか茶色っぽくなってきて…着色ですか?」というご相談にお答えしていきます。

実は、子どもの歯に見られる“着色”には、多くの原因が潜んでいます。
そして意外なことに、「しっかり磨いているのに」起きることもあるのです。

なぜ?子どもの歯に着色が起こる理由

子どもの歯の表面は、大人の歯に比べてまだ柔らかく、歯質も未熟です。
そのため外からの色素がつきやすく、着色が目立つことがあります。
主な原因は以下のようなものです。

色の濃い飲食物による色素沈着

鉄分が添加されたベビーフードや、麦茶・ココアなど、色の濃い飲み物や食べ物を日常的に口にすることで、歯に色素が沈着していきます。

特に麦茶は大人の歯には影響が少ないものの、子どものやわらかい歯には着色の原因になることがあります。

歯垢や歯石の蓄積

磨き残しがあると、そこにプラーク(歯垢)がたまり、時間がたつと歯石になり、茶色く変色することがあります。
これは一見「虫歯っぽく」見えるため、焦ってしまう親御さんも多いのですが、歯科でのクリーニングで落とせることがほとんどです。

黒い色素を出す細菌の関与

「クロライン」という色素を出す細菌が口の中に棲んでいると、歯の根元あたりが黒っぽくなることがあります。
これは「ブラックステイン」と呼ばれる現象で、体質や口腔内環境によって起こりやすさが異なります。

見た目にはびっくりしてしまいますが、病的なものではありません。ただし、定期的な除去は必要です。

ジェル状の歯磨剤の影響

そして見落としがちな着色の原因のひとつが、ジェルタイプの歯磨剤です。

「ジェルタイプ」は泡立ちが少なく、味もマイルドなので子ども向けとしてよく使われます。
ところが一部の製品には、色素(着色料)や粘着性の高い成分が含まれており、歯の表面に色素が残りやすいことがあります。

とくに、すすぎが十分でない場合や、電動歯ブラシなどとの併用で歯面に塗り伸ばされてしまうと、かえって色が沈着してしまうこともあります。

着色を防ぐには?

色素の沈着を100%防ぐのは難しいですが、以下のポイントを意識するとリスクを減らせます。

  • 飲食後はできるだけお水やお茶で口をゆすぐ(特に色の濃い飲食物をとったとき)
  • 毎日の仕上げ磨きで、歯と歯ぐきの境目までやさしく磨く
  • 歯磨剤の種類を見直す(無着色・発泡剤少なめ・低研磨のものを選ぶ)
  • 月1回〜3ヶ月に1回のクリーニングで着色をリセット

着色=虫歯ではありません。でも…

子どもの歯に茶色や黒っぽい色がついていると、やはり「虫歯では?」と心配になるものです。
着色そのものは多くの場合、健康には大きな影響はありませんが、それが歯垢や磨き残しのサインである場合もあります。

「着色の奥に初期虫歯があった」というケースもありますので、見た目の変化を感じたら、まずは一度歯科へご相談ください。

THE DENTALでは、定期クリーニングをおすすめしています

当院では、お子様の口腔環境に合わせたやさしいクリーニングと着色除去を行っています。
「うちの子、着色が多くて…」と感じている保護者の方も、ぜひお気軽にご相談ください。

また、フッ素塗布は3ヶ月ごとの塗布を推奨しておりますが、ご希望があれば毎月(1,100円・自費)での塗布も可能です。

お子さまの歯をきれいに、そして健康に守っていくために。
歯の色の変化も、大切な“サイン”として一緒に見守っていきましょう。

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