2025.08.17 診療コラム

検査、いりますか?

— 歯周病検査の「なぜ」にお応えします

こんにちは。歯科衛生士の八田です。

「今日は時間がないので、検査は省いてもらっていいですか?」
「痛くもないし、クリーニングだけで大丈夫です」

歯科医院で、そうお話しされる患者さまが時折いらっしゃいます。
確かに、歯ぐきの検査(歯周検査)はちょっと面倒に感じられるかもしれません。細い器具を歯と歯ぐきの間に入れて、チクチクとした違和感がある。お仕事や育児で忙しい中、できれば簡単に済ませたいと思うのも無理はありません。

でも、ちょっとだけお時間をください。
その「省いてもいい」と思われがちな検査、実はあなたの歯を守るための“見えないセンサー”のような存在なのです。

歯周病は、音もなく進む病気

虫歯のように痛みがあるわけでもなく、見た目の変化も分かりづらい。
歯周病は、“静かに進行する病気”といわれています。

それゆえ、自覚したときには手遅れ…ということも。
最悪の場合、大切な歯を失ってしまう原因にもなりかねません。

日本人が歯を失う原因の第1位は、この歯周病です。
けれど、多くの方が「気づかないまま進行していた」と言います。
だからこそ、“症状が出る前”に、検査という「気づきのチャンス」が必要なのです。

検査では、何をしているの?

歯周病の基本検査では、専用の細い器具を使って、歯と歯ぐきの間のすき間(=歯周ポケット)の深さや、出血・動揺の有無を調べます。

  • ポケットの深さ:歯ぐきの炎症の程度をチェック
  • 出血の有無:歯ぐきの血管が傷ついているかのサイン
  • 歯の動き:歯を支える骨が減っていないか

これらの情報をもとに、「今、歯ぐきに何が起きているのか?」を診断し、クリーニングや治療方針を立てていきます。

じゃあ、検査しないとどうなる?

検査を省くと、たとえば…

  • 歯周病があるのに、気づかず放置
  • 適切なクリーニングができず、逆に歯ぐきを傷つけてしまう
  • 症状が悪化してから、慌てて治療開始

こんな未来が、待っているかもしれません。

「痛くないから、大丈夫」
「見た目はきれいだから、問題ない」

その感覚が、実は一番危うい。
歯周病は、“静かなる侵略者”のように、じわじわとあなたの歯を揺さぶっているかもしれないのです。

THE DENTALのスタンス―「治す」より「守る」ために

私たちは、歯周病の検査を「面倒なルーティン」だとは思っていません。
それは、歯を守るための地図を描く作業だと考えています。

お一人おひとりのお口の状態をしっかりと把握し、どこをどうクリーニングすればいいのか、どこに注意して歯磨きをすればいいのか。
そのヒントは、すべてこの小さな検査の中に詰まっています。

“治療のため”ではなく、“予防のため”に。
検査は、未来の歯を守るアクションのひとつなのです。

最後に

ほんの数分の検査が、10年後のあなたの歯を左右するかもしれない。
そう考えたら、ちょっと見え方が変わりませんか?

私たちは、「必要ないこと」はしません。
でも、「今やっておくべきこと」は、きちんとお伝えします。

どうぞ、安心してお任せください。
あなたの歯を、これから先もずっと使い続けていただくために、私たちは今日も小さな変化を見逃さない診療を心がけています。

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