2025.12.16 診療コラム

フッ素ってどう使うの?

皆さま、こんにちは!
歯科助手の伊東です。
季節の変わり目ですが、いかがお過ごしでしょうか?

「子どもの歯磨きは毎日ちゃんとしているのに、フッ素ってどれくらい必要なんだろう…?」
そんな声を、THE DENTALでもよく耳にします。

“フッ素がむし歯予防にいいらしい” ということは広く知られていますが、家庭でできることと、歯科医院で行うフッ素の役割はまったく別物。
この違いが分かると、むし歯予防の力がぐんと上がります。

今日は、その仕組みを少しだけ深く、でもわかりやすくお伝えします。


1. まず、フッ素が「何をしているのか」知っていますか?

フッ素は、ざっくり言えば 歯を“強くするミネラル” の一種。
ただし、飲んで効くわけではなく、歯の表面に触れることで働きます。

フッ素の主な働きは3つ:

  1. 歯の再石灰化を促す(修復を手伝う)

  2. 歯質をむし歯菌の酸に溶けにくくする(強化する)

  3. 菌の活動をおさえる

つまり、フッ素は
「小さなむし歯予備軍を戻す」+「そもそも虫歯になりにくい歯を育てる」
という二刀流の優秀さ。

でも、なぜ家庭だけでは不十分なのでしょう?


2. 家庭で使うフッ素:ポイントは“毎日少しずつ”

ご家庭では、
フッ素入り歯磨き粉を毎日使うことが最大のむし歯予防 になります。

むし歯は「毎日の飲食 → 酸が出る → 歯が溶ける → 再石灰化の繰り返し」。
この日々の揺らぎの中でフッ素が働くため、継続が命。

    年齢別のフッ素濃度の目安(一般的なガイド)

  • 0〜5歳:500〜1000ppm

  • 6歳〜大人:1000〜1500ppm

  • うがいができない子は米粒程度の量でOK

“正しい濃度を、量を守って、毎日使う”
これが家庭でできる最強のむし歯予防習慣です。

しかし、これだけでは歯を完璧に守ることはできません。


3. 歯科医院のフッ素:家庭ではできない“集中ケア”

歯科医院で扱うフッ素は、
家庭より高濃度・高密着・高持続 がポイント。

専門的なフッ素塗布では、
歯科専用ジェルやフォームを使い、歯の表面を均一にコーティング。

特に効果が大きいのは…

 生えたての永久歯

永久歯は生えたばかりの時期が最も弱く、
この“柔らかい状態の歯”にフッ素をしっかり取り込ませると、
一生ものの強さの土台 になります。

だから、THE DENTALでは
3ヶ月〜半年に一度のプロケア+高濃度フッ素
をおすすめしています。


4. 家庭と歯科のフッ素は「サプリ」と「点滴」のような関係

イメージとしては…

  • 家庭 → 毎日のサプリメント(コツコツと補給)

  • 歯科 → 必要なときの点滴(一気に吸収・効果を高める)

どちらか片方だけでは“予防の質”が落ちてしまいます。

**5. よくある質問:

「家庭でフッ素を使っていれば、歯科医院のフッ素はいらない?」**

答えは、どちらも必要

家庭のフッ素では、
細かい溝・生えたての弱い歯・磨き残し部分には限界があります。

逆に、歯科医院のフッ素だけでは
日々の酸のダメージをカバーしきれません。

だから、
“ホームケア × プロケア”が合わさって、初めてむし歯予防が完成 します。


6. THE DENTALで大切にしているフッ素ケア

当院では
お子様の年齢・歯の状態・生活習慣
を細かくヒアリングしたうえで、最適なフッ素ケアをご提案しています。

また、

  • フッ素塗布の間隔

  • 歯磨き粉の選び方

  • 量や濃度の指導
    なども、ご家庭で再現しやすい形でお伝えしています。

「この子に合うフッ素の使い方って何ですか?」
そんなご相談も、大歓迎です。


7. むし歯予防は“難しいこと”ではなく、習慣のデザイン

フッ素は特別なものではありません。
毎日続けることで歯を守り、
ときどき歯科で集中ケアをしてさらに強くする。

ただそれだけで、
お子さまの未来のむし歯リスクはぐっと減ります。

THE DENTALは、
“習慣の組み立て”から一緒にお手伝いしてまいります。

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