JOURNAL
お口の健康は全身の健康
皆さまこんにちは、歯科助手の雛田です。
5月がスタートし新生活には少し慣れてきましたか?まだまだ慣れない環境ではあるかと思いますので、体調を崩さないようにお気をつけくださいね!そして、お口の中の環境もしっかり整えておくことも重要なのです。本日は、歯周病が全身の健康に影響を与えるのはなぜか、その理由と対策についてお話ししていきます。
◎なぜ歯周病が全身の健康に影響するのか
「歯周病」と聞くと、「歯ぐきが腫れる」「歯が抜ける」といったお口の中のトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、歯周病は「口の中だけの病気」ではありません。心臓や血管、糖尿病、妊娠中の健康状態にまで関わってくるのです。そう聞くと、少し意外に思われる方も多いのではないでしょうか。
歯周病って、どんな病気?
まず、歯周病とは何かを簡単におさらいしましょう。
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)の中の細菌が原因で、歯ぐきに炎症が起こり、やがて歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です。初期は自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることも多いのが特徴です。
口の中から「炎症物質」が全身へ
では、なぜその歯周病が全身に影響するのでしょうか?
それは「炎症」と「細菌」です。歯周病が進行すると、歯ぐきに慢性的な炎症が起こります。すると体内では「炎症性サイトカイン」という物質が作られ、これが血液を通じて全身をめぐります。このサイトカインが各臓器や組織に悪影響を与え、さまざまな病気を引き起こすリスクを高めてしまうのです。
また、歯周病菌自体が血管の中に入り込むこともあります。たとえば、歯磨きのときに出血がある場合、その傷口から細菌が血流に入り込むことで、心臓や血管にまで影響を及ぼすことがあります。
歯周病と関係が深い全身疾患
歯周病と関連が深いとされている代表的な全身疾患をいくつかご紹介します。
1. 心筋梗塞・脳梗塞
歯周病菌が血管に入ると、動脈硬化の原因となる「プラーク(粥状のかたまり)」の形成を促進することがわかっています。これにより、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるとされています。
2. 糖尿病
実は、歯周病と糖尿病は「相互関係」にあります。糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなり、逆に歯周病があると血糖値のコントロールが難しくなる、という悪循環が起こります。
3. 誤嚥性肺炎
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が誤って肺に入り込むことで起こります。歯周病があると、口の中の細菌数が多くなり、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
4. 妊娠トラブル
妊婦さんが重度の歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが高くなるという報告もあります。これは、歯周病の炎症物質が胎盤に影響を与えるためと考えられています。
歯ぐきのケアは、からだ全体のケア
こうして見ると、歯周病の予防や治療は、お口の健康だけでなく、全身の健康を守るためにもとても大切なことがわかります。健康診断では血圧や血糖値をチェックするのに、歯ぐきの状態は見逃されがち。でも、実はそこにも大きな健康の鍵があるのです。
まずは、定期検診へ
歯ぐきからの出血は、決して「よくあること」ではありません。歯磨き中に血が出る、歯ぐきが腫れている、口臭が気になるなどこういったサインがあれば、歯科医院でチェックを受けてみましょう。
定期的な歯科検診やクリーニングは、歯周病の早期発見・予防につながります。そして、将来の自分の健康を守ることができます。
歯周病は、単なる「歯ぐきの病気」ではなく、全身に影響を与える「炎症性疾患」です。心臓、血管、糖尿病、肺、妊娠とさまざまな健康リスクと深く関係しています。だからこそ、歯ぐきのケアは「全身のケア」。今日の歯磨きが、未来の健康につながっています。
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