2025.11.02 お知らせ

歯周病が関係する疾患

皆さま、こんにちは!
歯科助手の伊東です。

今回は口腔内で起きる病気が進行すると体にどんな影響を与えるのかをご紹介いたします!

歯周病が全身に影響するって本当?

― 最新の研究からわかること、そして私たちにできること

歯ぐきの腫れや出血を「小さなこと」と見過ごしていませんか?
近年の研究は、その「小さな炎症」が心臓や脳、妊娠など“全身の健康”と深く結びついている可能性を示しています。決して恐がらせるための話ではなく、早めのケアが未来の病気リスクを下げるかもしれないという前向きなメッセージです。

■ どうして「お口」の病気が体に響くのか?

科学者たちは主に2つのメカニズムを指摘しています。ひとつは細菌の流出(バクテリアの血中侵入)、もうひとつは慢性炎症の全身化です。歯周ポケットの中で増えた細菌やその産物が血流にのると、血管で炎症を引き起こし、動脈硬化や血管機能の低下に影響する可能性があります。さらに、持続する炎症性サイトカイン(炎症物質)が体全体の炎症レベルを高め、他の病気のリスクを押し上げると考えられています。

■ 心臓血管(CVD)との関係:最近の進展

疫学研究では、歯周病を持つ人は心血管疾患のリスクが高いという結果が数多く示されていますが、「因果関係」の証明は慎重に行う必要があります。
興味深いことに、直近のランダム化臨床試験では、重度の歯周病を積極的に治療すると頸動脈の内膜中膜肥厚(動脈の厚み)を抑え、血管機能が改善したと報告されました。これは、口腔ケアが血管の健康に実際に好影響を及ぼし得るという重要なエビデンスです。

■ 認知症・アルツハイマーとの関連性

近年、歯周病菌(特にPorphyromonas gingivalis)とアルツハイマー病との関連が注目されています。動物モデルやヒトの観察研究では、歯周病菌由来の因子が脳に影響を与え、神経炎症を誘導する可能性が示唆されています。ただしこちらも「関連がある」「生物学的に妥当性がある」とする報告は増えていますが、直接的な因果を断定するにはさらなる長期研究が必要です。

■ 妊娠と出生結果(早産・低体重)の関係

歯周病が妊娠結果に影響するというメタ解析やレビューも複数あります。
ある総合的な解析では、歯周病がある妊婦さんでは早産や低出生体重児のリスクが上がる傾向が示され、妊娠中の口腔ケアが重要であることが示唆されています。ただし、治療介入の効果については研究ごとに異なり、時期や治療内容によって結果が分かれる点もあります。妊娠を予定している、または妊娠中の方は歯科と産科で連携した管理が推奨されます。

■ 「全部の病気が口から来る」わけではない — バランスを大切に

重要なのは、歯周病と全身疾患の間に強い関連性を示す証拠が増えている一方で、すべてを「因果」と断定する段階には至っていない点です。
個人のリスクは年齢、喫煙、糖尿病など他の因子と絡み合っており、口腔ケアは“それらのリスクを下げる有力な手段の一つ”と考えるのが現実的です。

■ 日常でできる、実践的な対策(THE DENTALおすすめ)

  1. 定期的なプロフェッショナルクリーニング(歯石・バイオフィルムの除去)を受ける。

  2. 毎日のブラッシング+歯間ブラシ、フロスでプラークをためない。

  3. 喫煙・糖コントロールなど全身のリスクは早めに対処する。

  4. 歯ぐきの出血や腫れを放置しない。気になったら早めに相談を。
    当院では歯周病リスク評価と個別のメンテナンスプランをご提案しています。早期ケアが、将来の大きな病気予防につながる可能性があります。

■ まとめ ― 口腔ケアは「自分の全身を守る投資」です

最新の研究は、歯周病が単なる「口のトラブル」ではなく、全身の健康に関与しうることを示しつつあります。
因果の解明や長期的な介入効果を確かめる研究は今も進行中です。だからこそ、今できること――毎日のケアと定期検診、プロのクリーニング――を着実に行うことが、あなたの将来の健康を守る実践的な一歩になります。

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