JOURNAL
歯磨きをしているのに虫歯?
皆さま、こんにちは!
歯科助手の伊東です。
本日は「毎日歯磨きをしているのになぜ虫歯になる人がいるのか?」のご紹介をいたします!
毎日頑張っているのに黒い穴が見える・・・そんな経験はございませんか?
歯ブラシをしても虫歯ができてしまう方も中にはいらっしゃいます。
それはどうしてなのでしょうか?その疑問を解いていきたいと思います!
磨いているのに虫歯になる — その“共通点”とは?
― 「ちゃんとやっているのに…」という悩みに、歯科からの答え
「毎日きちんと磨いているのに、また虫歯ができたんです」
診療室で、そんな言葉を耳にすることがあります。
歯ブラシをしているのに虫歯になる。
それは、決して“サボっている”わけでも、“運が悪い”わけでもありません。
実は、虫歯になる人には共通の“見えない原因”があるのです。
■ 「磨いている」と「磨けている」は違う
まず知っておきたいのは、この基本的な違い。
多くの方は、歯ブラシで歯の表面をこすっている“つもり”になっていますが、
実際には、歯と歯の間・歯ぐきのキワ・奥歯の裏などに汚れが残っていることがほとんどです。
虫歯は「磨きにくい場所」から始まります。
つまり、“頑張って磨いているのに虫歯になる人”ほど、磨き方のクセがあるケースが多いのです。
たとえば、
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力を入れすぎて毛先が広がり、届いていない
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歯ブラシが大きすぎて奥まで届かない
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利き手側ばかり丁寧で、反対側が甘い
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フロスや歯間ブラシを使っていない
どんなに時間をかけても、道具と動かし方が合っていなければ“届かない”汚れが残ります。
■ 虫歯菌のすみかは「バイオフィルム」
歯の表面にできる、ネバネバした膜。
それが「バイオフィルム」と呼ばれる、虫歯や歯周病の原因そのものです。
このバイオフィルムは、ただの汚れではありません。
細菌たちが自ら作り出した“バリア”に守られた、小さなコロニー(集落)のようなもの。
歯ブラシでは落としきれず、時間が経つと強固な歯石に変わってしまいます。
そうなると、家庭でのケアではもう除去できません。
つまり、
「毎日しっかり磨いているのに虫歯になる」という人は、
バイオフィルムが残ったままの状態で生活している可能性が高いのです。
■ 唾液の“ちから”が弱っている
虫歯のリスクを左右するもうひとつの要因が「唾液」です。
唾液には、
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酸を中和する(pHを整える)
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溶けかけた歯を修復する(再石灰化)
-
細菌を洗い流す(自浄作用)
といった自然の防御機能があります。
しかし、ストレスや薬の副作用、口呼吸、加齢などで唾液が減ると、
虫歯菌にとって“居心地のいい環境”ができてしまうのです。
「磨いているのに虫歯になる」人の多くに、
実はこの唾液の働きが弱っているケースも見られます。
■ 食べ方・飲み方の“リズム”も関係
虫歯は、食べた量よりも食べる回数・間隔に左右されます。
たとえば、
・コーヒーを少しずつ何時間も飲む
・飴やガムを長く口に含む
・食事の間に何度も間食する
こうした“ダラダラ食べ”は、口の中が酸性状態に傾く時間を長くし、歯が溶ける(脱灰)リスクを高めます。
一方で、食後に水を飲んだり、ガムで唾液を促したりすることで、
口内のpHを中性に戻すことができます。
食後のリセット時間を作ることが、虫歯予防の鍵なのです。
■ 歯科でしかできない“プロの予防”
家庭でのケアをどれだけ頑張っても、限界があります。
歯科医院では、そんな「セルフケアでは届かない部分」を補うために、
定期的なプロフェッショナルクリーニングを行います。
たとえば、THE DENTALではエアフローを使用し、
微細なパウダーで歯の表面や歯肉のキワに付着したバイオフィルムをやさしく除去します。
これは、磨き残しを“リセット”するような時間。
自分では落とせない汚れを取り除くことで、
「磨いているのに虫歯になる」を「磨けば守れる」状態へ変えていきます。
■ 虫歯になりやすい人に共通する3つのサイン
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磨き方がルーティン化している
→ 同じところを同じようにしか磨いていない。 -
唾液が少ない・口が乾くことがある
→ 口呼吸やストレス、薬の影響など。 -
甘い飲み物・間食が多い
→ 食習慣のリズムが口内環境を酸性に。
この3つのうち、ひとつでも心当たりがある方は、
定期検診のときに歯科衛生士へぜひご相談ください。
自分の「虫歯リスクのタイプ」を知ることで、
正しい対策が見えてきます。
■ “磨く”から“整える”へ
歯を守るということは、ただ汚れを落とすことではありません。
唾液の状態、食べ方のリズム、生活の習慣——
それらすべてが、あなたの口内環境をつくっています。
「磨いているのに虫歯になる」という悩みは、
“努力が足りない”のではなく、
“努力の方向を整えれば変わる”というサインです。
歯科医院でのチェックと、自分に合ったケア。
その2つが重なると、虫歯は確実に防げます。
■ まとめ ― 虫歯にならない人の習慣は「知っている」
虫歯を防ぐのは、完璧な磨き方ではありません。
自分の弱点を知り、それに合わせて整えていくこと。
それが、本当の“上手な予防”です。
今日の磨き方を、少しだけ見直してみましょう。
その小さな意識の積み重ねが、
あなたの歯の未来を変えていきます。











