皆様こんにちは、歯科助手の雛田です。

「湿地帯」って聞くと、どんなイメージが浮かびますか？
ジメジメしていて、コケやカビが生えやすく、虫が多い…。
そんな場所を思い浮かべる方が多いかもしれません。

実は、お口の中にも似たような湿地帯があるんです。
それが バイオフィルムと言われるものになります。
歯の表面にぬるっとくっつく細菌のかたまりで、虫歯や歯周病の原因になる存在です。

バイオフィルムってなに？

バイオフィルムとは、細菌たちが作る「膜」のこと。
歯の表面や歯ぐきのまわりに張りつき、ヌルヌルした状態で残ります。台所の排水口やお風呂のぬめりも、実はバイオフィルムの一種なんです。

お口の中では、食べかすをエサに細菌が増え、
お互いにくっついて強固な膜を作ります。
しかもこの膜は、歯ブラシでこすってもなかなか取れません。
抗菌薬やうがい薬も通りにくく、
細菌たちにとっては守られたおうちのような状態。

つまり、バイオフィルムは「ただの汚れ」ではなく、
細菌が暮らすための快適な湿地帯なんです。

湿地をなくすには、「環境」を変えること

では、この湿地帯をどうすれば減らせるのでしょうか？
ポイントは、「敵を倒す」ではなく「環境を変える」こと。

バイオフィルムは、一度できてしまうと簡単には除去できません。
でも、付きにくい環境を整えることはできます。

・歯の表面をツルツルに保つこと（毎日のブラッシング＋定期的なプロケア）

・唾液の流れを良くすること（よく噛む、水分をとる、口呼吸を防ぐ）

・食べる時間をだらだら続けないこと（口の中が休む時間をつくる）

これだけでも、細菌が住みにくい環境に変わっていきます。
つまり、湿地を「さらりと乾いた風通しのいい場所」に変えてあげることが大切なんです。どんなに丁寧に磨いていても、
歯ブラシが届かない場所 である歯と歯の間や、歯ぐきのキワなどにはバイオフィルムが残ってしまいます。

そのため、定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。当院では、歯の表面を傷つけずにバイオフィルムを取り除ける
「エアフロー」という機器を導入しています。
超微細なパウダーがやさしく歯にあたり、普段のブラッシングでは届かない細菌の膜をスッと除去します。まるで、湿地にやわらかな風を吹かせて乾かすように、お口の中をリセットするイメージです。

「戦う」より「整える」予防へ

虫歯や歯周病は、突然起こるわけではありません。
お口の環境が少しずつ変わって、湿度が上がり、
そこに細菌が集まりやすくなっていくことで起こります。

だからこそ、予防とは「敵を倒すこと」ではなく、
環境を整えることなんです。

歯を守るのに大切なのは、
・よく磨くこと
・よく噛むこと
・よく話すこと

自然と同じで、環境が整えば、菌は暴れません。
歯を長持ちさせる一番のコツは、
お口の中を乾いた風が通る場所にしてあげることです。

まとめ

バイオフィルムは、誰の口にもできる自然な現象です。
大切なのは、それを敵と見るのではなく、
うまく付き合いながらコントロールすること。
当院でも皆様のお口の環境作りをサポートさせていただきます！