皆様、こんにちは。歯科助手の雛田です。
「最近子どもの、前歯のすき間が気になる・・」
お子様の歯を見て、そんなふうに心配になる保護者の方は多いかもしれません。笑うとかわいいけれど、もしかして歯並びが悪いの？ 将来矯正が必要？

でも実はそのすき間、ほとんどの場合は心配いりません。
むしろ、成長の途中にとても大切なサインなんです。

乳歯のすき間は「準備運動」

子どもの前歯のすき間は、専門的には「発育空隙（はついくくうげき）」と呼ばれます。これは、これから大きな永久歯が生えてくるためのスペース。乳歯は永久歯に比べて小さいため、隙間がないと次に生えてくる歯が並びきらず、ガタガタの歯並びになることもあります。

つまりこの時期のすき間は、「大きくなるための余白」。
窮屈なクローゼットより、余裕がある方が着替えやすいですよね。それと同じで、歯も生え変わるためのスペース確保をしているのです。

すき間がなくなってくる時期

多くの子どもは、6歳ごろから前歯が永久歯に生え変わりはじめます。乳歯のころにあったすき間は、だんだん埋まってきて、前歯同士がぴったり並んでいきます。一時的に「すきっ歯」「出っ歯」「歯がねじれてる」ように見えても、成長の途中ではよくあることです。

ただし、

・上の前歯の真ん中に太い筋（上唇小帯）が入りこんでいる

・永久歯が生えてきても隙間が広く残っている

・奥歯や下の歯の並びが極端にずれている
といった場合は、早めに歯科で相談しておくと安心です。

噛む力が育つと歯並びも育つ

歯の並びは、遺伝だけでなく「お口の使い方」でも変わってきます。柔らかい食べ物ばかり食べていると、あごの発達が追いつかず、歯が並ぶスペースが狭くなることがあります。
逆に、しっかり噛む習慣があると、あごの骨も筋肉もバランスよく育ち、歯が自然と良い位置に並びやすくなるのです。

食事のときは、

・一口の量を多くしすぎない

・よく噛んで飲み込む

・口を閉じて食べる
そんな小さな積み重ねが、将来の歯並びづくりにもつながります。

 指しゃぶり・口呼吸にも注意

3歳を過ぎても指しゃぶりのクセが続いていたり、いつも口がポカンと開いている場合は、歯に余分な力がかかって、すき間や出っ歯の原因になることがあります。この場合も、無理にやめさせるより、「お口を閉じて鼻で呼吸する練習」や「遊びながらお口を使うトレーニング」が効果的です。

まとめ：すき間は未来のスペース

子どものすきっ歯の多くの場合は、将来の歯並びを整えるための自然な成長過程です。もちろん、永久歯が生えそろってもすき間が残る場合や、咬み合わせに偏りがある場合は、矯正の相談が必要になることもあります。

お子さんのお口の成長は、日々変化しています。
「これって大丈夫？」と思ったら、気軽に歯医者さんで確認してみてください。写真や模型を使って、今のお口の状態やこれからの成長をわかりやすく説明してくれるはずです。

小さなすき間の奥にあるのは、未来への準備。
お子さんの笑顔を見守りながら、ゆっくり育っていく歯の物語を一緒に見届けていきましょう。