JOURNAL
本当は怖い銀歯
保険適用の銀歯、実は本当に、怖いのです。
◯金・銀・パラジウムの合金で作られる銀歯の危険性
日本で「銀歯」と呼ばれているものは、金と銀とパラジウムの合金でできていて、日本にしかないものです。国民皆保険制度のために最低限の歯の機能の回復ができる、安くて加工しやすい銀歯として以前生まれたものです。最近はこの銀歯による悪影響も注目されてきています。懸念されている3つのデメリットについて、以下で解説します。
◯銀歯のデメリット01:30%の確率で金属アレルギーを引き起こす
お口の中には細菌が何百億と住んでいるのに加え、銀歯は日々熱いもの、冷たいもの、そして咬合力を受けるなどの、過酷な環境に置かれています。そのため銀歯は劣化しやすく、傷つきやすいのです。そして銀歯の表面から金属がイオン化されて溶け出すことで、小さな粒子の成分が流れ始めて、体の中に入り込み蓄積されていきます。そしてある日突然アレルギーとして出てくることがあります。症状としてはお口の中が赤くなってしまったり、手や体の表面の皮膚がかゆくなったりすることがあります。金属アレルギーは口の中の異常だけに限らず、体全身の異常をきたす可能性があります。手が赤くただれたり、全身にぶつぶつができたりすることもあるのです。銀歯を入れてすぐに異常が出る場合だけでなく、何年もしてから体に異常が出てくることも多く、原因不明の皮膚病だと思われることがあります。
とくに銀歯に含まれているパラジウムという物質はアレルギーを引き起こしやすく、パラジウムに対してアレルギー反応を持つ方は100名中20~30名ほどいるといわれています。
◯銀歯のデメリット02:銀歯を被せた歯が虫歯になる
銀歯と歯は歯科用のセメントでくっついていますが、正確にいうとぴったりとくっついているわけではありません。銀歯を入れる際に歯との隙間をセメントで埋め、セメントと銀歯の摩擦力でくっつけているだけなのです。
そのため入り込んだ虫歯菌により、また中に虫歯がひろがってしまうケースも珍しくありません。中のセメントも劣化してくるので、古い銀歯の中で、元々の歯が真っ黒になっていたといったこともよくあります。銀歯の下の虫歯は発見しづらいですし、レントゲンにも写りにくいのでなかなか発見しにくいのも事実です。
神経がない歯の場合には症状も出にくいため、定期的な歯科検診を受けていない場合は、歯を残せないほどぼろぼろになってしまうこともあります。このような状態を避けるためにも、定期検診は重要なのです。
一方、セラミックのかぶせものや詰め物は歯やセメントと相性がよく、ぴったりくっついているため、銀歯に比べて再び虫歯になるリスクは格段に少ないです。
◯銀歯のリスク03:歯周病が悪化しやすい
銀歯の表面は傷がつきやすく、その小さい傷に口の中の菌がたくさん寄ってきます。銀歯と歯茎の境目にも歯周病菌他たくさんの菌がたまりやすく、銀歯を入れてから歯周病の進行が早まったりもします。奥歯に銀歯を入れて数年したら、歯茎が腫れたり歯周病で歯が揺れてきた、という経験がある人もいるかと思います。銀歯の周りは特に汚れや菌が溜まりやすいので、歯ブラシ以外にも歯間ブラシやフロスを使い綺麗に歯を磨き、定期的に歯科医院での健診やクリーニングを受けていく必要があります。銀歯と歯茎の境目が菌の住処になっていると、口臭の原因にもなります。
保険適用によって日本の歯科治療は安く、誰でも手軽に受けられるという利点もありますが、上記のように実は銀歯には様々なリスクもあるのです。リスクがある点もよく理解した上で、銀歯にするかセラミックの治療をするかを選択するのも大切なことです。
すでに口の中に銀歯がある場合は、定期的な歯科検診と毎日の丁寧な歯磨きをすることが必要になってきます。そしてなにより、虫歯のない健康な口腔内を目指し、予防に力を入れることが最も理想的です。
国際社会で海外の方から「なぜ日本人の口は銀歯だらけなのだろう……?」と不思議に思われないよう、口内の健康にも気を配っていきましょう。
歯科衛生士 寺尾