2022.02.16 診療コラム

低侵襲でより高い予防効果を

こんにちは。歯科衛生士の八田です。

前回・前々回と、新しい歯周病治療・メインテナンスのシステムである「GBT」や、従来のメインテナンスとの違い、バイオフィルムについて詳しくご説明させていただきました。

今回はGBTに準じて行うエアフローを使用したクリーニングで実際に使用する機械について詳しくご紹介いたします。

当院で導入している「エアフロー プロフィラキシスマスター」は、EMS社が「GBT」に基づいて開発した最新機種です。

こちらの機械により、「歯肉縁上縁下のエアフロー」「歯肉縁下のペリオフロー」「スマートピエゾンによるスケーリング」とハイクラスのプロフェッショナルケアをご提供することが可能です。

それでは、さらに詳しくご紹介していきます!

●エアフロー

パウダーの噴射により、バイオフィルム、ステイン、早期歯石を除去します。

天然の歯質はもちろん、補綴物やインプラントに対しても低侵襲な清掃が可能なため、患者様にとって快適で優しいメンテナンスを提供します。

当院で使用しているパウダーは「パウダープラス」と「パウダーレモン」の2種類です。

主に使用するものは「パウダープラス」です。

エリスリトール配合で、歯を傷付けずに侵襲性を抑えつつ、歯肉縁下4mmまでの歯肉溝内のバイオフィルムを除去することができます。

エリスリトールとは、糖アルコールを主成分とした水溶性のパウダーで、食品添加物としても用いられています。

ちなみに、キシリトールはう蝕予防効果が高いことで有名ですが、エリスリトールもミュータンス菌への抗菌性を持ち、キシリトールよりもう蝕予防効果が高いことが認められています。

そのため、歯周病菌のバイオフィルムの形成を阻害するなど、歯周病予防にも効果があります。

また、パウダー粒径が平均粒径14㎛と小さいため、口腔内の当たりがソフトで、味も甘いため、小児からご高齢の方まで幅広い患者様に快適な治療体験を提供することが可能です。

そして、パウダー粒径がより多くの細やかな粒が歯面に当たることから清掃効率向上につながります。

そんなパウダープラスで取りきれなかった、強固な汚れを取るために使用するのが「パウダーレモン」です。

名前の通りレモンフレーバーです。

パウダー粒径が平均粒径40㎛と、パウダープラスに比べて大きいため、コーヒー、赤ワイン、タバコの多量摂取による重度の外因性ステインや色素沈着を取り除くことができます。

抗炎症作用もありますが、インプラントや重度歯周炎、歯質の弱い部分などには不適応なので、個々の口腔に合せてパウダーを使い分けてプロケアを行います。

 

●ペリオフロー

歯周病が原因で生じた5mm〜10mmの深い歯周ポケットに適応し、歯周ポケット内のバイオフィルムをコントロールします。

ノズルの先端からは歯の根の方向には水のみ、側面からはパウダーとエアーが噴射し、組織へのダメージを最小限に抑えながらの清掃が可能です。

また、インプラント周辺も天然の歯と同じようにメンテナンスが必要ですが、エアフロー プロフィラキシスマスターでは人工的な部分も含め、しっかりとメンテナンスすることができます。

●スマートピエゾンによるスケーリング

スマートピエゾンという、負荷に応じてパワー出力を最適に調整する機構を搭載しているため、不要な振動で紙面を傷付けることもなく、痛みの少ないやさしいスケーリングが可能です。

エアフローを用いた後にまだ残っている歯肉縁上・縁下の歯石を除去します。

まだまだ伝えきれていないこともありますが、エアフロー プロフィラキシスマスターを使用した、GBTに基づいたクリーニングについてご紹介させていただきました。

患者様と術者の双方にとって、メンテナンスの意識の向上や口腔ケアの向上ができましたら幸いです。

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