2022.05.15 診療コラム

歯周病はどうして起こる?

皆様こんにちは。歯科衛生士の八田です。
皆様は「歯周病」のことを、どれくらいご存じでしょうか?
歯周病は虫歯と比べると自覚症状がなく、軽視されがちですが、悪化すると取り返しのつかない事態を招くこともあります。
今回は歯周病がなぜ起こるのか原因や症状についてご説明いたします。

歯周病ってどんな病気?

「歯周病」は、歯茎が細菌に侵されて起こる炎症性の病気です。
歯磨きが行き届かず、歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットにプラークが沈着したままになっていると、プラークの中にいる細菌の刺激で炎症を起こし、歯ぐきが赤く腫れてしまいます。

◯初期は「歯肉炎(しにくえん)」といいます
初期状態を「歯肉炎」といい、痛みもなく気づきにくいのでいつのまには進行してしまうことがあります。
よく見ると歯と歯ぐきの境目が赤く丸みを帯びているのが特徴です。

◯歯肉炎が進行すると「歯周炎(ししゅうえん)」といいます
進行すると炎症が広がり、歯周ポケットが深くなり、出血するようになります。この状態を「歯周炎」と呼び、ひと昔前でいう「歯槽膿漏(しそうのうろ)」の状態です。
さらに悪化すると、歯を支える土台となる骨「歯槽骨(しそうこつ))が溶けて、歯が抜け落ちてしまうこともあります。

なぜ歯周病になってしまうの?

お口の中には約300~500種類の常在菌がいます。
細菌は食物に含まれる糖分を好み、分解する際にプラークを作り出して歯の表面にくっつきます。
細菌は作り出したプラークを住み家にしてさらに増殖していくのです。
そして、歯周病の原因菌は歯ぐきを刺激する要因となります。

◯歯垢は放っておくと「歯石」になってしまいます
プラークは取り除かれないまま時間が経つと、唾液の成分などと相まって石灰化し「歯石(しせき)」となります。
歯の表面に強固に沈着してしまうので、もう歯ブラシでは除去できない状態です。
さらに、歯石の中や周囲に入り込んだ細菌が刺激となって、歯周病を悪化させることになります。

◯歯周病を進行させてしまう他の原因があります
・歯ぎしりやくいしばり、噛みしめなどのクセ
・不適合な修復物や義歯を使い続けている
・不規則な食生活をしている
・喫煙習慣がある
・ストレスを抱えている
・糖尿病や骨粗しょう症、ホルモン異常などの全身疾患がある
・薬を長期服用している
これらは直接的な原因になることもあれば、歯周病を悪化させる要素となるケースもあります。

歯周病と全身疾患の関わり

炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり悪化をさせる原因となります。

①心臓疾患・脳血管疾患との関わり
慢性的な歯周病により、歯周病菌が血管内に入り込み、心臓に送られます。
そこで歯周病菌が心臓の弁や内膜にとりついて感染をおこし、心内膜炎をおこします。
また、歯周病菌が心臓の血管にとりついて血栓を形成すると、血管が狭くなったり、血管内皮に傷が入ることにより動脈硬化をおこし、狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まります。
動脈硬化は心臓だけでなく、全身のあらゆる血管でおこる可能性があり、脳卒中などの発症リスクも高くなります。

②糖尿病との関わり
歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われてきました。
実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという疫学調査が複数報告されています。
さらに最近、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。
慢性的な歯周病により、歯周病菌由来の毒素や炎症性反応物質が血管を通し、全身へ送られます。
筋肉細胞や脂肪細胞に作用して糖の代謝を妨げたり、すい臓で作られるインスリン(血中の糖濃度を下げるホルモン)の働きを弱めます。
さらに、糖尿病が悪化することにより、糖尿病の合併症(網膜症、腎臓病、神経障害など)の発症リスクも高まります。
最近では、特に歯周病と糖尿病は密接に関わっていることが分かっており、お互いが影響し合っていると言われています。
歯周病の治療をすることで、糖尿病も改善することが分かってきているそうです。

③妊娠・低体重児出産との関わり
慢性的な歯周病により、歯周病菌や炎症性反応物質が血管を通し、子宮筋に作用して子宮の収縮を早めることで早産や低体重児出産のリスクが高まると言われています。
妊娠中は女性ホルモンの関係で歯肉炎になりやすいと言われています。
また、つわりなどで口腔内の衛生状態が悪くなりやすく、特に注意が必要です。
油断すると出産後に本格的な歯周病に移行する場合もあります。
なかでも妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。
その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字です。
産まれてくる赤ちゃんのために予防をしましょう。

④動脈硬化との関わり
動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。
歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。
プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。

⑤脳梗塞との関わり
脳の血管のプラークが 詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる病気です。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。
血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療は、より重要となります。

このように歯周病と全身の関わりは多く存在します。

全身の健康のために歯科が出来ること

毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が全身の生活習慣病を予防することにつながります。
歯医者は口腔内の変化をみる事のできるプロです。口腔ケアも自分一人できちんと行うのは難しいと言われています。
3ヶ月に一度は歯科医院を受診し、生活習慣も含め口腔内のケアを受け、予防に繋げていきましょう!

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