2022.05.27 診療コラム

イーマックスについて

歯科衛生士の松本です。

e-max(イーマックス)とは?

e-maxとは近年イボクラールビバデント社によって開発された、ニケイ酸リチウムを主成分にしたセラミック素材です。

正式名称は「エンプレス・マックス」ですが、一般的には「e-max(イーマックス)」と呼ばれます。審美性だけでなく耐久性や体への負荷が少ないこと、コスト面などいずれにおいても優れているとされており、バランスのとれた素材として注目されています。

e-max(イーマックス)のメリット

従来のオールセラミックに比べて耐久性が高いe-maxが従来のオールセラミックに比べて耐久性が高い理由はその素材が柔らかすぎず、硬すぎないからです。天然の歯と嚙み合わせた場合、素材が硬すぎると天然の歯ばかりが一方的に摩耗していってしまいます。その点e-maxは天然の歯と同程度の強度であり、どちらか一方だけが摩耗していくことがないため、歯全体の耐久性を考慮した優れた素材といえます。一般的にセラミック素材の耐用年数は5~10年といわれています。もちろんe-maxの耐久性が優れているといっても、ほかのセラミック素材と比べて確実に長持ちすると断定はできません。どのくらいもつかは使用状況や部位、メンテンナンスの有無などによっても大きく変わってきます。しかし定期的なメンテナンスを心がけていれば、10年を超えても問題なく使えることもあります。審美性が高いe-maxはガラスでできているため、透明感があり、きれいで自然な色調を再現できます。天然の歯の微妙な透明感を出せるのがこの素材の特徴です。虫歯になりにくい従来の金属を歯にくっつける「合着」の場合セメントを使用して接合しますが、時間の経過とともに口の中で溶けだしてしまいます。その結果金属が外れてしまったり、そうでなくても金属と歯の隙間に虫歯菌が入り込み、虫歯になったりする可能性があります。それに対してe-maxの場合、歯と分子レベルの化学的結合によって吸着するため隙間ができることが少なく、虫歯にもなりにくいといえるでしょう。金属アレルギーの心配がないe-maxは金属を使用しないため、金属アレルギーの心配も当然ありません。金属アレルギーは口腔内だけでなく、血液の循環により体全体に影響を及ぼす場合がありますので、可能な限りそのリスクをゼロにしたいところです。e-max(イーマックス)のデメリットいいことづくめのように思えるe-maxですが、デメリットがまったくないわけではありません。

以下、デメリットをいくつか挙げましょう。アンバランスに見える可能性があるe-maxは透明度があり審美性が高いため、単独で装着する場合は他の歯の色とアンバランスに見える可能性があります。また、どの程度自然な透明感を出せるかは加工する技術者の力量にも左右されることもあります。割れる可能性がある強度が強いといっても、セラミックですから割れる可能性はあります。特に奥歯に使用すると強い力がかかるため、まれに破損することがあります。体質に合わない可能性がある体質は人それぞれ千差万別であるため、実際に装着してみないと分からないこともあります。e-maxを用いた治療に限りませんが、噛み合わせの際の痛みや熱さ、冷たさに過敏に反応したり、歯肉が腫れたりする可能性はあります。e-max(イーマックス)はこんな方におすすめセラミック治療といってもいろいろな症例があり、適切な素材を選ぶことで最適な治療を行えます。e-maxの場合、審美性に優れているため、前歯の治療に向いているといえます。また、天然の歯と同程度の強度を備えているため、部分的な詰め物を考えている方にもe-maxはおすすめです。症例にもよりますが、奥歯の場合は嚙み合わせの際に非常に強い力がかかるため破損する恐れがあります。e-maxよりも強度が優れているセラミック素材としてジルコニアという治療方法もありますので、あわせて選択肢として検討できるでしょう。

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