2026.10.27 診療コラム

保険のマウスピースはすぐに作り直せる?紛失・破損したときの注意点

皆さまこんにちは!池尻大橋の歯医者「THE DENTAL」歯科助手の伊東です。

今回は、患者さんから非常によくいただく「マウスピースの作り直し」についてお話しします。

「マウスピースをなくしてしまったので、もう一度作ってほしい」

「割れてしまったので、新しいものを作れますか?」

「穴が開いてしまったので、同じものをもう一つ作ってほしい」

このようなご相談は、歯科医院では珍しくありません。

特に歯ぎしりや食いしばりのために、就寝時に使用しているマウスピース(ナイトガード・口腔内装置)は毎日使用する方も多いため、長く使っているうちに削れたり、変形したり、破損したりすることがあります。

また、旅行先に忘れたり、ティッシュに包んだまま誤って捨ててしまったりすることもあります。

そんなときに知っておいていただきたいことがあります。

それは、

「保険で作ったマウスピースは、なくしたり壊れたりしても、すぐに保険で新しいものを作り直せるとは限らない」

ということです。

今回は、その理由をできるだけ分かりやすくご説明します。

保険診療には一定のルールがあります

まず知っておいていただきたいのが、保険診療にはさまざまなルールがあるということです。

健康保険を使った歯科治療では、歯科医院が自由に治療内容や費用を決めているわけではありません。

どのような病気や症状に対して、どのような検査や治療、装置が保険診療の対象になるのかなど、一定のルールが定められています。

マウスピースについても同様です。

歯科医師が診察を行い、歯ぎしりや食いしばりなどに対して治療上必要と判断した場合に、保険診療として口腔内装置を製作することがあります。

そのため、

「なくしたから、同じものをもう一つ」

「割れたから、すぐ新品に交換」

「予備としてもう一つ欲しい」

というように、患者さんの希望だけでいつでも保険を使って新しい装置を製作できるわけではありません。

ここは患者さんからご質問をいただくことが非常に多い部分です。

「なくしたので、すぐ作り直してください」はできないことがあります

マウスピースを紛失してしまうことは珍しくありません。

特に多いのが、

「ティッシュに包んで置いていたら、そのまま捨ててしまった」

というケースです。

そのほかにも、

「旅行先のホテルに忘れてしまった」

「引っ越しの荷物に紛れてなくなった」

「ケースに入れていたはずなのに見つからない」

など、さまざまな理由があります。

毎晩使用している方であれば、「今日から使えないので、すぐ新しいものを作ってほしい」と思われるのは当然だと思います。

しかし、保険診療には一定のルールがあるため、紛失したからといって、必ずすぐに保険で新しいマウスピースを製作できるとは限りません。

まずは、どのような目的で使用していたマウスピースなのか、いつ頃製作したものなのか、現在のお口の状態はどうなのかなどを確認する必要があります。

「なくしてしまった=すぐ同じものを保険で再製作できる」

というわけではないことを、あらかじめ知っておいていただければと思います。

壊れた場合も、まずは捨てないでください

「マウスピースに穴が開きました」

「端が欠けました」

「亀裂が入りました」

「真っ二つに割れてしまいました」

このような場合にも、まずは歯科医院へご相談ください。

そして、壊れたマウスピースはできれば捨てずに持ってきてください。

なぜなら、実際に使用していたマウスピースを見ることで分かることがあるからです。

例えば、いつも同じ部分だけが削れているのであれば、その場所に強い力が加わっている可能性があります。

奥歯の部分に穴が開いている場合には、それだけ強い歯ぎしりや食いしばりをしている可能性もあります。

単純に「壊れたから新しいものに交換する」のではなく、

「なぜ壊れたのか」

を確認することも大切です。

破損の程度によっては、そのまま使用できる場合や調整などで対応できる場合もあります。

一方で、大きく破損していて安全に使用することが難しい場合には、再製作を検討します。

その際も、保険診療として再製作できるかどうかは、現在の状態や保険診療上の取り扱いを確認したうえで判断します。

「古くなったから新しくしたい」場合は?

「結構長く使っているから、新しいものに交換したい」

というご相談もあります。

ただ、マウスピースはスマートフォンや家電のように、一定期間使用したら自動的に新品へ交換するものではありません。

大切なのは、現在問題なく使用できているかどうかです。

きちんと歯に合っている。

大きな破損がない。

噛み合わせにも問題がない。

治療上、現在のマウスピースを継続して使用して問題がない。

このような状態であれば、単純に「古いから」という理由だけで作り直す必要がない場合もあります。

反対に、変形している、穴が開いている、歯に合わなくなっているなどの問題があれば、新しい装置が必要かどうかを検討します。

「最近きつくなった」は一度確認しましょう

以前は問題なく装着できていたのに、

「最近きつくなった」

「最後まで入らない」

「一部分だけ浮いている」

「朝起きると特定の歯が痛い」

といった場合には、一度歯科医院で確認することをおすすめします。

マウスピースそのものが変形している可能性があります。

また、マウスピースを作った後に虫歯治療を行い、詰め物や被せ物の形が変わったことで合わなくなっている可能性もあります。

場合によっては歯の位置や噛み合わせが変化していることもあります。

無理に押し込んで使用するのではなく、現在のお口の状態と一緒に確認することが大切です。

予備としてもう一つ欲しい場合は?

「なくしたときのために、もう一つ作っておきたい」

「自宅用と旅行用で2つ持っておきたい」

というご相談もあります。

非常に便利ではありますが、健康保険は必要な病気や症状に対して治療を行うための制度です。

そのため、「予備として持っておきたい」という理由で、同じ装置を保険診療として自由に複数製作できるわけではありません。

予備のマウスピースをご希望の場合には、自費での製作をご案内することがあります。

保険のマウスピースは「何個でも作れるもの」ではありません

ここはぜひ知っておいていただきたいポイントです。

保険証やマイナ保険証を提示しているからといって、必要な装置をいつでも何度でも同じ条件で作れるわけではありません。

保険診療には、それぞれの治療や装置について一定のルールがあります。

これはマウスピースだけではなく、さまざまな歯科治療に共通することです。

そのため、

「前と同じものだから、もう一度作ってください」

とご希望いただいても、その場ですぐに保険で再製作できない場合があります。

「前は保険で作れたのに、どうして今回はすぐ作れないの?」

と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

これは歯科医院が独自に決めているルールではなく、健康保険を使用して治療を行う以上、保険診療のルールに沿って判断する必要があるためです。

他の歯医者で作ったマウスピースでも相談できます

「引っ越してしまって、以前の歯医者には通えない」

「以前とは違う歯医者に通っている」

という場合でも、ご相談いただいて問題ありません。

現在使用しているマウスピースが残っていれば、受診時に持参してください。

また、

「いつ頃作ったのか」

「どのような目的で作ったのか」

「毎日使用しているのか」

など、分かる範囲で教えてください。

現在のマウスピースとお口の状態を確認したうえで、継続して使用できるのか、調整が必要なのか、再製作を検討するのかを判断します。

マウスピースを長く使うために大切なこと

マウスピースは毎日使用するものだからこそ、日頃の取り扱いも大切です。

特に注意していただきたいのが「紛失」と「熱」です。

食事などで一時的に外したときにティッシュへ包むと、ゴミと間違えて捨ててしまうことがあります。

外したときには専用のケースに入れる習慣をつけましょう。

また、マウスピースの材質によっては熱によって変形することがあります。

「消毒したいから」と熱湯をかけるのは避け、歯科医院から案内された方法で洗浄してください。

定期検診のときに持ってきてください

普段マウスピースを使用している方は、定期検診の際にマウスピースも持ってきていただくことをおすすめします。

歯だけではなく、マウスピースの状態も確認できます。

「かなり削れている」

「一部分だけ薄くなっている」

「小さな亀裂が入っている」

「噛み合わせが変化している」

といったことに早めに気づける場合があります。

マウスピースは「作ったら終わり」ではなく、使用しながら状態を確認していくことも大切です。

なくした・壊れた場合は、まず歯科医院へご相談ください

今回一番お伝えしたいことは、

「保険で作ったマウスピースは、なくしたり壊れたりしても、必ずすぐに保険で作り直せるわけではない」

ということです。

保険診療には一定のルールがあるため、患者さんのご希望だけですぐに同じ装置を再製作できない場合があります。

だからといって、

「なくしたからもう無理」

「壊れたからしばらく何もできない」

と自己判断する必要もありません。

現在の状態を確認し、調整や修理などで対応できるのか、新しいマウスピースが必要なのか、保険診療として対応できるのかなどを確認していきます。

THE DENTALでも、

「マウスピースをなくしてしまった」

「割れてしまった」

「穴が開いてしまった」

「最近合わなくなってきた」

「予備が欲しい」

「他院で作ったマウスピースを診てほしい」

といったご相談をいただくことがあります。

現在使用しているマウスピースが手元に残っている場合には、壊れていても捨てずにそのままお持ちください。

保険診療にはルールがあるため、必ずしも患者さんのご希望通りにすぐ再製作できるとは限りませんが、まず現在の状態を確認し、どのような対応が可能なのかをご説明します。

「なくしてしまったけれど、どうしたらいい?」

「これ、まだ使っていて大丈夫?」

という段階でも構いません。

気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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