2026.10.04 診療コラム

飴はむし歯になりやすい?歯科衛生士が教える飴と歯の関係

こんにちは。THE DENTAL 歯科衛生士の廣島です。

今回は、患者様からも時々ご質問をいただく「飴」についてお話ししたいと思います。

仕事中や移動中に飴をなめる方、のどの乾燥が気になってのど飴を常備している方、口寂しくなるとついつい飴を口に入れてしまう方も多いのではないでしょうか。

特にこれから空気が乾燥する季節になると、のど飴をなめる機会が増える方もいらっしゃると思います。

実は歯科の立場から見ると、飴は少し注意していただきたいお菓子のひとつです。

「甘いからむし歯になるんでしょ?」と思われるかもしれません。

もちろん砂糖が含まれていることも理由のひとつですが、飴の場合はそれだけではありません。

大きなポイントは、口の中に入っている時間が長いことです。

むし歯は「砂糖の量」だけでは決まりません

むし歯というと、「甘いものをたくさん食べるとなる」というイメージを持っている方が多いと思います。

しかし、実際には「どれくらい食べたか」だけでなく、**「何回食べたか」「どのくらいの時間をかけて食べたか」**も非常に重要です。

私たちが砂糖などの糖質を含むものを口にすると、お口の中の細菌が糖質を利用して酸をつくります。

すると、お口の中のpHが下がって酸性に傾き、歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出します。

これを「脱灰」といいます。

ただし、食べたらすぐにむし歯になるわけではありません。

食事が終わると、唾液の働きによってお口の中の酸が少しずつ中和されていきます。そして、唾液に含まれるカルシウムやリンなどによって、溶け出した歯の成分を元に戻そうとする「再石灰化」が起こります。

私たちのお口の中では毎日、この「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されています。

問題になるのは、再石灰化する時間を十分につくれない食生活です。

飴は「長時間の間食」になりやすい

ここで飴について考えてみましょう。

例えばチョコレートを1個食べる場合、数分程度で食べ終わることが多いと思います。

一方、飴はどうでしょうか。

1個の飴を10分、15分となめ続けることもあります。

さらに、

「食べ終わったらもう1個」

「仕事中ずっと飴をなめている」

「のど飴だからお菓子ではないと思って何個もなめている」

という方もいらっしゃいます。

砂糖を含む飴を繰り返しなめていると、お口の中に糖質が供給される回数が増え、酸性の状態が繰り返されます。

本来であれば唾液によってお口の環境を戻し、歯を再石灰化させたいところですが、次々に飴をなめてしまうと、そのための時間を十分に確保できません。

つまり、歯にとっては「ずっと間食している」ような状態になってしまうのです。

厚生労働省の情報でも、むし歯予防には砂糖の摂取量だけでなく、摂取する回数を減らすことが重要とされています。

「のど飴なら大丈夫」は要注意

患者様のお話を聞いていると意外と多いのが、

「お菓子はあまり食べません」

という方でも、詳しく聞いてみると、

「のど飴は一日中なめています」

というケースです。

のど飴も、商品によっては砂糖や水あめなどの発酵性糖質が含まれています。

「のどのためだから」「お菓子ではないから」と思っていても、歯から見ると糖質を含むものを口にしていることには変わりありません。

もちろん、のどの状態などによって飴が必要になることもありますので、飴そのものを完全にやめなければいけないという話ではありません。

大切なのは、習慣的に何個も続けてなめていないかを一度振り返ってみることです。

飴を食べるならどうしたらいい?

まず意識していただきたいのは、「だらだら食べない」ことです。

飴に限らず、甘いものを食べるのであれば時間をある程度決めて、食べていない時間をつくることが大切です。

例えば仕事中に飴をなめる習慣がある方なら、デスクの上に飴を置いて無意識に何個も食べ続けるのではなく、食べる回数を決めてみるのもひとつの方法です。

また、日常的に飴をなめるのであれば、商品の原材料表示を確認してみましょう。

砂糖などの代わりに、キシリトールやエリスリトールなど、むし歯の原因になりにくい甘味料を使用した商品もあります。

ただし、「シュガーレス」「糖類ゼロ」などの表示だけで判断するのではなく、どのような甘味料が使用されているのかを見る習慣をつけるとよいでしょう。

むし歯予防を意識するのであれば、「歯に信頼マーク」など、歯への影響を考えて作られた食品を選ぶ方法もあります。

キシリトールなら何でも大丈夫?

ここでも少し注意が必要です。

「キシリトール配合」と書かれているだけで、その商品に含まれる甘味料がすべてキシリトールとは限りません。

キシリトール以外に砂糖などが含まれている商品もあります。

そのため、むし歯予防を目的に選ぶのであれば、「キシリトール入り」という言葉だけを見るのではなく、原材料や糖類の内容まで確認することが大切です。

また、キシリトールなどの糖アルコールはむし歯の原因となる酸をつくられにくい甘味料ですが、一度にたくさん摂取すると体質によってはお腹がゆるくなることがあります。

「歯にいいからたくさん食べよう」ではなく、上手に取り入れていきましょう。

飴だけではありません

ここまで飴を中心にお話ししましたが、実は同じ考え方はさまざまな飲食物に当てはまります。

例えば、

砂糖入りのコーヒーを仕事中ずっと少しずつ飲む。

甘いカフェラテを午前中いっぱいかけて飲む。

ジュースやスポーツドリンクをこまめに飲む。

小さなお菓子をデスクで何度も食べる。

こういった習慣も、お口の中に糖質が入ってくる回数を増やします。

「甘いものを大量に食べているわけではないのに、なぜかむし歯ができる」

という方の場合、実はこのような「食べ方・飲み方」が影響していることがあります。

むし歯予防というと歯磨きばかりに目が向きがちですが、普段の食生活を確認することも非常に大切です。

歯磨きを頑張っているのにむし歯になる方へ

毎日しっかり歯を磨いているのに、定期検診に行くたびにむし歯を指摘される。

そんな方は、一度「何を食べているか」だけではなく、**「一日に何回、口の中に食べ物や甘い飲み物が入っているか」**を振り返ってみてください。

朝食、砂糖入りコーヒー、飴、昼食、カフェラテ、飴、お菓子、夕食……。

一つひとつの量は少なくても、口にする回数が多ければ、歯が酸にさらされる機会も増えていきます。

反対に、甘いものを完全に禁止しなくても、「食べる時間を決める」「食べた後はしばらく何も食べない」といった工夫によって、お口の中が回復する時間をつくることができます。

飴が悪いのではなく、「習慣」を見直してみましょう

今回お伝えしたかったのは、

「飴は絶対に食べてはいけません」

ということではありません。

大切なのは、飴の種類と食べ方です。

砂糖を含む飴を一日中なめ続ける習慣があるのであれば、むし歯予防の観点から一度見直してみる価値があります。

「仕事中だから仕方ない」
「のど飴だから大丈夫」
「1個が小さいから問題ない」

と思っていても、それが毎日の習慣になっていると、お口の環境に影響している可能性があります。

むし歯予防は、歯磨きだけで完結するものではありません。

フッ素を上手に活用すること、定期的に歯科医院でチェックすること、そして毎日の食事や間食の「回数・時間・内容」を整えること。

こうした小さな習慣の積み重ねが大切です。

THE DENTALでは、クリーニングだけではなく、患者様一人ひとりのお口の状態や生活習慣に合わせた予防方法もお伝えしています。

「ちゃんと磨いているのにむし歯ができる」
「仕事中に飴をよくなめる」
「どんなおやつを選べばいいかわからない」

という方は、ぜひメンテナンスの際に歯科衛生士へご相談ください。

毎日無理なく続けられる方法を一緒に考えていきましょう。

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