JOURNAL
毎日歯磨きしているのに、実は磨けていない?意外と知らない正しい歯磨きの仕方
皆さまこんにちは、THE DENTAL歯科助手の雛田です。
「歯磨きって難しいですね…!」
「毎日ちゃんと磨いているはずなのに、磨き残しが多いって言われちゃいました」
「もっと頑張って磨きます!」
受付で次回の予約を取る際に患者さまからよくいただく言葉です。
毎日欠かさず歯磨きをしているのに、歯科医院で磨き残しを指摘されると、少しがっかりしてしまいますよね。
実は、歯磨きは私たちが思っている以上に難しいものです。
子どもの頃から毎日続けている習慣ですが、正しい歯ブラシの当て方や動かし方を意識している方は、意外と少ないかもしれません。
そして、歯磨きで大切なのは、必ずしも「もっと時間をかけること」や「もっと強く磨くこと」ではありません。
頑張って磨くことよりも、自分が磨けていない場所を知ること。
これが、歯磨きを上達させるための大切なポイントです。
例えば、毎日10分間歯磨きをしていても、歯ブラシが同じ場所ばかりに当たっていれば、磨き残しは生じます。
反対に、歯ブラシの角度や磨く順番を少し変えるだけで、今まで届いていなかった部分を清掃しやすくなることもあります。
歯磨きは、ただ一生懸命に行うものではなく、自分の歯並びやお口の状態に合わせて工夫するものなのです。
今回は、歯科医院でよく見られる磨き残しの原因や、意外と知られていない正しい歯磨きの方法について詳しくご紹介します。
「磨いている」と「磨けている」は違う
歯磨きの目的は、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)を取り除くことです。
プラークは単なる食べかすではありません。細菌が集まって形成される、粘着性のある汚れです。
このプラークが歯の表面や歯と歯ぐきの境目に残り続けると、虫歯や歯周病の原因になります。
しかし、プラークは歯と似た白っぽい色をしているため、鏡で見ただけでは付着していることに気づきにくいという特徴があります。
例えば、歯の表面はきれいに見えていても、歯と歯の間や奥歯の裏側にはプラークが残っていることがあります。
また、歯ブラシを長時間動かしていても、同じ場所ばかり磨いていれば、磨けていない部分が生じます。
つまり、歯磨きの時間が長いことと、磨き残しが少ないことは必ずしも同じではないのです。
意外と磨けていない場所はどこ?
歯には、歯ブラシが当たりやすい場所と当たりにくい場所があります。
特に磨き残しが起こりやすいのが、次のような部分です。
① 歯と歯ぐきの境目
歯と歯ぐきの境目は、プラークが蓄積しやすい場所の一つです。
歯の中央部分ばかりを磨いていると、歯ぐきに近い部分に汚れが残ってしまうことがあります。
この部分にプラークが残ると、歯ぐきの炎症や出血につながることがあります。
歯ブラシの毛先が歯と歯ぐきの境目に届くように意識し、軽い力で小刻みに動かすことが大切です。
② 歯と歯の間
歯と歯の間は、通常の歯ブラシだけでは十分に清掃することが難しい部分です。
特に歯同士が接している部分や、その周囲にはプラークが残りやすくなります。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが重要です。
③ 奥歯の一番後ろ
一番奥にある歯の後ろ側は、歯ブラシが届きにくい場所です。
特に親知らずが一部だけ生えている場合や、奥歯が傾いている場合などは、汚れが蓄積しやすくなります。
歯ブラシの先端を意識して当てたり、必要に応じてタフトブラシを使用したりすると、清掃しやすくなります。
④ 下の前歯の裏側
下の前歯の裏側は、唾液腺の開口部に近く、歯石が付着しやすい場所です。
歯ブラシを横向きに動かすだけでは毛先が届きにくい場合があるため、歯ブラシを縦にして、1本ずつ磨く方法が役立ちます。
一度歯石になってしまうと、通常の歯磨きでは取り除くことが難しいため、歯科医院での除去が必要になります。
歯ブラシは強く動かした方が汚れが落ちる?
「しっかり磨こう」と思うほど、歯ブラシに力が入ってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、歯磨きは力を入れれば入れるほど汚れが落ちるというものではありません。
強い力で磨くと、歯ブラシの毛先が広がり、かえって細かな部分に届きにくくなる場合があります。
また、長期間にわたって強い力で磨き続けると、歯ぐきが下がったり、歯の根元がすり減ったりする原因になることがあります。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、毛先が大きく広がらない程度の力で動かすことが基本です。
目安として、歯ブラシを歯に当てたときに毛先が軽くしなる程度を意識しましょう。
特に電動歯ブラシを使用している方は、手磨きと同じように強く押し付けたり、大きく動かしたりしないよう注意が必要です。
歯磨きでよく見られる間違いの一つが、歯ブラシを大きく左右に動かしてしまうことです。
大きく動かすと、一度に広い範囲を磨けているように感じます。
しかし、実際には歯と歯の間や歯ぐきとの境目に毛先が十分に届いていない場合があります。
基本的には、歯ブラシを小刻みに動かし、1〜2本ずつ丁寧に磨くことを意識しましょう。
特に歯並びが重なっている部分や、歯が傾いている部分では、歯ブラシの角度を変える必要があります。
歯は一人ひとり形も並び方も異なるため、すべての歯を同じ角度で磨けばよいわけではありません。
歯磨きは何分くらいすればいい?
「歯磨きは3分すれば十分」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、適切な歯磨き時間は、歯の本数や歯並び、使用する歯ブラシなどによって異なります。
重要なのは、決められた時間だけ磨くことではなく、必要な場所を一通り磨けていることです。
例えば、3分間磨いていても前歯ばかり磨いていれば、奥歯には汚れが残ってしまいます。
反対に、磨く順番を決めておくことで、磨き忘れを減らすことができます。
おすすめは、毎回同じ順番で磨くことです。
例えば、右上の奥歯からスタートし、上の歯の外側、内側、噛む面を順番に磨き、その後に下の歯へ移る方法です。
順番を決めることで、無意識に磨きやすい場所ばかり磨いてしまうことを防ぎやすくなります。
歯磨き粉をたくさん使えば虫歯予防になる?
歯磨き粉には、虫歯予防や知覚過敏の症状を和らげる成分などが配合されています。
特に虫歯予防において重要なのがフッ化物です。
フッ化物には、歯の再石灰化を促進したり、歯質を酸に対して強くしたりする働きがあります。
成人では、年齢や虫歯リスクに応じて、1,450ppm程度のフッ化物配合歯磨き粉が選択肢になります。
6歳以上では、1,400〜1,500ppmのフッ化物配合歯磨き粉が推奨されています。
ただし、歯磨き粉は多く使えば使うほど効果が高くなるわけではありません。
6歳以上では、歯ブラシ全体に広がる程度(約1.5〜2cm)が使用量の目安です。
また、歯磨き後に何度も大量の水でうがいをすると、お口の中に残るフッ化物が少なくなってしまいます。
歯磨き後は歯磨き粉を吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度にとどめることが推奨されています。
なお、小さなお子さんでは年齢に応じてフッ化物濃度や使用量が異なるため、適切な製品を選ぶことが大切です。
フロスや歯間ブラシは毎日必要?
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に取り除くことが難しい場合があります。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を併用することが重要です。
デンタルフロスは、歯と歯の隙間が狭い部分の清掃に適しています。
一方、歯間ブラシは、歯と歯の間にある程度の隙間がある部分に適しています。
ただし、歯間ブラシはサイズ選びが重要です。
無理に太い歯間ブラシを挿入すると、歯ぐきを傷つける原因になることがあります。
また、フロスを強く押し込むことも、歯ぐきへの負担につながる場合があります。
毎日のセルフケアに取り入れることが望ましいですが、自分に合った道具や使用方法がわからない場合は、歯科医院で確認することをおすすめします。
歯ブラシはいつ交換すればいい?
歯ブラシは、使用しているうちに毛先が広がったり、弾力が失われたりします。
毛先が広がった歯ブラシでは、歯の細かな部分に毛先が届きにくくなり、清掃効率が低下することがあります。
一般的には、約1か月を目安に交換するとよいでしょう。
ただし、毛先が広がっている場合は、1か月経っていなくても交換が必要です。
反対に、数日から1〜2週間程度で毛先が大きく広がってしまう場合には、磨く力が強すぎる可能性があります。
歯ブラシの状態を確認することは、自分の磨き方を見直すきっかけにもなります。
電動歯ブラシと手磨き、どちらがいい?
電動歯ブラシと手用歯ブラシのどちらがよいか、気になる方も多いと思います。
電動歯ブラシは、一定の動きで清掃できることや、製品によっては圧力センサーやタイマーなどの機能があることが特徴です。
特に、手先の動きが苦手な方や、一定の時間をかけて磨くことが難しい方にとって、便利な選択肢になる場合があります。
一方で、手用歯ブラシでも、適切な方法で磨くことができれば十分なプラーク除去が期待できます。
電動歯ブラシを使用しているから虫歯や歯周病にならないというわけではありません。
どちらを使用する場合でも、毛先を適切な場所に当てることが大切です。
染め出しをすると磨き残しがわかる?
自分ではきれいに磨けていると思っていても、実際にはプラークが残っていることがあります。
そこで役立つのが、プラークの染め出しです。
染め出しとは、専用の薬剤を使用して、歯の表面に残っているプラークを色で確認する方法です。
普段は見えにくい汚れが目に見えるようになるため、自分がどの部分を磨き残しやすいのかを確認できます。
例えば、歯と歯ぐきの境目に汚れが残りやすい方もいれば、奥歯の内側に汚れが集中している方もいます。
磨き残しの場所は人によって異なります。
そのため、一般的な歯磨き方法を知るだけでなく、自分自身の磨き方の癖を把握することが大切です。
染め出しは、お子さんだけでなく、大人の方にとっても有効な方法です。
歯科医院でブラッシング指導を受ける意味
「大人になってから歯磨きの仕方を教わる必要があるの?」
そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、歯磨きは毎日の習慣だからこそ、一度身についた癖を自分で見直すことが難しい場合があります。
また、年齢とともに歯ぐきが下がったり、被せ物やブリッジが増えたりすると、必要な清掃方法も変わってきます。
矯正装置が入っている方や、インプラント治療を受けた方なども、それぞれの状態に応じた清掃が必要です。
歯科医院でのブラッシング指導では、単に「もっと丁寧に磨きましょう」とお伝えするだけではありません。
どの部分にプラークが残っているのか、なぜ磨き残しが起こっているのか、どのような歯ブラシや補助清掃用具が適しているのかを確認します。
そして、患者さんがご自宅でも無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。
毎日の歯磨きを少し見直すことが、将来の虫歯や歯周病の予防につながります。
まとめ|大切なのは「磨いた時間」より「磨けた場所」
歯磨きは、毎日行っているからこそ、正しくできていると思い込みやすい習慣です。
しかし、歯ブラシの当て方や動かし方、磨く順番などによって、汚れの落ち方は大きく変わります。
長時間磨いていても、同じ場所ばかり磨いていては十分とはいえません。
また、歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシなどを適切に使用することも大切です。
歯磨きで本当に重要なのは、何分磨いたかではなく、どれだけプラークを取り除けているかということです。
THE DENTALでは、患者さま一人ひとりの歯並びや口腔内の状態に合わせて、歯磨き方法やセルフケア用品についてご案内しています。
「毎日磨いているのに虫歯ができる」「自分の磨き方が正しいかわからない」という方は、ぜひ一度、普段の歯磨きを見直してみませんか?
定期的なクリーニングとあわせて、ご自身に合ったセルフケア方法を身につけていきましょう。











