2022.06.19 診療コラム

レントゲンの必要性

こんにちは歯科衛生士の松本です。
歯科医院を受診したとき、よく「レントゲンを撮りましょう」と言われたことがあると思います。しかし、同じ歯を何枚も撮影したり、複数の機械で撮影したりと、なぜこのようなことをするのか疑問に思うこともあったかもしれません。

今回は、歯科で使用するレントゲンについてお伝えしたいと思います。
レントゲン(エックス線画像診断)とはよく耳にする「レントゲン」という言葉ですが、これはエックス線画像撮影法の開発者であるヴィルヘルム・レントゲンの名前にちなんだ呼称であり、医療機関では他にもX-Pという呼称を用いることもあります。エックス線という特定波長域の放射線を物体に照射し、透過したエックス線をフィルムなどに写し撮ることをエックス線画像撮影、それで得られた画像を見て診断を行うことをエックス線画像診断といい、以後このコラムではエックス線画像撮影とエックス線画像診断をあわせてレントゲンと呼ぶことにします。レントゲンでわかることレントゲンではその原理の性質上、撮影したもののすべてがわかるわけではなく、得意、不得意があります。基本的にレントゲンは硬組織(歯や骨など)の描写を得意とし、軟組織(歯肉など)の描写は苦手です。
虫歯
レントゲンでは虫歯の大きさ、深さなどを知ることができます。撮影条件によっては初期の虫歯を発見することも可能で、現在でも虫歯の診断にはレントゲンは最も有効です。しかし、たとえば銀歯の内側など、虫歯のできている場所によっては描写することができないこともあります。根尖病巣
歯の破折虫歯が歯の神経まで到達し、感染が成立すると根の先で骨の中に膿を作ったり、強い炎症を起こすことがあり、これを根尖病巣と呼びます。根尖病巣は骨の中の病変なのでレントゲンでの診断が有効です。また、歯の頭(歯冠)や根が折れたりひびが入ったりすること(歯の破折)がありますが、これらの多くは直接見ることができない部位で起こるため、レントゲンでの診断が有効です。
歯周病
歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)や歯肉などの歯周組織に細菌感染が起き、それによる炎症で歯槽骨の吸収などがおこる病気で、昔は歯槽膿漏と呼ばれていました。レントゲンでは歯周組織の状態はわかりませんが、歯についた歯石や歯槽骨の炎症の所見や吸収程度を見ることができ、歯周病の診断や治療の評価に重要な役割を果たしています。
顎関節
顎から音が鳴る、口が開きづらいなどの顎関節症の症状がある場合、レントゲンで顎関節症の診断、タイプの判定などが可能です。
頭蓋、顔面領域の骨
撮影法によりますが、現在の顎顔面領域の骨の状態、歯の生え方などを知ることもできます。レントゲンでわからないこと歯科で用いるエックス線は硬組織を描写することに適したセッティングになっているため歯肉、舌、頬粘膜などの軟組織はフィルムに写らず、診断することができません。なぜレントゲンを撮影するか?ここまでレントゲンでは何がわかるか、わからないかを見てきました。それでは、歯科治療では何を目的にレントゲンを撮影するのでしょうか?ひとつは、今現在の状態を知るためです。これから治療する虫歯や根尖病巣が現在どんな状態なのか、たとえば単純に削って詰めるだけで治せそうか、神経の治療が必要そうか、残念ながら抜歯しないといけなそうかという評価をするためや、矯正では現在の骨や歯の状態を分析して治療計画を立てるためにレントゲンを撮影します。ふたつめは、経時的な変化を知るためです。以前の治療の後、しっかり治ってくれいるか、悪化していないか、新しい虫歯や根尖病巣が出現していないかを評価するためや、矯正では顎の骨の成長や各種指標の変化を評価し、治療計画の修正、変更、継続等を検討するためにレントゲンを撮影します。