2022.06.26 診療コラム

タバコが口腔内に与える影響

こんにちは、歯科衛生士の松本です。

喫煙がお口の健康にも影響を及ぼしているのをご存知ですか?
喫煙は、虫歯と歯周病の進行を促進し、歯の喪失を早めます。

喫煙者の65歳の平均喪失本数は、非喫煙者の75歳の喪失本数を上まわり、喫煙が口腔内の老化を10年以上早めています。
喫煙者のお口の特徴
1. 歯周病歯を支えている歯茎や骨などの組織が炎症を起こす病気。
ひどくなると歯が抜け落ちる。
喫煙は、唾液の分泌を抑制するため、唾液による自浄作用が減って、口の中が不潔になり、歯周病の原因となる歯垢や歯石が付きやすくなります。

また、タバコに含まれるニコチンは、歯茎の血管を収縮させ、血液の流れを悪くします。
酸素や栄養が行き渡らなくなると、歯茎の抵抗力は弱くなり、歯周病が進行します。

喫煙により歯周病の危険性は上がります。1日に10本未満では非喫煙者の2.8倍であるのに対し、20本では4.7倍、30本以上だと5.9倍にもなります!
受動喫煙であってもその危険性は3倍です。

2. 口臭喫煙者の口腔は、ニコチンやタールの臭いがします。また、歯周病の悪化と共に口臭は、悪臭となります。

3. 歯茎の変色喫煙により、歯にタール(発がん物質)が付着し、ニコチンの影響で毛細血管が収縮し歯肉は暗紫色になります。粘膜にタールやメラニン色素を呼び、それらを多く沈着させ、歯茎や唇の色は黒ずみます。
4. がん喫煙者は、口腔や咽頭がんの発生率が非喫煙者の3倍です。咽頭がんでは、なんと32.5倍です。
◆ニコチン ニコチンはタバコへの依存性を高める物質です。吸うとリラックスする効果があり、禁煙しようと思っていてもなかなかやめられないのはこれが原因です。ニコチンには血管を収縮させる作用があるので、栄養素・酸素・血液が流れにくくなり、歯ぐきが黒ずむことがあります。また、歯ぐきからの出血が起こりにくくなるため、歯周病になっていることに気づかないことが多くなります。歯肉炎や歯周病にかかっていることに気づかず、口腔内のケアも十分できていないと、歯周病は進行し最終的には歯周病菌が骨に到達して骨が溶かされ、重度の歯周病になり歯を失うことになってしまいます。
さらに、唾液の分泌量を抑える作用もあるため、口腔内が乾燥してしまいます。乾燥すると細菌が増殖し、口臭の原因になったり、プラーク(歯垢)や歯石が付きやすくなってしまいます。
◆タールタールはいわゆる「ヤニ」のことで、発がん性物質が多量に含まれていますます。     ヤニは歯の表面に茶色くべったりくっつき、その正体は汚れの塊です。ヤニは粒子状なので歯にくっつくと歯がザラザラになります。プラーク(歯垢)はツルツルな歯よりザラザラの歯の方がくっつきやすいので、ヤニはプラークがくっつきやすい状態をつくります。プラークが付着すると虫歯や歯周病・口臭のリスクが高くなります。紙タバコより加熱式タバコ(iQOSなど)の方が「タール」の分量が少ないので、加熱式タバコを吸うことで付着する着色汚れの軽減ができます。有害物質の量が減るので口腔内のダメージも大きく変わります。だからといってタールが全く含まれていない訳ではないので、注意が必要です!
◆一酸化炭素喫煙によって発生する一酸化炭素は、細胞組織へ酸素を届ける働きを阻害します。これにより酸素を届けるヘモグロビン濃度が低下し、お口の中が貧血状態になってしまうため、歯茎が黒ずみます。また歯周ポケット内の酸素濃度が下がり、歯周病の原因となる菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。

喫煙されている方こそ定期的なメインテナンスがとても大切になります。

 

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