2026.07.08 診療コラム

根っこの治療とは?

皆さま、こんにちは!歯科助手の伊東です。
「根っこの治療ってなんで1回で終わらないの?なぜ何回も通院が必要なの?」
「神経を取るだけなのに、なんで3回も4回も通うの?」
「1週間後にまた来てくださいと言われたけど、そんなに間を空ける必要あるの?」
「毎回少しずつしか進まない気がして正直面倒……」
歯科医院で根っこの治療(根管治療)を受けている患者さんから、このような質問をいただくことは少なくありません。

痛みが強かった歯が応急処置によって楽になると、「もう治ったのでは?」と感じる方もいます。しかし実際には、症状が落ち着いただけで、歯の内部ではまだ治療が必要な状態が続いていることが多いのです。
今回は、なぜ根っこの治療は1回で終わらないのか、なぜ1週間ごとの通院になるのかについて詳しくご説明します!

根っこの治療とは何をしているの?
根っこの治療とは、歯の内部にある神経や血管が入っている細い管(根管)をきれいにする治療です。
虫歯が深く進行したり、神経が炎症を起こしたりすると、
・冷たいものや熱いものがしみる
・何もしなくてもズキズキ痛む
・噛むと痛い
・歯ぐきが腫れる
といった症状が現れます。
その場合、感染した神経を取り除き、根の中を清掃・消毒し、最終的に薬剤を詰めて密閉する必要があります。

つまり、根っこの治療は単に「神経を取るだけ」ではありません。
根っこの中は想像以上に複雑
歯の根は真っすぐなストローのような形ではありません。
実際には、
・細く曲がっている
・枝分かれしている
・非常に狭い
・複数の根管がある
など、とても複雑な構造をしています。

前歯は1本の根の場合が多いですが、奥歯になると3本、4本の根管があることも珍しくありません。
その細い管の中を少しずつ清掃し、感染した組織や細菌を取り除いていくため、どうしても時間がかかるのです。

なぜ1回で終わらないの?
患者さんから最も多い質問が、
「一気に全部やればいいのでは?」
というものです。

しかし、感染した根の中を無理に1回で治療すると、
・痛みが強く出る
・炎症が悪化する
・細菌が外へ押し出される
・十分な消毒ができない
といった問題が起こることがあります。

特に膿がたまっていたり、根の先に炎症がある場合は、まず感染を落ち着かせる期間が必要です。
そのため、
1回目:神経や感染部分を除去
2回目:根の内部の清掃・消毒
3回目:再度消毒・確認
4回目:薬剤を詰める
5回目:土台や被せ物の準備
という流れになることもあります。

「今日は何したの?」と思う日がある理由
根っこの治療中、
「今日は少し触って終わった気がする」
「5分で終わった」
と感じることがあります。
しかし、歯科医師は細い器具を使い、数ミリ単位で根の中を処置しています。
肉眼では見えない場所を治療しているため、大きな変化が見えにくいのです。
また、治療中に痛みが出ないよう、無理をせず少しずつ進めることもあります。
見た目には変化がなくても、根の内部では非常に細かな作業が行われています。

なぜ1週間後なの?
「明日でもいいのでは?」
「1日おきに通えば早く終わるのに」
と思う方もいるでしょう。
しかし根の中に入れた薬には、一定期間作用させる時間が必要な場合があります。
また、
・炎症が落ち着くか確認する
・痛みが出ないか経過を見る
・膿が減っているか確認する
という意味もあります。
毎日触れば早く終わるというものではなく、歯や周囲の組織が回復する時間も必要なのです。

通院間隔が空きすぎるのは要注意
逆に注意したいのは、途中で治療を中断してしまうことです。
「痛みがなくなったから行かなくなった」
「忙しくて数か月空いてしまった」
このようなケースは非常に多く見られます。
しかし、仮のふたの状態では完全に密閉されていません。

長期間放置すると、
・細菌が再び侵入する
・症状が再発する
・根の先に膿ができる
・最悪の場合は抜歯になる
可能性があります。

痛みがなくなったことは治ったことではありません。
最後まで治療を終えることが大切です。

根っこの治療は歯を残すための治療
もし根管治療をしなければ、抜歯になるケースも少なくありません。
つまり、根っこの治療は「歯を残す最後のチャンス」ともいえる治療です。

天然の歯は一度抜いてしまうと元には戻りません。
インプラントやブリッジ、入れ歯などの選択肢はありますが、自分の歯に勝るものはありません。
そのため歯科医師は、できるだけ歯を残すために慎重に治療を進めています。
早く終わることが良い治療とは限らない
患者さんにとって、通院回数が少ないことは大きなメリットです。
仕事や学校、家事などで忙しい方にとって、何度も通院するのは負担になるでしょう。
しかし、無理に短期間で終わらせることが必ずしも良い結果につながるわけではありません。
十分な清掃や消毒ができないまま被せ物をすると、再感染のリスクが高まります。
その結果、再治療や抜歯につながる可能性もあります。

まとめ
「なんで根っこの治療は1回で終わらないの?」
「なんでまた1週間後なの?」
「3回も4回も通うなんて面倒……」
そう感じる気持ちは決して珍しいことではありません。
しかし根管治療は、歯の内部にある非常に細く複雑な部分を治療する繊細な処置です。
感染を取り除き、消毒し、再発しない状態にするためには、どうしても複数回の通院が必要になることがあります。
治療中は変化を感じにくいかもしれませんが、その積み重ねが大切な歯を守ることにつながります。
「なぜ何回も通うのか」を知っていただくことで、少しでも安心して治療を受けていただければ幸いです。
今ある大切な歯を長く使うために、根っこの治療は最後までしっかり受けましょう。

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