JOURNAL
黒く見える歯は、全部虫歯? レントゲンとお口の中を見ながら考える、虫歯治療の進め方
こんにちは。
THE DENTAL歯科衛生士の廣島です。
今回は、実際の診療でも患者さんにお話しすることの多い「虫歯の見つけ方」と「治療の順番」についてお話しします。
歯科医院で検査をすると、
「ここが少し黒くなっています」
「この詰め物の下が怪しいですね」
「レントゲンでも確認していきますね」
という説明を受けることがあると思います。
ただ、患者さんからすると、
「黒く見えるところは全部虫歯なの?」
「すぐに削らないといけないの?」
「どこから治療するのが正しいの?」
と疑問に感じることもあると思います。
実は、虫歯の診断は、見た目だけで決めているわけではありません。
お口の中を直接見た時の状態、光を当てた時の見え方、レントゲンでの写り方、詰め物や被せ物の状態などを合わせて確認しています。
まず大切なのは、全体を見て問題点を整理することです。
虫歯は1か所だけにあるとは限りません。
奥歯の詰め物の下、歯と歯の間、前歯の裏側、親知らずのまわりなど、見えにくいところに小さく始まっていることもあります。
特に過去に治療した詰め物や被せ物のまわりは、再び虫歯になることがあります。
一度治療した歯だから安心、というわけではなく、詰め物と歯の境目に段差があったり、年月とともに隙間ができたりすると、そこから虫歯が入り込むことがあります。
診療では、まずお口の中をしっかり見ます。
ミラーで歯の裏側や歯と歯の間を確認し、光を当てながら色の変化を見ていきます。
ここでよく患者さんにお話しするのが、
「虫歯そのものが真っ黒なわけではありません」
ということです。
歯は健康な状態だと、ある程度光を通します。
ところが、虫歯によって歯の表面や内部の構造が変化してくると、光が通りにくくなります。
その結果、光を当てた時に黒っぽく影のように見えることがあります。
つまり、黒く見えるのは、虫歯の部分が真っ黒だからというよりも、歯の中で光の通り方が変わっているためです。
もちろん、黒く見えるところがすべてすぐに削るべき虫歯とは限りません。
着色の場合もありますし、ごく初期の虫歯で経過観察できる場合もあります。
歯科では虫歯の進み具合を、C1、C2などと表現することがあります。
C1は、比較的初期の虫歯です。
歯の表面のエナメル質という層に限られていることが多く、すぐに大きく削らず、フッ素や歯みがき、定期的なチェックで経過を見ることもあります。
一方でC2になると、虫歯が歯の内側の象牙質という層まで進んでいる状態です。
この段階になると、自然に元に戻ることは難しく、治療が必要になることが多くなります。
ただし、実際の診断では、C1かC2かだけで単純に決めるわけではありません。
虫歯の場所。
大きさ。
進み方。
詰め物の下にあるかどうか。
歯と歯の間なのか。
患者さんが磨きやすい場所なのか。
今後悪くなりやすい場所なのか。
そういったことを総合的に見て、治療するか、経過を見るかを判断します。
今回のように、過去に詰め物や被せ物が入っている歯では、その下や周囲が黒く見えることがあります。
詰め物の下で虫歯が進んでいる場合は、一度外して中を確認し、必要に応じて再治療を行います。
また、詰め物が外れているところや、大きく欠けているところは、できるだけ早めに治療した方が良い場合があります。
歯の中が露出している状態が続くと、虫歯が進みやすくなったり、食べ物が詰まりやすくなったりします。
治療の順番としては、基本的に「放っておくと悪くなりやすいところ」から進めていきます。
例えば、詰め物が外れているところ。
大きく欠けているところ。
虫歯が明らかに進んでいるところ。
同じブロックに虫歯が集中しているところ。
こういった場所を優先して治療していくことが多いです。
患者さんのお口の中に虫歯がいくつかある場合、すべてを一度に治療するわけではありません。
右上、左上、右下、左下というように、ブロックごとに分けて進めることがあります。
その方が、治療の流れがわかりやすく、噛み合わせのバランスも確認しながら進めやすくなります。
また、虫歯治療と同時に考えなければいけないのが、歯ぐきの状態です。
歯ぐきに炎症が強く、出血しやすい状態では、詰め物や被せ物の境目をきれいに合わせることが難しくなることがあります。
特に、歯ぐきの近くまで詰め物や被せ物が入る場合、歯ぐきが腫れていると正確なラインが決めにくくなります。
そのため、歯周病の治療やクリーニングを先に行ったり、虫歯治療と並行して進めたりすることがあります。
お口の中は、歯だけで成り立っているわけではありません。
歯ぐき、骨、噛み合わせ、歯並び、過去の治療の状態がすべて関係しています。
そのため、虫歯だけを見て治療するのではなく、お口全体を見ながら治療計画を立てていきます。
もうひとつ大切なのが、歯並びです。
歯が重なっていたり、倒れていたりすると、歯ブラシが届きにくくなります。
その結果、同じ場所に汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病を繰り返しやすくなることがあります。
矯正治療というと、見た目を整える治療というイメージが強いかもしれません。
もちろん見た目の改善も大切な目的のひとつです。
ただ、歯科医師の立場から見ると、矯正には「磨きやすい環境をつくる」という大きな意味もあります。
歯並びが原因で清掃不良になり、同じ場所に虫歯を繰り返している場合、詰め物を何度もやり直すだけでは根本的な解決にならないことがあります。
良い詰め物や被せ物を入れても、歯が倒れていたり、歯と歯の間に汚れがたまりやすかったりすると、再治療が必要になる可能性があります。
そのため、まずは虫歯治療をしっかり行い、その後に必要であれば矯正治療を検討する、という順番になることがあります。
基本的に、虫歯がある状態で矯正治療を始めることはおすすめできません。
矯正中に虫歯が進んでしまうと、治療計画が変わってしまうことがあるためです。
まずは虫歯を治す。
歯ぐきの状態を整える。
そのうえで、歯並びや噛み合わせについて考える。
この順番が大切です。
矯正治療に年齢制限はありません。
ただし、歯周病が重度に進んでいて、歯を支える骨が大きく下がっている場合は、矯正治療が難しくなることがあります。
歯を動かす治療は、歯のまわりの骨にも関わります。
そのため、歯周病のコントロールができていることが大前提になります。
虫歯治療は、ただ悪いところを削って詰めるだけではありません。
なぜそこに虫歯ができたのか。
過去の治療がどうなっているのか。
歯ぐきの状態はどうか。
歯並びや噛み合わせに原因はないか。
今後、同じ場所に再治療が必要にならないか。
そういったことを一つずつ確認しながら進めていくことが大切です。
検査で虫歯がいくつか見つかった場合でも、すべてがすぐに大きな治療になるわけではありません。
経過観察できるものもあれば、早めに治した方が良いものもあります。
大切なのは、患者さんと一緒に確認しながら、優先順位を決めていくことです。
THE DENTALでは、レントゲンやお口の中の写真、光による確認などを組み合わせながら、できるだけ見逃しが少なくなるように診査を行っています。
「どこが虫歯なのか」
「なぜ治療が必要なのか」
「どこから始めるのか」
「今すぐ治療しなくてもいいところはあるのか」
こういったことを、できるだけわかりやすくお伝えしながら治療を進めていきます。
虫歯があると言われると、不安になる方も多いと思います。
でも、すぐに全部を削るというわけではありません。
今のお口の状態をきちんと知り、必要なところから順番に整えていくことが、歯を長く守るためにはとても大切です。
気になるところがある方、過去の詰め物や被せ物の状態が心配な方、しばらく歯科医院に行けていない方は、一度お口全体のチェックを受けてみてください。
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