2026.08.04 診療コラム

大人こそ磨き方の見直しが必要です!

皆さまこんにちは!
池尻大橋の歯科医院、THE DENTAL歯科助手の伊東です。

「この年齢になって、歯の磨き方を教えてもらうのは恥ずかしい」
「今さら歯ブラシの持ち方を注意されたくない」
「子どものように指導されるのが嫌で、歯医者に行けない」

歯科医院でクリーニングや定期検診のお話をしていると、このような気持ちを持っている方がいらっしゃいます。

歯磨きは、子どもの頃から毎日続けているものです。

大人になって何十年も歯を磨いてきたのに、今になって「正しい磨き方を練習しましょう」と言われると、自分のこれまでを否定されたように感じるかもしれません。

「そんなこともできていないと思われたくない」
「歯科衛生士さんにあきれられそう」
「磨けていないところを見せるのが恥ずかしい」
そう考えて、歯科医院から足が遠のいてしまう方もいます。

しかし、歯科医院で行う歯磨きの確認は、大人としての常識や生活態度を評価するためのものではありません。

歯並び、歯ぐきの状態、被せ物、加齢による変化などを確認し、今のお口に合った磨き方を一緒に考えるために行います。

今回は、この年齢になって歯磨き指導を受けるのが恥ずかしく、歯医者に行けないと感じている方へお話しします。

歯磨き指導は子どもだけが受けるものではありません。
「歯磨きの仕方は、子どもの頃に習うもの」というイメージがあるかもしれません。
確かに、小児歯科では歯ブラシの持ち方や動かし方をお子さんや保護者の方にお伝えします。

しかし、実際には大人にも歯磨きの確認は必要です。
大人になると、口の中にはさまざまな変化が起こります。
虫歯治療をした歯に詰め物や被せ物が入ったり、歯ぐきが下がって歯の根元が露出したり、歯と歯の隙間が広がったりすることがあります。
親知らずが一部だけ生えている場所や、歯並びが重なった部分、ブリッジやインプラントの周囲など、通常の歯ブラシだけでは磨きにくい場所が増えることもあります。

子どもの頃と今とでは、口の中の形も、注意すべき場所も同じではありません。

つまり、大人の歯磨き指導は、ゼロから歯磨きを教わるものではなく、現在のお口の状態に合わせて方法を調整するためのものです。
車を長く運転している人が、環境の変化に合わせて運転方法を見直すように、歯磨きも年齢や口の中の変化に合わせて見直す必要があります。

毎日磨いていても、磨き残しはできます
歯科医院で磨き残しを指摘されると、

「毎日きちんと磨いているのに」

と落ち込んでしまう方がいます。

しかし、磨き残しがあることは、歯磨きをしていないという意味ではありません。

歯ブラシを毎日使っていても、毛先が必要な場所に届いていなければ、同じ部分に歯垢が残り続けます。
特に磨き残しが出やすいのは、奥歯の後ろ側、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、歯並びが重なっている部分です。
また、利き手によって磨きやすい側と磨きにくい側ができることもあります。

本人としては全体を同じように磨いているつもりでも、無意識に歯ブラシを動かしやすい場所ばかり磨いている場合があります。
歯ブラシを強く握る癖がある方は、歯の表面は磨けていても、細かい部分に毛先が入っていないことがあります。

反対に、歯ぐきを傷つけることを怖がって力を弱くしすぎると、歯と歯ぐきの境目に汚れが残る場合もあります。
これらは、本人の努力が足りないから起こるものではありません。
自分では見えにくい部分を、同じ角度、同じ動かし方で毎日磨いているため、癖に気づきにくいのです。
長年続けた磨き方が、今の口に合わなくなることがあります

これまで虫歯も少なく、特に問題なく過ごしてきた方でも、年齢とともに歯磨きの方法を変えた方がよい場合があります。

例えば、歯ぐきが下がると、それまで歯ぐきに隠れていた歯の根元が見えるようになります。
歯の根元は虫歯になりやすく、冷たいものがしみる知覚過敏が起こることもあります。
強い力で横に大きく磨いていると、歯ぐきや歯の根元に負担がかかる可能性があります。

反対に、痛みや出血を避けるために歯ぐきの周囲を磨かなくなると、歯垢が残り、さらに炎症が進んでしまうことがあります。
被せ物やブリッジが入った場所も、天然の歯とは形が異なります。
歯ブラシだけでは届かない部分に、歯間ブラシやフロス、タフトブラシなどが必要になることがあります。

若い頃に身につけた歯磨き方法が間違っていたということではありません。
そのときは問題がなかった方法が、現在の口の中には合わなくなっているだけです。

歯磨き指導は「できているかを試すテスト」ではありません

歯科医院で染め出し液を使い、歯垢が残っている部分を赤や青に染めることがあります。
鏡を見たときに、予想以上に色がついていると、

「こんなに磨けていなかったのか」

「人に見られるのが恥ずかしい」

と感じるかもしれません。

しかし、染め出しは点数をつけるために行うものではありません。

透明で見えにくい歯垢を目で確認し、どこに歯ブラシを当てれば効率よく落とせるのかを分かりやすくするためのものです。
歯垢が残っている場所が分からないまま「もっと丁寧に磨いてください」と言われても、何を変えればよいか分かりません。

染まった場所を見ることで、

「右下の奥歯だけ残りやすい」

「歯の表面ではなく、歯ぐきとの境目に残っている」

「歯ブラシではなく、フロスが必要な場所だった」

など、具体的な改善点が分かります。

歯科衛生士が見ているのは、できていないことではなく、どうすれば今より楽に汚れを落とせるかという点です。
大人には大人の事情があります

歯磨きに十分な時間を取れない理由は、人によって異なります。
仕事が忙しく、朝は急いで家を出なければならない方もいます。
夜は疲れて、歯ブラシを持ったまま眠くなってしまう方もいるでしょう。
小さなお子さんがいる方は、自分の歯磨きよりも、お子さんの仕上げ磨きを優先しているかもしれません。
介護や家事などで、自分のことを後回しにしている方もいます。
また、手や指が動かしにくい、口を長く開けることが難しい、嘔吐反射が強いなど、身体的な理由で歯磨きが難しい方もいます。
そのような事情を考えずに、「毎食後、何分間磨いてください」と一方的に伝えても、継続できるとは限りません。

歯磨き指導で大切なのは、理想的な方法を押しつけることではなく、その方の生活の中で実行できる方法を探すことです。

朝は時間が取れないのであれば、夜だけでも丁寧に磨く方法を考えます。
フロスを毎回使うのが難しければ、一日一回、続けやすい時間帯に使用する方法があります。
何種類もの道具を使うことが負担であれば、まず優先度の高いものを一つだけ取り入れることもあります。

大人の歯磨き指導は、生活を無視した完璧な方法を求めるものではありません。
同じ場所を繰り返し指摘されるのがつらいとき
定期検診へ行くたびに、

「またここが磨けていません」

「前回も説明しましたよね」

と感じるような言葉を受けると、次第に歯科医院へ行きたくなくなることがあります。

自分なりに努力しているのに、できていない部分ばかり伝えられると、責められているように感じるのは自然なことです。
同じ場所に磨き残しがある場合は、単に練習が足りないのではなく、使っている歯ブラシや方法が合っていない可能性があります。
通常の歯ブラシでは届きにくい場所に、毎回同じ方法を繰り返しても改善しないことがあります。

そのようなときは、

「自分では磨いているつもりですが、どうしても残ります」

「今の方法では続けるのが難しいです」

「もっと簡単にできる方法はありますか」

と伝えていただいて構いません。

歯ブラシの大きさを変えるだけで磨きやすくなる方もいます。
タフトブラシを一か所だけに使う方法や、電動歯ブラシを取り入れる方法が合う方もいます。
できないことを繰り返し注意するより、なぜできないのかを一緒に考えることが必要です。
歯磨きが苦手だからこそ、歯科医院を利用してください

「きちんと磨けるようになってから歯医者へ行こう」

と考える方がいます。

しかし、自分で完璧に磨けるようになってから受診する必要はありません。
どこに汚れが残っているのか、自分の歯ブラシが合っているのか、どの補助道具が必要なのかは、自分だけでは判断しにくいことがあります。

また、歯石になった汚れは、歯ブラシで丁寧に磨いても落とすことができません。
歯科医院でクリーニングを受け、一度汚れを取り除いたうえで、再び付着しにくい方法を確認することが大切です。
歯磨きがうまくできないことは、歯医者へ行ってはいけない理由ではありません。
むしろ、うまくできない場所があるからこそ、歯科医師や歯科衛生士を利用していただきたいと思います。

歯医者へ行かない期間が長いほど、恥ずかしさが強くなることがあります
歯磨きについて何か言われるのが嫌で受診を先延ばしにすると、歯垢や歯石が増え、歯ぐきから出血しやすくなることがあります。

時間がたつほど、

「こんな状態を見せられない」

「もっと早く来ればよかったと言われそう」

「今さら行くのは恥ずかしい」

と感じ、さらに足が遠のいてしまいます。

しかし、久しぶりに受診された患者さんに対して、歯科医院がまず考えるべきことは、来られなかった期間を責めることではありません。
現在の状態を確認し、痛みや炎症がある場所から優先的に対応し、今後どうすれば歯を守れるかを考えることです。
半年ぶりでも、数年ぶりでも、受診しようと思った日が再スタートの日です。

過去の歯磨きの状態を変えることはできませんが、今日からのケアは変えることができます!

年齢を重ねたからこそ、歯磨きの確認には意味があります
年齢を重ねると、歯の本数や治療歴だけでなく、唾液の量、服用している薬、食生活なども変化します。
唾液が少なくなると、口の中の汚れが流れにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。

被せ物や詰め物が増えると、その周囲に汚れがたまりやすくなります。

歯周病によって歯ぐきが下がると、今まで使っていた歯ブラシだけでは清掃しにくい部分が増えます。
大人になってから歯磨き指導を受けるのは、今まで何も学んでこなかったからではありません。

長く使ってきた歯を、これからも守るために方法を更新するということです。
自己流で続けてきた方法を少し変えるだけで、磨き残しが減ったり、歯ぐきの出血が改善したりすることがあります。

恥ずかしい気持ちは、そのまま伝えて構いません

歯磨き指導に抵抗がある場合は、最初にその気持ちを伝えてください。

「この年齢で磨き方を教わるのが恥ずかしいです」

「注意されるような言い方が苦手です」

「できていない部分ばかり言われると、通うのが嫌になります」

このようにお話しいただくことで、説明の仕方や進め方を調整しやすくなります。

磨き残しの確認を詳しく行うことを希望する方もいれば、必要な部分だけ簡潔に教えてほしい方もいます。
毎回すべてを練習するのではなく、一回の受診で一か所だけ確認する方法もあります。
歯科医院でのケアは、患者さんが継続して通えることが大切です。
指導を受けること自体が負担となり、受診できなくなってしまっては意味がありません。
完璧な歯磨きを目指さなくても大丈夫です

歯科医院で説明を受けた方法を、毎日すべて完璧に行うことは簡単ではありません。
忙しい日もあれば、疲れてできない日もあります。
一度うまくできなかったからといって、歯磨き指導が無駄になるわけではありません。
まずは、今まで磨けていなかった場所に歯ブラシを当てる回数が少し増えるだけでも変化です。
毎日フロスを使えなかった方が、週に数回使えるようになることも前進です。

大切なのは、できなかった日を責めることではなく、無理なく続けられる形に調整していくことです。
歯科医院でのクリーニングと、ご自宅での歯磨きは、どちらか一方だけで十分というものではありません。
自分で落とせる汚れは毎日のケアで取り除き、難しい部分は歯科医院で定期的に確認します。
その二つを組み合わせることで、歯を守りやすくなります。
歯磨きを教わることは、恥ずかしいことではありません

この年齢になって歯磨き指導を受けることは、恥ずかしいことではありません。
年齢とともに変化した口の中に合わせて、今の自分に必要な方法を確認するための時間です。
毎日磨いていても、見えにくい場所に汚れが残ることはあります。
歯並びや被せ物の形によって、通常の歯ブラシでは磨きにくい場所もあります。
それは本人のだらしなさや、努力不足だけで決まるものではありません。

「今さら聞くのは恥ずかしい」と感じるような基本的なことでも、遠慮なく質問してください!

歯ブラシの持ち方、交換時期、フロスや歯間ブラシの選び方など、分からないことがあって当然です。
歯科医院は、歯磨きが完璧な方だけが通う場所ではありません。
うまくできないことや、続けにくいことを相談しながら、今より少し良い状態を目指す場所です。

怒られたり、恥ずかしい思いをしたりすることが不安で歯科医院へ行けない方も、まずは現在のお口の状態を確認するところから始めてみてください。
今ある歯をこれからも守るために、ご自身の生活に合った方法を一緒に見つけていきましょう。

池尻大橋 一般歯科 小児歯科 矯正歯科 口腔外科 THE DENTAL

Instagram