2026.08.20 診療コラム

インプラント治療の流れ・期間・骨と結合するまでを解説!

皆さまこんにちは。
池尻大橋の歯科医院、THE DENTAL歯科助手の伊東です。

「インプラントの手術を受けたら、その日に新しい歯が入ると思っていました」
「手術が終わったのに、歯の形が見えないのはなぜですか」
「骨ができるまで待つと言われたけれど、何が起きているのか分かりません」

インプラント治療について、このような疑問を持つ方は少なくありません。
インプラントという言葉が、人工の歯全体を指して使われることが多いため、
「インプラント手術の日に、見た目もかみ合わせも完成する」と思われやすいのだと思います。

しかし、一般的なインプラント治療では、手術の日に行うのは、歯の形をした人工歯を入れることではありません。
まず、歯の根の代わりになる「インプラント体」を顎の骨の中へ埋め込みます。その後、インプラント体と骨が安定するまで待ち、状態を確認してから土台や人工歯を取り付けます。

今回は、インプラント手術では何をしているのか、なぜすぐに歯を入れないことがあるのか、骨と結合するまでとはどういう意味なのか、最終的な歯が入るまでにどのくらいの期間がかかるのかを、治療の順番に沿って説明します。

インプラントは一つの部品ではありません

インプラント治療で入れる歯は、大きく分けると三つの部分からできています。一つ目は顎の骨の中に埋め込む「インプラント体」、二つ目はインプラント体と人工歯をつなぐ「アバットメント」、三つ目は実際に口の中で歯として見える「上部構造」です。

インプラント体は、歯の根の代わりになる部分です。一般的にはチタンやチタン合金など、骨となじみやすい材料が使用されています。アバットメントは、インプラント体の上に取り付ける接続部分で、患者さんからは「土台」と説明されることもあります。その上に、セラミックなどで作られた歯の形をした上部構造を装着します。米国歯周病学会も、インプラント体にアバットメントを接続し、その上にクラウンと呼ばれる人工歯を装着する構造を説明しています。

つまり、手術の日に顎の骨へ入れるインプラント体は、まだ完成した歯ではありません。家に例えるなら、最初の手術は建物を完成させる日ではなく、建物を支える基礎を作る工程に近いものです。

インプラントの「オペ日」には何をするの?

インプラントのオペ、つまり手術の日には、局所麻酔を行い、顎の骨の中にインプラント体を埋め込みます。歯ぐきを開き、計画した位置にインプラント体を入れるための穴を顎の骨に形成し、インプラント体を埋入します。その後、状態に応じてキャップを取り付け、歯ぐきを縫合します。

日本口腔インプラント学会では、インプラント手術について、麻酔後に顎の骨へ穴を形成してインプラントを埋め、固定状態を確認して歯ぐきを戻す流れを説明しています。また、インプラントの頭を歯ぐきの上へ出しておく方法と、インプラント全体を歯ぐきの下へ覆う方法があるとしています。

手術中に入れるものを「土台」と表現することもありますが、厳密には顎の骨へ入れるのは人工歯根となるインプラント体です。人工歯と接続するアバットメントは、手術当日に装着する場合もあれば、骨との結合を待ってから装着する場合もあります。

したがって、インプラント手術が終わったときに白い歯が見えなくても、治療が失敗したわけでも、何かを入れ忘れたわけでもありません。まず人工歯根を安定させ、その後に人工歯を作るという計画で治療が進んでいる可能性があります。

手術当日に歯が入るケースもあるの?

インプラント治療の中には、手術当日に仮歯を装着する「即時荷重」や「即時修復」と呼ばれる方法もあります。ただし、すべての患者さん、すべての部位でできる方法ではありません。

手術当日に仮歯を入れられるかどうかは、インプラント体を埋め込んだときに十分な初期固定が得られているか、骨の量や硬さが適切か、かみ合わせの力をコントロールできるか、歯ぎしりや食いしばりが強くないか、感染のリスクがないかなどを確認して判断します。

特に前歯では、歯がない状態をできるだけ避けるために仮歯を入れることがあります。しかし、見た目のために仮歯が入っていても、通常の歯と同じように強くかめるとは限りません。骨との結合を妨げないように、仮歯をかみ合わせから外したり、食事の方法を制限したりすることがあります。

手術当日に歯を入れられる方法が、必ずしも最も優れた方法というわけではありません。骨やインプラントの状態に対して早い段階から強い力が加わると、安定した骨結合を妨げる可能性があります。安全性や長期的な安定を優先し、一定期間待ってから歯を入れることも大切な治療判断です。

「骨ができるまで待つ」とはどういうこと?

インプラント手術後に、「骨ができるまで待ちます」「インプラントと骨がくっつくまで待ちます」と説明されることがあります。

この説明を聞くと、インプラントの周囲に骨がまったくなく、何か月か待つとゼロから新しい骨が作られるように感じるかもしれません。しかし、通常のインプラント手術では、インプラント体はもともと存在する顎の骨の中へ埋め込まれています。

手術直後のインプラント体は、骨に機械的に固定されている状態です。その後、手術によって影響を受けた骨が治癒し、インプラント体の表面に新しい骨が形成され、インプラント体と骨が直接、安定して結びついていきます。この状態を「オッセオインテグレーション」または「骨結合」と呼びます。ITIは、インプラントが骨組織へ統合される現象をオッセオインテグレーションと説明しています。

この期間は、傷口を休ませているだけではありません。インプラントを長期間支えられるように、骨の内部で治癒と再構築が進んでいる大切な期間です。日本口腔インプラント学会も、インプラントでかめる状態になるまでには骨の治癒を待つ必要があり、待機期間は骨の状態や使用するインプラントなどによって異なると説明しています。

骨造成をした場合の「骨ができるまで」は少し意味が違います

顎の骨の幅や高さが足りない場合は、インプラント手術と同時、または手術に先立って骨造成を行うことがあります。骨造成とは、インプラント体を適切な位置で支えるために、骨補填材や患者さん自身の骨などを使用し、骨の量を増やす治療です。

この場合の「骨ができるまで待つ」は、インプラント体と既存の骨が結合する期間だけではなく、骨を増やした部分が安定し、新しい骨へと置き換わっていく期間も含みます。そのため、骨造成を行わないインプラント治療よりも、治療期間が長くなることがあります。日本口腔インプラント学会も、骨造成が必要な場合は、治療終了までの期間がさらに延びることがあると説明しています。

骨が少ないのに無理に短い期間で治療を終わらせるのではなく、インプラントを支えられる環境を整えてから人工歯を入れることが、長期的な安定につながります。

 

インプラント手術後はすぐに何でも食べられる?

手術直後は、インプラント体が顎の骨へ入っているものの、まだ骨結合が完成していません。そのため、インプラントを入れた部分へ過度な力を加えないことが大切です。

仮歯が入っていない場合は、反対側で食事をする、硬い食品を避けるなどの指示が出ることがあります。仮歯が入っている場合でも、硬いものを強くかんだり、仮歯で食べ物をかみ切ったりすることを控えていただく場合があります。

また、手術当日の傷口には血のかたまりが作られ、それが治癒の土台になります。強いうがい、飲酒、激しい運動、長時間の入浴などは、出血や腫れにつながることがあるため、手術後に受けた説明に従う必要があります。

手術から一週間前後で傷口の状態を確認し、必要に応じて抜糸を行います。医療機関によって時期は異なりますが、手術後7日から14日程度で抜糸と治癒状態の確認を行う案内もあります。

歯ぐきの表面は比較的早く治ったように見えることがあります。しかし、歯ぐきが閉じたことと、骨の中でインプラントが十分に結合したことは同じではありません。表面の傷が落ち着いても、内部では骨の治癒が続いています。

骨と結合するまで、どのくらい待つの?

インプラント体と骨が結合するまでの期間は、一般的に数か月単位で考えます。従来は、インプラント埋入後に荷重をかけるまでの治癒期間として、3~6か月程度が一つの目安とされてきました。ただし、実際の待機期間は、顎の骨の状態、上顎か下顎か、インプラントを入れたときの固定状態、骨造成の有無、全身状態、喫煙習慣などによって変わります。

骨が硬く、インプラント体が十分に固定されている場合は、比較的早い段階で次の工程へ進めることがあります。反対に、骨が柔らかい場合、骨造成を行った場合、大きな感染があった場所、抜歯後の骨の治癒を待つ場合などは、通常より長く待つことがあります。

そのため、「インプラントは必ず3か月で歯が入る」「半年あれば絶対に完成する」とは言い切れません。日本口腔インプラント学会も、治療開始から終了までの期間は症例によって異なり、埋入部位の骨の状態に大きく影響されるとしています。

歯ぐきの中にインプラントを埋めた場合は、もう一度手術をすることがあります

インプラント手術には、大きく分けて一回法と二回法があります。一回法では、インプラント体を入れた時点で、ヒーリングアバットメントなどの一部を歯ぐきの上へ出しておきます。二回法では、インプラント体を歯ぐきの下へ完全に覆い、骨との結合を待ちます。

二回法を選択した場合は、骨との結合を確認した後、インプラント体の頭を歯ぐきの上へ出すための小さな処置を行います。これを二次手術、またはインプラントの開窓と呼ぶことがあります。

「手術は一回だけだと思っていたのに、また手術があるのですか」と驚かれる方もいますが、二次手術は最初にインプラント体を顎の骨へ埋め込む手術とは内容が異なります。局所麻酔を行い、インプラント体の上にある歯ぐきを開いて、歯ぐきの形を整えるためのキャップを取り付けます。日本口腔インプラント学会も、インプラント体を歯ぐきで覆った場合には、骨との結合を待った後に頭の部分を出し、長めのキャップを取り付ける工程を案内しています。

インプラントの上に付いているキャップは歯ではありません

手術後や二次手術後に、金属製または白色の小さな部品が歯ぐきから見えることがあります。これは完成した歯ではなく、カバースクリューやヒーリングアバットメントと呼ばれる部品です。

カバースクリューは、インプラント体の内部を保護するための蓋です。ヒーリングアバットメントは、インプラント体の内部を保護するとともに、その周囲の歯ぐきを安定した形へ整える役割があります。

患者さんからすると、「金属の土台だけが見えている」「いつ歯になるのか分からない」と不安になるかもしれませんが、これは人工歯を作る前の準備段階です。歯ぐきの形が落ち着き、インプラント体の安定が確認できた後に、型取りや口腔内スキャンへ進みます。

骨と結合した後は何をするの?

インプラント体と骨が安定したことを確認した後、いよいよ人工歯を作る工程に進みます。まず、インプラント体の位置、周囲の歯ぐきの形、隣の歯、かみ合わせなどを記録するために、型取りまたは口腔内スキャンを行います。

必要に応じて、最終的な歯を入れる前に仮歯を作ることがあります。仮歯には、見た目やかみ合わせを確認するだけでなく、インプラント周囲の歯ぐきの形を整える役割もあります。特に前歯では、自然な歯ぐきのラインを作るために、仮歯の形を少しずつ調整することがあります。

その後、歯の色、形、隣の歯とのバランス、かみ合わせを確認し、最終的な上部構造を作ります。完成した人工歯は、アバットメントを介してインプラント体へ装着します。人工歯をネジで固定する方法と、セメントで固定する方法があり、歯の位置や設計、将来的なメンテナンスなどを考えて選択します。

つまり、インプラント手術後の流れは、単純に「土台を入れて、その上にすぐ歯をかぶせる」というものではありません。骨との結合、歯ぐきの治癒、インプラントの安定、かみ合わせ、清掃性などを順番に確認してから、最終的な歯を装着します。

インプラント治療の一般的な流れ

インプラント治療は、一般的に次のような順番で進みます。

最初に、問診、口腔内診査、歯周病検査、レントゲンやCT撮影などを行い、インプラント治療が可能かを調べます。次に、虫歯や歯周病、かみ合わせ、残っている歯の状態を確認し、インプラントを入れる位置や本数、骨造成の必要性などを決めます。

抜歯が必要な場合は、抜歯とインプラント手術を同時に行うこともあれば、抜歯後に歯ぐきや骨が治るのを待ってからインプラント体を入れることもあります。インプラント体を埋め込んだ後は、傷口の確認や抜糸を行い、骨と結合するまで待ちます。

二回法の場合は、骨結合後に二次手術を行い、インプラント体の頭を歯ぐきの上へ出します。その後、歯ぐきの形が整ったら型取りや口腔内スキャンを行い、必要に応じて仮歯を経て、最終的な人工歯を装着します。

このように、診査と治療計画、必要に応じた抜歯や骨造成、インプラント手術、治癒期間、二次手術、型取り、仮歯、最終的な人工歯という複数の工程があります。

インプラント治療は全部でどのくらいかかるの?

骨が十分にあり、すでに抜歯した場所が治っていて、骨造成を行わずにインプラント体を入れられるケースでは、インプラント手術から最終的な人工歯の装着まで、数か月程度で進むことがあります。

一方で、抜歯後の治癒を待つ場合、骨造成を先に行う場合、インプラント手術と同時に大きな骨造成を行った場合などは、半年以上かかることがあります。治療内容によっては、一年前後の期間を想定するケースもあります。

期間が長いから治療がうまく進んでいないとは限りません。インプラント治療では、急いで人工歯を入れることよりも、インプラント体を支える骨や歯ぐきを安定させることが重要です。

また、インプラント体の本数が少ないから必ず短期間で終わるとも限りません。一本のインプラントでも骨造成が必要であれば期間が長くなることがあります。複数本のインプラントでも、骨の状態が良く、治療工程をまとめられる場合には、比較的スムーズに進むことがあります。

正確な治療期間を知るためには、「インプラント手術の日」だけでなく、抜歯の有無、骨造成の有無、骨との結合を待つ期間、仮歯を使用する期間まで含めて確認することが大切です。

最終的な歯が入ったら治療は終わり?

最終的な人工歯が入ると、インプラント治療は一つの区切りを迎えます。しかし、その後に何もしなくてよいわけではありません。

インプラント自体は虫歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきや骨には炎症が起こることがあります。磨き残しによってインプラント周囲の歯ぐきに炎症が起き、進行するとインプラントを支える骨が失われることがあります。

また、長期間使用していると、人工歯のネジが緩む、人工歯が欠ける、かみ合わせが変化するといった問題が起こる可能性もあります。そのため、インプラント周囲の清掃状態、歯ぐき、骨、かみ合わせ、人工歯の状態を定期的に確認する必要があります。

インプラント治療は、人工歯が入った日にすべてが終わる治療ではなく、定期的なメンテナンスによって長く使用していく治療です。

分からないまま手術の日を迎えないことが大切です

インプラントの手術をした日に歯が生えると思っていたのに、実際には金属の部品だけが入っていたり、歯ぐきの中に完全に隠れていたりすると、不安になるのは当然です。

インプラント治療では、手術の日に入れるインプラント体、骨との結合を待つ期間、歯ぐきを整えるためのキャップ、人工歯を支えるアバットメント、最終的に見える上部構造という複数の段階があります。

手術当日に仮歯を入れられるケースもありますが、すべての方に適用できるわけではありません。骨やインプラントの状態によっては、数か月待つことが、インプラントを安定させるために必要です。

治療前には、「手術当日に歯は入るのか」「仮歯は使用できるのか」「骨との結合を何か月待つのか」「二次手術は必要なのか」「最終的な歯が入るのはいつ頃なのか」「骨造成を行う場合は期間がどのくらい延びるのか」を確認しておくことをおすすめします。

インプラント治療の流れは、骨の状態や治療する場所によって異なります。分からないことをそのままにせず、ご自身が今どの段階にいて、次に何を行うのかを確認しながら治療を進めていきましょう。

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