2026.08.07 診療コラム

白い詰め物は入れたら一生そのままではありません

こんにちは。池尻大橋にある歯科医院、THE DENTALです。

暑い日が続き、冷たい飲み物や甘いドリンクを口にする機会が増えている方も多いのではないでしょうか。

先日、初めて当院を受診された患者さんのお口の中を確認していると、過去に治療された白い詰め物が複数見つかりました。

一見すると、どれも白く詰められているため、大きな問題はなさそうに見えます。

しかし、拡大して確認してみると、

「詰め物の一部が欠けている」
「歯との境目に段差がある」
「詰め物の周囲が黒く変色している」
「歯と歯の間にすき間ができている」
「同じ場所を何度か治療した跡がある」

といった変化が見つかりました。

今回は、こうした古い白い詰め物を、どこまで治すべきなのかについてお話しします。

白い詰め物の正体は「CR」という樹脂

虫歯を削った後、その日のうちに白い材料を詰める治療には、主にCRと呼ばれるコンポジットレジンが使われています。

CRは歯の色に合わせやすく、虫歯の部分だけを削って治療できることが大きなメリットです。

小さな虫歯や前歯の治療では、非常に有効な材料です。

ただし、CRはプラスチックを主体とした材料です。

光を当てて固めるときにはわずかな体積収縮が起こり、歯と詰め物の接着部分に力がかかります。材料や詰め方、虫歯の大きさなどによっては、境目に微細なすき間や段差が生じる可能性があります。

もちろん、治療時にはこの影響をできるだけ抑えるため、材料を何回かに分けて少しずつ詰める「積層充填」などを行います。

それでも、口の中は常に水分があり、食事のたびに温度や酸性度が変化し、奥歯には強い噛む力が加わります。

そのため、時間の経過とともに、

・詰め物が摩耗する
・一部が欠ける
・境目に着色する
・接着部分が劣化する
・詰め物の下で虫歯が再発する

といったことが起こる可能性があります。

奥歯のCRで問題となりやすいのは、詰め物や歯の破折、そして詰め物の周囲から発生する虫歯です。治療の持ちは、材料だけでなく、治療範囲、歯の位置、噛み合わせ、歯ぎしり、清掃状態、術者の技術などにも影響されます。

黒くなっていたら、すべて虫歯なのか

詰め物の周囲が黒く見えると、

「また虫歯になっていますか?」

と心配される方が多いと思います。

しかし、黒く見える部分がすべて虫歯とは限りません。

単純に色素が入り込んでいるだけの場合もあれば、古い接着剤や材料が透けて見えていることもあります。

一方で、

・明らかな穴がある
・詰め物が欠けている
・歯との間に段差がある
・フロスが引っかかる、切れる
・レントゲンで詰め物の下に黒い影がある
・同じ場所が繰り返し虫歯になっている

といった場合には、治療を検討する必要があります。

見た目だけでは判断できないため、視診、触診、レントゲン、必要に応じて口腔内写真などを組み合わせて評価します。

古い詰め物は、すべて外す必要があるのか

古い詰め物が見つかったからといって、すべてを一度に外すわけではありません。

治療方法は、大きく分けると次の3つです。

1.そのまま経過を確認する

表面に多少の着色があっても、段差や穴がなく、レントゲン上も問題がない場合は、すぐに削らず経過を確認することがあります。

着色しているという理由だけで、健康な歯まで削る必要はありません。

2.欠けた部分だけを修理する

欠けている範囲が小さく、残っている詰め物の状態が良い場合には、悪い部分だけを部分的に修理できることがあります。

詰め物の修理は、すべてを外してやり直すよりも歯を削る量を抑えられる可能性があります。部分修理と全交換のどちらが適しているかは、詰め物の状態や虫歯の有無を確認して判断します。

3.古い詰め物を外して全体をやり直す

同じ歯に小さな詰め物が何個も入っていたり、詰め物同士の境界が近かったりする場合には、一部だけを修理しても別の場所から問題が起こることがあります。

詰め物が増えるほど、歯と人工材料との境界線も増えます。

古いCRが近い位置にいくつもあり、段差や欠け、虫歯が複数見つかった場合は、それらをまとめて外し、一つの修復物として作り直した方が管理しやすいケースがあります。

ただし、どこまで外すかは歯ごとに判断します。

「古いから全部やり替える」のではなく、残せる部分は残しながら、今後問題になりそうな部分を見極めることが大切です。

奥歯の歯と歯の間は、CRだけが正解ではない

前歯の小さな虫歯であれば、CRでその日のうちに治療できることが多くあります。

一方で、奥歯の歯と歯の間に大きく広がった虫歯では、状況が異なります。

奥歯の歯と歯の間には、隣の歯と適切に接触する「コンタクト」が必要です。

この接触が弱すぎると食べ物が詰まりやすくなり、強すぎるとフロスが通りにくくなります。また、奥歯には大きな噛む力が加わるため、詰める範囲が広いほど、CRが欠けたり割れたりするリスクも考えなければなりません。

小さな範囲であればCRが適していても、虫歯の範囲が大きい場合や、歯と歯の接触部分を広く作り直す必要がある場合には、型取りや口腔内スキャンを行い、歯の外で詰め物を製作する方法をご提案することがあります。

直接詰める方法と、歯の外で製作する方法のどちらが適しているかは、虫歯の大きさ、残っている歯の量、噛み合わせ、歯ぎしりの有無などを踏まえて判断します。直接法と間接法にはそれぞれ適応があり、単純にどちらかが常に優れているわけではありません。

「金属は入れたくない」という希望もお伝えください

今回の患者さんからは、

「見えない奥歯でも、金属は入れたくありません」

というご希望がありました。

その場合も、まずは虫歯の大きさや歯の状態を確認し、白い材料で治療できる方法をご説明します。

白い治療にも、CR、CAD/CAM材料、セラミック、ジルコニアなど複数の選択肢があります。

ただし、すべての歯を同じ材料で治療するわけではありません。

小さな虫歯はCRで十分きれいに治療できることがあります。一方、大きく欠けている歯や、噛む力が強くかかる奥歯では、強度や形態の再現性を考えて別の材料をご提案する場合があります。

それぞれの材料について、費用、見た目、削る量、強度、修理のしやすさなどをご説明したうえで、患者さんに選んでいただきます。

甘いドリンクは「量」よりも「回数」に注意

今回の患者さんは、最近カフェで働き始め、甘いドリンクを口にする機会が増えたと話されていました。

甘い飲み物を一度飲んだから、すぐに虫歯になるわけではありません。

ただし、砂糖や酸を含む飲み物を少しずつ何回も飲む習慣は、お口の中が酸性になる時間を長くします。

特に、

・仕事中に甘い飲み物を少しずつ飲む
・新作ドリンクを頻繁に試飲する
・飲んだ後に水を飲まない
・就寝前にも甘い飲み物を飲む

という習慣が重なると、詰め物の境目や歯と歯の間から虫歯が発生しやすくなります。

甘い飲み物を完全にやめる必要はありません。

飲む時間を決める、だらだら飲みを避ける、飲んだ後に水を飲むなど、無理なく続けられる方法を考えることが大切です。

治療は、問題の大きい歯から一本ずつ

お口の中に治療が必要な歯が複数見つかると、不安になる方もいると思います。

しかし、すべてを一度に治療する必要はありません。

THE DENTALでは、

・明らかな虫歯がある歯
・詰め物が欠けている歯
・穴や大きな段差がある歯
・痛みや違和感がある歯
・見た目が特に気になる歯

などから優先順位を決めて治療します。

丁寧に治療する場合、基本的には一本ずつ進めていきます。

古い詰め物を外してみなければ、内部の虫歯の範囲が分からないこともあります。治療前に考えられる材料や費用をご説明し、実際の歯の状態を確認しながら最終的な方法を決めていきます。

白い詰め物は、入れたら一生そのまま使えるものではありません。

だからこそ、痛みが出てからではなく、定期的に詰め物の欠け、段差、変色、すき間を確認することが重要です。

「昔治療した白い詰め物が黒くなっている」
「フロスがいつも同じ場所で引っかかる」
「詰め物が欠けた気がする」
「何度も同じ歯を治療している」

このような場合は、現在の状態を一度確認してみましょう。

すぐに削るべきなのか、経過を見てよいのか、部分的に修理できるのか。

お口全体の治療計画を立てたうえで、必要な場所から順番にご提案いたします。

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