2026.08.06 診療コラム

セラミック治療は「即日」が本当に良い?THE DENTALがあえて時間をかけて治療する理由

皆さまこんにちは、池尻大橋の歯科医院  歯科医師の髙安です。

最近では、歯科医院のホームページやSNSなどで、

「セラミック治療が1日で完了」
「即日で白い歯が入ります」
「通院1回でセラミック治療」

といった言葉を目にする機会が増えてきました。

仕事が忙しく、何度も歯科医院へ通うことが難しい方にとって、「1日で治療が終わる」というのは非常に魅力的に感じると思います。

実際、現在の歯科医療では口腔内スキャナーやCAD/CAMシステムの進歩により、歯を削ったその日にセラミックを設計・加工し、装着することも可能になっています。

では、早く治療が終わるのであれば、すべてのセラミック治療を即日で行った方が良いのでしょうか?

THE DENTALでは、そうは考えていません。

もちろん「即日治療だから悪い」というわけではありません。症例や使用する材料、設備、治療する歯の状態によっては、即日治療が適しているケースもあります。

しかし当院では、セラミック治療において「どれだけ早く完成するか」よりも、完成したものをどれだけ精度良く、きれいに、そして長く使っていただける状態に仕上げられるかを重視しています。

そのため、あえて治療に時間をかけることがあります。
今回は、その理由について少し専門的な部分まで含めてご説明します。

セラミック治療は「削って、作って、付ける」だけではありません

セラミック治療というと、

歯を削る

型取りをする

セラミックを作る

歯に付けるというシンプルな治療に見えるかもしれません。

しかし実際には、その一つひとつの工程の精度が最終的な治療結果に影響します。

特に重要なのが、

・削った歯とセラミックの適合
・歯との境目の精度
・噛み合わせ
・隣の歯との接触
・セラミックの形態
・セラミック内面の処理
・接着操作
・口腔内側を含めた研磨状態 などです。

つまり、「セラミックが完成した」ということと、「長期間使用することを考えて十分な状態まで仕上がった」ということは、必ずしも同じではありません。
THE DENTALが大切にしているのは後者です。

① セラミックで非常に重要な「適合」

セラミック治療で当院が特に重視しているものの一つが「適合」です。

適合とは簡単に言えば、削った歯に対してセラミックがどれだけ正確に合っているかということです。
特に歯とセラミックの境界部分は重要です。

どれだけ白くきれいなセラミックでも、歯との境目に問題があれば、そこにプラークが停滞しやすくなったり、長期的には再治療の原因となったりする可能性があります。

セラミックは見た目だけをきれいにする治療ではありません。
当院では、「装着した直後にきれいか」だけではなく、

「数年後、さらにその先まで使うことを考えたときにどうか」という視点で治療を行っています。

そのためには、製作工程にも十分な時間を確保する必要があると考えています。

② 技工士が時間をかけて作る意味

THE DENTALでは、セラミックの製作において歯科技工士の仕事を非常に重要だと考えています。

歯科技工士は、単純に「白い歯を作る人」ではありません。

歯科医師が形成した歯の状態やスキャン・模型などの情報をもとに、

歯との境界
隣接する歯との接触
噛み合わせ
歯の形態
厚み
表面性状
研磨状態 などを確認しながら補綴物を仕上げていきます。

もちろん現在のCAD/CAM技術は非常に進歩しています。

デジタルデータからセラミックを削り出す加工精度も以前と比較して大きく向上しています。

しかし、機械から削り出された時点が必ずしも完成ではありません。

そこから技工士が確認し、必要に応じて細かな調整を行い、最終的な形態へ仕上げていく工程があります。

THE DENTALでは、この工程を省略してまで治療時間を短縮することを優先していません。

③ 「早く作れる」と「丁寧に仕上げられる」は別の話

デジタル技術の進歩によって、セラミックそのものを短時間で製作することは可能になりました。

しかし、

製作時間を短縮できることと、すべての工程を十分に行えることは別の問題です。

当院ではセラミックの形だけでなく、

「接着する前にどのような状態まで仕上げられているか」も重要だと考えています。

その代表的なものが、セラミックの内面処理です。

④ セラミックの「裏側」も重要です

患者さんから見えるのは、基本的にセラミックの表側です。

しかし歯科医師が接着の際に重視している部分の一つは、
むしろ患者さんからは見えない**セラミックの裏側(内面)**です。

セラミックは、完成したものをそのまま歯に接着すればよいわけではありません。
使用するセラミックの種類や接着システムに応じて、適切な内面処理を行う必要があります。

その一つがサンドブラスト処理です。

細かな粒子をセラミック内面に吹き付け、接着に適した表面状態を作ります。

ただし、サンドブラストは「とにかく強く当てればよい」という処理ではありません。

セラミックの材質に応じて、適切な条件で処理する必要があります。

さらに材料によっては、サンドブラストだけではなく、エッチングやプライマーなど別の表面処理が必要になることもあります。

つまりセラミック治療では、

目に見える表側の美しさだけではなく、目に見えない裏側をどのように処理するかも重要

なのです。

THE DENTALでは、こうした接着前の工程にも時間を確保したいと考えています。

⑤ 接着はセラミック治療の重要な工程です

セラミック治療は「セメントで付ければ終わり」というものではありません。

接着操作は治療結果に関わる非常に重要な工程です。

歯の表面処理。

セラミック側の表面処理。

接着材料の選択。

唾液や血液などによる汚染をできるだけ避けた環境。

余剰セメントの除去。

噛み合わせの確認。

こうした一つひとつを丁寧に行います。

どれだけ高価なセラミックを使用しても、接着操作が適切でなければ、その材料の性能を十分に生かすことはできません。

そのため当院では、セラミックを「作る時間」だけではなく、きちんと接着するための時間まで含めて治療時間を考えています。

 

⑥ 見えない「口腔内側」の鏡面研磨

もう一つ、THE DENTALが非常に大切にしているのが研磨です。

前歯であれば見た目の美しさに注目されますが、奥歯の場合でも表面の仕上げは重要です。

特に見落とされやすいのが、舌側・口蓋側などの口腔内側です。
患者さん自身からはほとんど見えない部分です。
しかし、見えないから粗い状態でよいわけではありません。

当院では可能な限り、こうした部分についても滑沢な状態、いわゆる鏡面に近い状態まで研磨して仕上げることを重視しています。

表面が滑らかに仕上げられていることは、舌触りなどの快適性だけでなく、汚れの付着しにくさを考えるうえでも大切です。

特にセラミックは、噛み合わせを調整するために装着前後に削ることがあります。
調整した部分をそのままにするのではなく、適切な研磨工程を経て再び滑らかな状態へ仕上げる必要があります。

ここにも時間が必要です。

即日という限られた診療時間の中で、

形成
スキャン
設計
加工
形態修正
噛み合わせ調整
内面処理
接着
最終研磨 までをすべて行うことは技術的には可能なケースもあります。

しかし当院では、「できるかどうか」と「その方法を積極的に選択するかどうか」は別だと考えています。

 

⑦ 噛み合わせと歯の形にも時間をかけたい

セラミックは、単に削った部分を埋めればよいものではありません。

特に奥歯では、噛み合わせが非常に重要です。

噛んだときにどこが当たるのか。

横に顎を動かしたときに不要な干渉がないか。

反対側の歯との関係はどうか。

隣の歯との間に食べ物が入りやすい形になっていないか。

清掃しやすい形になっているか。

こうした部分まで考えながら形態を決めていきます。

セラミックが「入った」ことを治療のゴールにするのではなく、口腔内で機能するところまで考えて完成させることが重要だと考えています。

即日治療そのものを否定しているわけではありません

ここまで読むと、

「即日セラミックは良くないということですか?」と思われるかもしれません。

そういう意味ではありません。

即日治療には、

・通院回数を減らせる
・仮歯や仮詰めの期間を短縮できる
・忙しい方でも治療を受けやすい

などのメリットがあります。

また、症例によっては即日治療でも十分な精度を得られる場合があります。

歯科医療において、すべての患者さんに対して一つの方法だけが正しいということはありません。

そのうえでTHE DENTALでは、治療期間の短さよりも、一つひとつの工程に必要な時間を確保することを優先しています。

なぜTHE DENTALでは「時間をかける」のか

患者さんからすると、

「今は機械で作れるのに、どうして今日入らないの?」と思われることもあるかもしれません。

しかし、その間に行われているのは単なる「待ち時間」ではありません。

技工士が補綴物を確認する。

適合を確認する。

形態を整える。

噛み合わせを考える。

表面を仕上げる。

内面を接着に適した状態へ処理する。

そして、最終的に口腔内へ装着する。

患者さんからは見えない工程に時間を使っています。

私たちは、セラミック治療の価値は「何日で終わったか」だけで決まるものではないと考えています。

むしろ重要なのは、

完成したセラミックがどのような状態で口腔内に入っているか。

こちらです。

「早さ」ではなく「仕上がり」を優先します

現在の歯科医療は非常に便利になりました。

口腔内スキャナーで型取りができ、コンピューター上で歯を設計し、機械でセラミックを加工できます。

こうしたデジタル技術はTHE DENTALでも非常に重要だと考えています。

しかし、デジタル化=すべての工程を短時間にすること、ではありません。

デジタル技術を利用しながら、必要なところには人の手と時間をかける。

歯科医師だけでなく、歯科技工士の技術も生かす。

見える表側だけでなく、見えない内面や口腔内側まできちんと仕上げる。

そして最後の接着まで丁寧に行う。

それがTHE DENTALのセラミック治療に対する考え方です。

セラミック治療をご検討の方へ

「できるだけ早く治療を終わらせたい」という希望も、もちろん大切です。

一方で、THE DENTALではセラミック治療について、必要な工程を省略してまで治療期間を短縮することは基本的に考えていません。

適合。

噛み合わせ。

形態。

技工士による仕上げ。

セラミック内面の適切な処理。

接着。

そして口腔内側まで含めた研磨。

一つひとつは患者さんから見えにくい工程ですが、私たちはこうした部分こそ大切にしています。

そのため、

「1日で終わること」よりも「時間をかけてでも、できる限り良い状態に仕上げること」。

これがTHE DENTALの治療方針です。

セラミック治療をご検討されている方には、治療期間だけではなく、「どのような工程でセラミックが作られ、どのような状態で歯に装着されるのか」という部分にも目を向けていただければと思います。

池尻大橋でセラミック治療、詰め物・被せ物の治療についてご相談がありましたら、THE DENTALまでお気軽にご相談ください。

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