JOURNAL
治療が終わったはずの歯が痛いのはなぜ?考えられる原因と受診の目安
皆様こんにちは。池尻大橋の歯科医院、THE DENTAL 歯科助手の雛田です。
暑い日が続き、冷たい飲み物やアイスを口にする機会が増える季節になりました。冷たいものを口にしたとき、以前治療した歯がしみたり、噛んだときに違和感が出たりすることはありませんか。
「治療が終わったはずなのに、どうして痛いの?」
「治療が失敗しているのでは?」
「もう一度削らなければいけない?」
このように不安になる方は少なくありません。
治療後の歯が痛む場合、必ずしもすぐに大きな問題が起きているとは限りません。治療直後の一時的な反応であることもあれば、噛み合わせの調整や再治療が必要になることもあります。
今回は、治療が終わった歯に痛みが出る原因と、歯科医院へ相談したほうがよい症状についてご説明します。
治療直後は一時的に痛むことがあります
むし歯を削って詰め物を入れた後、数日からしばらくの間、冷たいものがしみたり、噛んだときに少し違和感が出たりすることがあります。
治療では、むし歯になっている部分を削り、歯の表面を処理したうえで詰め物や被せ物を装着します。その刺激により、歯の内部にある神経が一時的に敏感になる場合があります。
特に、むし歯が深く、歯の神経に近いところまで削っている場合は、治療後にしみる症状が出やすくなることがあります。修復物を入れた後の知覚過敏は、削った範囲や深さなどにも影響を受けると報告されています。
冷たいものを口にしたときだけ一瞬しみ、刺激がなくなるとすぐに落ち着くようであれば、経過を確認することもあります。
ただし、時間の経過とともに痛みが強くなっている場合や、何もしていなくてもズキズキする場合は、単なる治療後の反応ではない可能性があります。
詰め物や被せ物の噛み合わせが高い
治療した歯が「噛んだときだけ痛い」「その歯が最初に当たる気がする」という場合は、詰め物や被せ物の噛み合わせがわずかに高くなっている可能性があります。
歯は、直接あごの骨に埋まっているわけではありません。歯と骨の間には、歯根膜という薄い組織があります。
詰め物や被せ物が少し高いと、食事のたびにその歯へ強い力が集中します。その結果、歯根膜に負担がかかり、噛んだときの痛みや、歯が浮いたような感覚が出ることがあります。
お口の中では、髪の毛ほどのわずかな厚みでも違和感につながる場合があります。
治療直後は麻酔が効いているため、患者さん自身が噛み合わせの高さを正確に判断しにくいこともあります。
噛み合わせの調整だけで症状が改善することもあるため、「少し高い気がする」「治療した歯ばかり当たる」と感じる場合は、我慢せずにご相談ください。根管治療後にも、一時的な炎症や噛み合わせの違和感が生じる場合があるとされています。
歯の神経に炎症が残っている
むし歯が深かった場合、むし歯を取り除いて詰め物をした後も、歯の神経に炎症が残ることがあります。
治療前には痛みがなくても、実際にむし歯を削ってみると、想像以上に神経の近くまで進行していることがあります。
可能な限り神経を残すために保護する処置を行っても、その後、神経の炎症が落ち着かないことがあります。
神経の炎症が強くなっている場合には、次のような症状が出ることがあります。
冷たいものや温かいものが長くしみる、何もしていなくてもズキズキする、夜になると痛みが強くなる、痛み止めが必要になるといった症状です。
特に、冷たいものや温かいものを口から離した後も痛みが続く場合は、歯の神経に強い炎症が起きている可能性があります。持続する温度刺激後の痛みは、早めの歯科受診が必要な症状の一つとされています。
神経を残せるか、根管治療が必要になるかは、痛みの出方だけでは判断できません。レントゲン検査、温度診、打診、噛み合わせの確認などを行い、総合的に判断します。
根管治療後も数日痛むことがあります
歯の神経を取る根管治療を受けた後に、「神経を取ったのに、なぜ痛いのですか」と質問されることがあります。
根管治療では、歯の内部にある神経や感染した組織を取り除き、根の中を洗浄・消毒します。
しかし、歯の周囲には歯根膜や骨などの組織が残っています。そのため、根の先の周囲に炎症があると、神経を取った後でも噛んだときの痛みや違和感が出ることがあります。
根管治療後の数日間は、特に治療前から強い痛みや感染があった歯で、一時的な痛みや圧痛が出る場合があります。多くは時間の経過とともに軽減しますが、痛みが強くなる、腫れてくる、噛めない状態が続く場合は確認が必要です。
また、根管治療が終了してから数か月、数年たって痛みが出る場合もあります。
根の中に細菌が残っている、治療後に新たに細菌が侵入した、根の先の炎症が治っていない、歯に亀裂が入っているなど、さまざまな可能性があります。根管治療を受けた歯でも、時間がたってから再び痛みや病変が生じることがあり、必要に応じて再根管治療などを検討します。
治療した歯に再びむし歯ができている
一度治療した歯は、二度とむし歯にならないわけではありません。
詰め物や被せ物と歯の境目には、わずかな段差や隙間が生じることがあります。そこに歯垢が残り続けると、境目から再びむし歯になることがあります。
これを二次う蝕、または二次むし歯と呼びます。
二次むし歯は、詰め物や被せ物の内側で進行することがあるため、外から見ただけでは分かりにくい場合があります。日本歯科医師会も、治療後の詰め物と歯の間にできる二次う蝕は、気づかないうちに進行することがあると説明しています。
治療から長い期間が経過している歯がしみる、詰め物の周囲が黒く見える、フロスが引っかかる、食べ物が挟まりやすくなった場合は、詰め物や被せ物の状態を確認したほうがよいでしょう。
歯に亀裂や破折がある
歯の表面に小さな亀裂が入っていると、噛んだ瞬間や、噛んでから力を抜いた瞬間に鋭い痛みが出ることがあります。
特に、神経を取った歯、大きな詰め物が入っている歯、歯ぎしりや食いしばりが強い方の歯は、長期間の負担によって亀裂が入ることがあります。
小さな亀裂は、通常のレントゲン写真では確認できないこともあります。
「硬いものを噛んだときだけ痛い」「毎回ではないが、特定の角度で噛むと痛い」という場合は、歯の亀裂も考えて診査します。
亀裂の位置や深さによっては、詰め物や被せ物で歯を保護できることがあります。一方で、亀裂が歯の根の深い部分まで達している場合は、保存が難しくなることもあります。
症状がある状態で硬いものを繰り返し噛むと、亀裂が広がる可能性があるため、早めにご相談ください。歯の破折や亀裂では、冷たいものへの痛みや、噛んだときの痛みが現れる場合があります。
痛いのは治療した歯とは限りません
患者さんが「この歯が痛い」と感じていても、実際には隣の歯や、噛み合う反対側の歯が原因であることがあります。
歯の痛みは場所が分かりにくく、特に奥歯では、上の歯と下の歯を間違えて感じることもあります。
また、歯そのものには明らかな問題がなく、噛む筋肉、顎関節、副鼻腔、神経などが痛みの原因となることもあります。これを非歯原性歯痛と呼びます。
痛みの原因が歯以外にある場合、歯を削ったり、神経を取ったりしても症状は改善しません。そのため、検査で原因がはっきりしない痛みに対しては、慎重に診断することが大切です。
「治療した歯が痛い」と思っても、自己判断で原因を決めつけず、どの歯がどのようなときに痛むのかを歯科医師へお伝えください。
痛みを伝えるときのポイント
歯科医院へ連絡する際は、単に「歯が痛い」と伝えるだけでなく、痛みの出方を具体的にお伝えいただくと診断の参考になります。
冷たいものがしみるのか、温かいものがしみるのか、噛んだときに痛いのか、何もしていなくても痛いのか、痛みが何秒ほど続くのか、夜に強くなるのかなどを確認してみてください。
また、治療を受けた時期、痛みが始まった時期、日に日に強くなっているのか、腫れがあるのかも重要です。
痛みがある歯で無理に硬いものを噛んだり、指や舌で何度も押したりすると、刺激によって症状が強くなることがあります。受診までは反対側で噛むなど、できるだけ患部を安静にしてください。
このような場合は早めにご連絡ください
治療後に多少しみる程度で、少しずつ症状が軽くなっている場合は、経過を確認できることもあります。
一方で、次のような症状がある場合は早めに歯科医院へご連絡ください。
何もしていなくても強く痛む、痛みで眠れない、日に日に痛みが強くなっている、歯ぐきや頬が腫れている、膿が出ている、噛めないほど痛い、発熱や強い倦怠感がある場合です。
まとめ
治療後の痛みには、一時的なものから、噛み合わせの調整が必要なもの、神経の炎症、二次むし歯、根の先の炎症、歯の亀裂など、さまざまな原因があります。
痛みがあるからといって、必ず治療が失敗しているとは限りません。
しかし、「治療した歯だから痛むはずがない」と考えて我慢を続けるのもおすすめできません。
早い段階で確認できれば、噛み合わせの調整や経過観察だけで対応できることもあります。反対に、長期間放置することで症状が強くなり、治療範囲が大きくなる可能性もあります。
以前治療した歯に痛みや違和感がある方は、痛みの強さにかかわらず、一度ご相談ください。
THE DENTALでは、痛みのある部分だけを見るのではなく、レントゲン検査、噛み合わせ、歯ぐき、周囲の歯なども含めて原因を確認し、必要な治療をご提案します。











