2026.08.23 診療コラム

小さな虫歯はすぐ削る?治療する虫歯・経過を見る虫歯の違い

こんにちは。
池尻大橋の歯科医院「THE DENTAL」歯科衛生士の廣島です。

歯科検診で、

「小さな虫歯がありますね」

と言われた経験がある方もいらっしゃると思います。

このとき、

「虫歯なら、すぐに削って治した方がいいのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、虫歯があるからといって、すべてをすぐに削って詰めるわけではありません。

実際の診療では、小さな初期の変化については経過を観察し、明らかに治療が必要な部分から優先して治療することがあります。

今回は、実際の診療で見つかった複数の歯の状態を例に、「治療する虫歯」と「経過をみる虫歯」の考え方についてお話しします。

小さな虫歯は、あえて治療しないこともあります

虫歯は進行度によって「C0」「C1」「C2」などに分類されます。

ごく初期の虫歯や、エナメル質の範囲にとどまっているような小さな変化であれば、すぐに削らず経過をみることがあります。

なぜなら、歯は一度削ってしまうと元には戻らないからです。

もちろん、必要な虫歯治療を先延ばしにするという意味ではありません。

フッ素の使用やブラッシング、食生活の改善、定期的な検診などによって進行を抑えられる可能性がある状態であれば、健康な歯質をできるだけ残すために「削らない」という判断をすることがあります。

虫歯治療では、

「虫歯があるか、ないか」だけではなく、「今、本当に削る必要があるのか」

を判断することが大切です。

一方で、しっかり治療した方がいい虫歯もあります

今回のお口の中を確認したところ、小さな変化とは別に、治療を優先した方がよい部分がいくつか見つかりました。

その一つが、左上の4番と5番の間です。

歯と歯の間に、ある程度進行した虫歯が確認できました。

歯と歯の間にできる虫歯を「隣接面う蝕」といいます。

この部分は鏡でお口の中を見ただけでは分かりにくく、患者さん自身でも気づきにくい場所です。

また、虫歯がどちらか一方の歯だけではなく、向かい合っている両方の歯に及んでいることもあります。

そのため、実際に治療する際には状態を詳しく確認し、必要であれば2本それぞれの治療を行います。

「痛くない=小さな虫歯」とは限りません

虫歯について特に知っていただきたいのが、痛みと虫歯の大きさは必ずしも一致しないということです。

歯と歯の間や、以前治療した詰め物の周囲などは、ある程度虫歯が進んでいても自覚症状が出ないことがあります。

「痛くないから大丈夫」

と思っていても、検診やレントゲン撮影で初めて虫歯が見つかるケースは珍しくありません。

反対に、少し黒く見える部分があっても、すぐに削る必要がない場合もあります。

見た目や症状だけでは判断できないため、歯科医院で定期的に確認することが重要です。

銀歯の中は外から見ただけでは分からないことがあります

今回、以前治療した銀歯も確認しました。

銀歯が入っている歯の場合、外から見て問題がなさそうでも、その内部や境目の状態まですべて確認できるわけではありません。

特に、

  • 銀歯と歯の境目が気になる
  • 長期間使用している
  • レントゲン上で内部が気になる
  • 二次的な虫歯が疑われる

といった場合には、その部分だけ追加でレントゲン撮影を行い、内部の状態を確認することがあります。

ただし、銀歯が入っているからという理由だけで、すぐに外してやり直すわけではありません。

問題なく使用できているものまで積極的に外してしまえば、それだけ歯を削る量が増える可能性があります。

まずは現在の状態を診断し、必要性を確認してから治療するかどうかを判断します。

詰め物がずれていても気づかないことがあります

もう一つ、今回治療が必要と判断したのが左下7番、一番奥の歯です。

以前詰めてあった部分の中央付近に、ずれや不適合が確認できました。

詰め物は毎日噛む力を受け続けています。

そのため長期間使用していると、欠けたり、すり減ったり、歯との境目に段差ができたりすることがあります。

ところが、このような変化は毎日少しずつ起こるため、患者さん自身では意外と気づきません。

「普通に噛めているから問題ないと思っていた」

というケースも非常に多くあります。

詰め物とは別の場所に虫歯ができることも

今回の左下7番では、詰め物の問題だけではありませんでした。

それとは別に、歯の根元付近に明らかな虫歯による穴が確認できました。

このように、同じ一本の歯でも、

「以前治療した詰め物の問題」

「新しくできた虫歯」

が同時に存在することがあります。

穴がはっきり確認できるような虫歯については、経過観察ではなく治療が必要です。

そのため今回も、左上4・5番付近と左下7番については、優先的に治療していく計画となりました。

歯の根元が削れている=虫歯とは限りません

今回のお口の中では、もう一つ特徴的な部分がありました。

歯の外側、特に歯ぐきに近い部分が削れている歯が複数見られました。

こうした状態は、必ずしも虫歯によるものではありません。

原因としては、

歯ぎしりや食いしばり、噛む力、ブラッシング時の力など、さまざまな要素が関係している可能性があります。

歯の根元が削れているからといって、すべて詰め物で埋める必要があるわけでもありません。

浅く、症状もなく、進行もしていない場合には、そのまま経過をみることもあります。

一方で、

「冷たいものがしみる」

「歯ブラシが当たると痛い」

「欠けている範囲が大きい」

などの症状がある場合には、レジンなどで埋める治療を検討します。

全部を一度に治療するのではなく「優先順位」をつけます

お口の中を詳しく診察すると、小さな変化まで含めれば、いくつか気になる場所が見つかることがあります。

しかし、そのすべてを同じように治療する必要があるとは限りません。

今回であれば、

優先度が高いのは、左上4・5番付近の虫歯と左下7番の虫歯。

一方で、小さな初期の変化や歯の根元の摩耗などは、状態や症状を確認しながら経過をみることができます。

まず治療すべきところを治療し、その後に精密検査や再評価を行い、

「残っている小さな部分はどうするか」

「本当に治療する必要があるか」

を改めて考えていきます。

このように治療の優先順位をつけることも、歯を必要以上に削らないためには大切です。

「全部治す」ことと「全部削る」ことは違います

歯科医院に行くと、

「虫歯がたくさん見つかったら、全部削られてしまうのでは?」

と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、私たちが大切にしているのは、必要なところはきちんと治療し、今すぐ治療する必要がないところはできるだけ健康な歯質を残すことです。

歯は治療を繰り返すたびに、少しずつ失われる歯質が増えていきます。

だからこそ、

「虫歯があるから削る」のではなく、「今、この歯を削るメリットがあるのか」を考える。

そして、治療が必要な虫歯については、必要以上に先延ばしにせず適切なタイミングで治療する。

この両方のバランスが大切だと考えています。

痛みがなくても定期的なチェックを

今回のような歯と歯の間の虫歯や、奥歯の詰め物のずれ、歯の根元にできた虫歯は、自分ではなかなか気づけません。

痛みが出てから歯科医院を受診するのではなく、症状がない段階から定期的に確認しておくことで、必要な治療を必要なタイミングで行いやすくなります。

そして、小さな変化については削らずに管理できる可能性もあります。

THE DENTALでは、お口の中を一つひとつ確認し、必要に応じてレントゲンなども使用しながら、治療が必要な歯と経過観察できる歯を分けて治療計画をご説明しています。

「虫歯があると言われたけれど、本当に削る必要があるの?」

「昔治療した銀歯や詰め物が心配」

「痛くないけれど一度全体をチェックしてほしい」

という方も、お気軽にご相談ください。

できるだけご自身の歯を長く残すために、必要な治療と予防を一緒に考えていきましょう。

池尻大橋|一般歯科|小児歯科|矯正歯科|口腔外科|虫歯治療|予防歯科|THE DENTAL

Instagram