2026.08.31 診療コラム

電動ブラシは使った方がいい?

こんにちは。THE DENTAL 歯科衛生士の廣島です。

最近、患者さんから「電動歯ブラシって使った方がいいですか?」「普通の歯ブラシより電動歯ブラシの方がきれいになりますか?」と聞かれることがあります。

家電量販店やインターネットを見ると、さまざまな種類の電動歯ブラシが販売されています。高性能なものでは、ブラシを動かすだけでなく、磨く時間を知らせてくれたり、力を入れすぎると警告してくれたり、スマートフォンと連携して磨き残しを確認できたりするものまであります。

確かに電動歯ブラシは便利ですし、正しく使用すれば毎日のセルフケアを助けてくれる優れた道具です。

しかし、私たちが患者さんに一番大切にしていただきたいのは、**「電動歯ブラシを使うこと」ではなく、「まずは普通の手用歯ブラシで正しく磨けるようになること」**です。

今回は、電動歯ブラシのメリットや注意点、そしてなぜ手用歯ブラシで磨く基本が大切なのかについてお話しします。

電動歯ブラシなら当てるだけできれいになる?

電動歯ブラシには、ブラシ部分が高速で振動するタイプや、回転するタイプ、音波振動を利用するタイプなどがあります。

手用歯ブラシでは自分の手を細かく動かして汚れを落としますが、電動歯ブラシの場合はブラシ自体が動いてくれるため、細かなブラッシング動作を機械が補助してくれます。

そのため、「電動歯ブラシなら適当に当てていても全部きれいになる」と思われることがあります。

ですが、実際にはそうではありません。

電動歯ブラシであっても、毛先が汚れのある場所にきちんと当たっていなければ、十分にプラークを落とすことはできません。

特に磨き残しが起こりやすいのは、歯と歯ぐきの境目、奥歯、歯と歯の間、歯並びが重なっている部分などです。

これは手用歯ブラシでも電動歯ブラシでも同じです。

つまり、重要なのは「ブラシが電動かどうか」よりも、自分のお口の中でどこに汚れが残りやすく、どこに毛先を当てる必要があるのかを理解していることなのです。

まずは手用歯ブラシで磨けることが大切です

当院では、電動歯ブラシそのものを否定しているわけではありません。

むしろ、正しい使い方ができている方にとっては非常に便利な道具だと思います。

それでも、まず手用歯ブラシで正しく磨く方法を身につけていただきたいと考えています。

なぜなら、歯磨きの基本は「歯ブラシの毛先をどこに、どのように当てるか」だからです。

例えば、鏡を見ながら歯と歯ぐきの境目に毛先を当てる、奥歯の一番後ろまで意識してブラシを入れる、前歯の裏側は歯ブラシを縦にして磨くなど、場所によって適した当て方があります。

こうした基本を理解していない状態で電動歯ブラシに替えても、「電動だから磨けているはず」と思い込んでしまい、同じ場所に磨き残しが続いてしまうことがあります。

反対に、手用歯ブラシで自分の磨きにくい場所やブラシの当て方を理解している方であれば、電動歯ブラシに替えたときにも、その性能を上手に活かすことができます。

電動歯ブラシは歯磨きを上手にしてくれる魔法の道具ではなく、正しい歯磨きをサポートしてくれる道具と考えていただくと分かりやすいと思います。

電動歯ブラシにはメリットもあります

もちろん、電動歯ブラシには多くのメリットがあります。

ブラシ自体が高速で動いてくれるため、自分の手で細かく動かし続ける必要がなく、効率よくブラッシングしやすいことは大きなメリットです。

また、製品によっては一定時間ごとに振動で知らせてくれるタイマー機能や、ブラシを強く押し付けた際に教えてくれる機能などが搭載されています。

歯磨きの時間が短くなりやすい方や、無意識に強く磨いてしまう方にとっては、こうした機能が役立つ場合があります。

手を細かく動かすことが苦手な方にとっても、電動歯ブラシがブラッシングをサポートしてくれることがあります。

大切なのは、「電動歯ブラシだから良い」「手用歯ブラシだから悪い」と単純に考えるのではなく、自分に合った道具を正しく使うことです。

電動歯ブラシでも力の入れすぎには注意

電動歯ブラシを使用するときに特に注意していただきたいのが、ブラシを歯に強く押し付けすぎることです。

「しっかり磨こう」と思うほど力が入ってしまう方もいらっしゃいますが、電動歯ブラシはブラシ自体が動いていますので、必要以上にゴシゴシ動かしたり、強く押し付けたりする必要はありません。

過度な力で長期間磨き続けると、歯ぐきや歯の表面に負担をかけてしまう可能性があります。

基本的には毛先を磨きたい場所にきちんと当て、電動歯ブラシの動きを利用しながら少しずつ位置を移動させていきます。

製品によって推奨される使い方が異なるため、使用している電動歯ブラシの説明書を確認することも大切です。

歯ブラシだけでは落としにくい場所もあります

もう一つ知っておいていただきたいのが、手用歯ブラシでも電動歯ブラシでも、歯ブラシだけですべての汚れを取り除くことは難しいということです。

特に歯と歯が接触している部分や、その周囲は歯ブラシの毛先だけでは清掃しにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシなどを併用することが重要です。

「高性能な電動歯ブラシを買ったからフロスはしなくても大丈夫」というわけではありません。

電動歯ブラシはあくまでも「歯ブラシ」の一つです。

歯ブラシで歯の表面や歯ぐきとの境目を磨き、歯と歯の間にはフロスや歯間ブラシを使用する。このように、それぞれの道具が得意とする場所を使い分けることで、より効果的なセルフケアにつながります。

大切なのは「何を使うか」より「どう磨くか」

「おすすめの電動歯ブラシはありますか?」と聞かれることがありますが、その前にぜひ確認していただきたいことがあります。

それは、今の歯磨きでどこに磨き残しがあるのかということです。

どれだけ高価で高性能な電動歯ブラシを使用していても、毎回同じ場所に毛先が当たっていなければ、その部分にはプラークが残ります。

一方で、一般的な手用歯ブラシでも、自分のお口の特徴を理解し、毛先を適切な場所に当てて丁寧に磨くことができれば、毎日のセルフケアの質を高めることができます。

そのため私たちは、まず基本的なブラッシング方法を身につけることをおすすめしています。

そして基本ができたうえで、「もう少し効率よく磨きたい」「電動歯ブラシを使ってみたい」という場合に取り入れるのが良いと思います。

自分では「磨けている」と思っていても…

歯磨きの難しいところは、「磨いた」と「磨けた」が必ずしも同じではないことです。

毎日朝晩きちんと歯磨きをしている方でも、実際にお口の中を確認すると、毎回ほぼ同じ場所に汚れが残っていることがあります。

これは歯磨きをしていないわけではなく、自分では気づきにくい「磨き方の癖」があるためです。

例えば右利きの方と左利きの方では磨きやすい場所が異なることがありますし、歯並びや被せ物の有無、歯ぐきの状態などによっても磨く際に注意すべきポイントは変わります。

だからこそ、定期的なクリーニングでは単に歯石や着色を落とすだけではなく、普段どこに汚れが残っているのかを確認することも非常に重要です。

自分の磨き残しの傾向が分かれば、「次からここを意識して磨こう」とセルフケアを改善できます。

電動歯ブラシを使っている方もぜひご相談ください

現在電動歯ブラシを使っている方は、無理に手用歯ブラシへ変更する必要はありません。

きちんと磨けているのであれば、そのまま使用していただいて問題ありません。

ただ、「電動歯ブラシを使っているから大丈夫」と安心するのではなく、一度本当に磨けているか確認してみることをおすすめします。

THE DENTALでは、患者さん一人ひとりの歯並びや歯ぐきの状態、普段の磨き方などを確認しながら、歯ブラシの当て方や磨き残しやすい場所についてお伝えしています。

手用歯ブラシでも電動歯ブラシでも、一番大切なのは道具そのものではありません。

自分のお口の中を理解し、必要な場所にきちんと歯ブラシを当てられること。

まずは手用歯ブラシで基本的な磨き方を身につけ、そのうえで必要に応じて電動歯ブラシを上手に取り入れていきましょう。

「今の磨き方で本当に大丈夫かな?」「電動歯ブラシを買ったけれど、正しく使えているか分からない」という方は、定期検診やクリーニングの際にお気軽にご相談ください。

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