2026.09.06 診療コラム

鎌型スケーラーって何をしているの?歯のクリーニングで使う器具のお話

こんにちは。THE DENTALです。

歯科医院でクリーニングを受けていると、歯科衛生士が細い金属製の器具を使って、歯の表面を「カリカリ」と触っていることがあります。「何をしているんだろう?」「歯を削っているのかな?」と気になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、歯科医院で歯石を除去するときに使用する器具のひとつ、「鎌型スケーラー」についてご紹介します。

鎌型スケーラーとは?

鎌型スケーラーは、その名前の通り先端部分が鎌のような形をした歯科用の器具です。英語では「シックルスケーラー(Sickle Scaler)」と呼ばれています。

先端は非常に細く、歯の形や歯と歯の間に合わせて操作できるように作られています。

見た目だけを見ると、「こんな尖った器具を歯に当てて大丈夫なの?」と思われるかもしれません。しかし、歯科衛生士は刃の角度や力加減を調整しながら、歯そのものを削るのではなく、歯の表面に付着した歯石を取り除くために使用しています。

鎌型スケーラーで何を取っているの?

主に除去しているのが「歯石」です。

毎日の歯磨きで取り除ききれなかった歯垢(プラーク)が歯の表面に残っていると、唾液に含まれるカルシウムなどの成分によって徐々に硬くなり、「歯石」へと変化します。

歯垢の段階であれば歯ブラシで取り除くことができますが、一度硬い歯石になってしまうと、通常の歯磨きだけで取り除くことは困難です。

そこで歯科医院では専用の器具を使用します。そのひとつが鎌型スケーラーです。

鎌型スケーラーの刃先を歯石の下側に適切に当て、歯の表面に沿って動かすことで、付着している歯石を剥がすように除去していきます。

クリーニング中に「カリッ」「カリカリッ」とした感覚がある場合には、このように歯石を取り除いていることがあります。

歯を削っているわけではありません

患者さんから時々、「あのカリカリする器具で歯も削れてしまわないんですか?」と聞かれることがあります。

基本的には、歯を削るための器具ではありません。

虫歯治療で歯を削るときに使用する回転する器具とは異なり、鎌型スケーラーは歯の表面に付着している歯石などを取り除くための器具です。

もちろん、どの器具も正しい使い方をすることが重要です。歯科衛生士は歯石の位置や量、歯の形、歯ぐきの状態などを確認しながら、刃先の向きや角度、力加減を調整して使用しています。

「カリカリしている=歯を削っている」というわけではありませんので、ご安心ください。

どうしてあんなに先端が細いの?

鎌型スケーラーの特徴のひとつが、細く鋭い先端です。

歯石は歯の正面だけに付着するわけではありません。特に歯と歯の間など、歯ブラシが届きにくい場所には歯垢が残りやすく、その結果として歯石が形成されることがあります。

このような細かい部分に付着した歯石を除去するためには、歯ブラシのような大きな器具では十分に届きません。

鎌型スケーラーの細い先端を利用することで、歯と歯の間などの細かな部分にもアプローチすることができます。

つまり、あの特徴的な形にはきちんと理由があるのです。

超音波スケーラーとは何が違うの?

歯科医院のクリーニングでは、鎌型スケーラーのような手で操作する器具だけでなく、「超音波スケーラー」という器具を使用することもあります。

超音波スケーラーは、先端を細かく振動させながら歯石を除去する器具です。使用中に「キーン」という音がしたり、水が出たりする器具をイメージしていただくと分かりやすいと思います。

広い範囲に歯石が付着している場合などには、超音波スケーラーを使用することで効率よく歯石を取り除くことができます。

一方で、歯と歯の間などの細かな部分や、残っている歯石を確認しながら丁寧に除去したい場合には、鎌型スケーラーなどの手用器具が活躍します。

どちらか一方だけが優れているというわけではなく、歯石の付着状況や場所、お口の状態に応じて器具を使い分けています。

なぜ歯石を取る必要があるの?

「歯石が付いていても痛くないから、そのままでもいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、歯石の問題は単に見た目だけではありません。

歯石の表面はザラザラしており、その周囲には新しい歯垢が付着しやすくなります。歯垢の中には多くの細菌が存在しているため、歯ぐきの近くに歯石や歯垢が残った状態が続くと、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。

最初は歯磨きのときに出血する程度だったとしても、炎症が長期間続けば歯周病が進行し、歯を支えている骨にまで影響する可能性があります。

歯周病は進行しても強い痛みが出ないことがあるため、「特に困っていないから大丈夫」と思っているうちに進行してしまうこともあります。

だからこそ、歯石を定期的に取り除き、歯垢が付着しにくい環境を維持することが大切です。

歯石を取ったあとに隙間ができたように感じることも

クリーニング後、「歯と歯の間が広くなった気がする」「歯石を取ったら隙間ができた」と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、基本的にはクリーニングによって歯を削って隙間を作ったわけではありません。

もともと存在していた歯と歯の間のスペースに歯石が入り込んでいた場合、その歯石を取り除くことで本来の隙間が見えるようになることがあります。

特に歯石が多く付着していた場合には、除去後に舌で触った感覚が大きく変わるため、「歯が小さくなった」「隙間が増えた」と感じることがあります。

これは歯石がきちんと除去されたことで感じる変化のひとつです。

毎日の歯磨き+歯科医院でのクリーニングが大切です

歯科医院で歯石をきれいに取り除いても、その後の歯磨きが不十分であれば、再び歯垢が付着し、歯石が形成されてしまいます。

そのため、お口の健康を維持するうえで最も重要なのは、やはり毎日のセルフケアです。

歯ブラシだけでなく、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシなども使用し、歯と歯の間まで汚れを残さないようにすることが大切です。

ただし、ご自身の歯磨きだけですべての汚れを完璧に取り除くことは簡単ではありません。特に一度歯石になってしまったものは歯ブラシでは除去できないため、定期的に歯科医院で確認してもらいましょう。

まとめ

歯科医院でクリーニング中に使用している「鎌型スケーラー」は、歯を削るための器具ではなく、主に歯の表面に付着した歯石を取り除くための専用器具です。

あの独特な鎌のような形にも意味があり、歯と歯の間など細かな部分の歯石を丁寧に取り除くために使用しています。

普段クリーニングを受けていると、口の中で何をされているのか分からず、不安に感じることもあると思います。「今使っている器具は何だろう?」「何をしているんだろう?」など、気になることがありましたらお気軽にお尋ねください。

THE DENTALでは、患者さまのお口の状態に合わせてクリーニングやセルフケアのアドバイスを行っています。定期的なクリーニングと毎日の歯磨きを組み合わせて、一緒に健康なお口の状態を維持していきましょう。

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