2026.09.07 診療コラム

プラークはどうやってできる?歯を磨いたあとから始まるプラーク形成の流れ

こんにちは。THE DENTALです。

歯科医院で「プラークが残っていますね」「歯垢が付いていますね」と言われたことがある方は多いのではないでしょうか。

プラークは虫歯や歯周病と深く関係するため、歯科医院では必ずと言っていいほど登場する言葉です。しかし、「そもそもプラークって何?」「食べかすとは違うの?」「歯磨きをしてから、どのくらいでできるの?」と聞かれると、意外と知らないことも多いと思います。

実はプラークは、単なる食べかすではありません。そして、歯をきれいに磨いた直後から、お口の中では次のプラーク形成に向けた変化が始まっています。

今回は、プラークがどのように作られていくのかを順番にご紹介します。

そもそも「プラーク」とは?

プラークは日本語では「歯垢」と呼ばれています。

白色や黄白色のネバネバとした物質で、歯の表面や歯と歯ぐきの境目などに付着します。

見た目だけでは食べかすのように感じるかもしれませんが、プラークと食べかすはまったく同じものではありません。

プラークの正体は、たくさんの細菌が集まって形成された「細菌のかたまり」です。

プラーク1mgの中には非常に多くの細菌が存在するとされており、その細菌が作り出す酸や毒素などが、虫歯や歯周病の原因となります。

つまり、お口の健康を維持するうえでは「食べかすを取る」というよりも、「細菌が集まって形成されたプラークを取り除く」という意識が重要なのです。

歯を磨いた直後はツルツル。でも、その直後から変化が始まります

歯磨きや歯科医院でのクリーニングをした直後、歯の表面を舌で触るとツルツルしていますよね。

しかし、そのきれいな状態が何も変化せず維持されているわけではありません。

歯の表面では、歯磨き後の比較的早い段階から唾液に含まれるさまざまな成分が付着し始めます。

その結果、歯の表面に非常に薄い膜が形成されます。

これを「ペリクル」と呼びます。

STEP1 まず「ペリクル」が形成される

ペリクルは、唾液に含まれるタンパク質などによって歯の表面に形成される薄い膜です。

歯をきれいにした後でも比較的早く形成されます。

「膜ができる」と聞くと悪いもののように感じるかもしれませんが、ペリクル自体がプラークというわけではありません。

ペリクルには歯の表面を保護する役割もあります。

一方で、このペリクルは細菌が歯の表面に付着するための足場にもなります。

ここからプラーク形成が始まっていきます。

STEP2 ペリクルに細菌が付着する

ペリクルが形成されると、そこにお口の中に存在している細菌が付着し始めます。

私たちのお口の中には、普段から非常に多くの種類の細菌が存在しています。

「細菌がいる=すぐに病気」というわけではありません。健康なお口の中にもさまざまな細菌が存在しています。

問題になるのは、その細菌が歯の表面に付着し、増殖して集団を形成していくことです。

最初に付着した細菌を足場として、さらに別の細菌が付着していきます。

少しずつ仲間を増やしながら、歯の表面に細菌の集団が作られていくのです。

STEP3 細菌同士が集まり「バイオフィルム」を形成する

歯の表面に付着した細菌は、そのまま単独で存在しているわけではありません。

細菌が増殖し、お互いに集まりながら、ネバネバとした物質に覆われた集合体を形成していきます。

これを「バイオフィルム」と呼びます。

身近なものに例えると、排水口などにできるヌルヌルとした膜をイメージすると分かりやすいかもしれません。

もちろん、お口の中のバイオフィルムと排水口の汚れがまったく同じものという意味ではありませんが、「細菌が集まり、粘着性のある膜状の構造を作る」という点ではイメージしやすいと思います。

このような状態になってくると、単純に水で口をゆすぐだけでは簡単に取り除くことができません。

そこで必要になるのが歯ブラシによる機械的な清掃です。

STEP4 プラークが成熟していく

プラークを取り除かずにそのままにしていると、内部で細菌がさらに増殖し、構成する細菌の種類や環境も変化していきます。

つまり、プラークは「付いたらずっと同じ状態」ではありません。

時間の経過とともに成熟していきます。

特に歯と歯ぐきの境目にプラークが残っている状態が続くと、細菌の影響によって歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。

最初に現れやすいのが、歯ぐきの赤みや腫れ、歯磨きをしたときの出血です。

「歯磨きをすると血が出るから、そこは磨かないようにしています」という方もいらっしゃいますが、プラークによる炎症が原因となっている場合には、汚れが残り続けることでさらに炎症が続いてしまうことがあります。

歯ぐきから出血する場合には、一度歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

プラークは「うがい」だけでは落とせません

プラークの特徴として非常に重要なのが、歯の表面にしっかりと付着しているということです。

食後にお水で口をゆすぐことは、お口の中をさっぱりさせたり、大きな食べかすを流したりすることには役立ちます。

しかし、すでに歯の表面に形成されたプラークを、うがいだけで十分に取り除くことはできません。

プラークを取り除くために基本となるのは、歯ブラシを歯の表面にきちんと当てて動かす「機械的な清掃」です。

これが毎日の歯磨きが重要な理由のひとつです。

歯ブラシだけでは届きにくい場所もあります

プラークは歯の平らな部分だけに付着するわけではありません。

特に残りやすいのが、

・歯と歯の間
・歯と歯ぐきの境目
・奥歯の後ろ側
・歯並びが重なっている部分
・被せ物や詰め物の周囲

などです。

こうした場所は、普通に歯ブラシを動かしているだけでは毛先が十分に届かないことがあります。

特に歯と歯の間は、歯ブラシだけでは清掃が難しい部分です。

そのため、お口の状態に合わせてデンタルフロスや歯間ブラシなどを併用することが大切です。

ただし、「フロスと歯間ブラシのどちらを使えばいいのか」「歯間ブラシはどのサイズが合っているのか」は、歯並びや歯ぐきの状態によって異なります。

分からない場合は、クリーニングの際に歯科衛生士へお気軽にご相談ください。

プラークと歯石は何が違うの?

プラークと一緒によく聞く言葉が「歯石」です。

この2つは同じものではありません。

プラークは細菌を主体とした、やわらかく粘着性のある汚れです。そのため、適切に歯ブラシなどを使用すればご自身で取り除くことができます。

一方、プラークが取り除かれずに残り、唾液などに含まれるカルシウムやリン酸といった成分の影響を受けて石灰化すると、硬い「歯石」へと変化していきます。

歯石になってしまうと、通常の歯ブラシでは取り除くことができません。

そのため、歯科医院で専用の器具を使用して除去する必要があります。

以前ご紹介した「鎌型スケーラー」なども、この歯石を除去するために使用する器具のひとつです。

「食べたらすぐプラークになる」というわけではありません

プラークについて知っておいていただきたいのは、食べ物そのものがそのままプラークになるわけではないということです。

歯の表面にペリクルが形成され、そこに細菌が付着し、増殖し、細菌同士が集まってバイオフィルムを形成していく。

このような段階を経てプラークが形成されていきます。

そのため、「食べかすを取ったから大丈夫」というだけでは十分ではありません。

歯の表面に付着しているプラークを、歯ブラシやフロスなどを使って物理的に取り除くことが重要です。

プラークをゼロにするより「毎日リセットする」ことが大切

お口の中には常に細菌が存在しているため、プラークを永久にゼロの状態にすることはできません。

歯をきれいに磨いたとしても、ペリクルが形成され、再び細菌が付着していきます。

だからこそ重要なのが、「毎日の歯磨きで定期的にリセットする」という考え方です。

プラークが成熟していく前に、歯ブラシやフロスなどで物理的に取り除く。

そして、ご自身では磨きにくい場所や歯石になってしまった部分については、歯科医院で定期的に確認・クリーニングする。

この繰り返しが、虫歯や歯周病を予防する基本になります。

まとめ

プラークは単なる食べかすではなく、歯の表面に細菌が付着し、増殖することで形成される「細菌の集合体」です。

歯をきれいにした後、歯の表面には唾液由来のペリクルが形成されます。そこに細菌が付着し、さらに別の細菌が集まり、徐々にバイオフィルムとして成熟していきます。

そのため、歯磨きの目的は「食べたものを取り除くこと」だけではありません。

歯の表面に付着したプラークを物理的に取り除き、細菌の集合体を毎日リセットすることが非常に重要です。

THE DENTALでは、クリーニングで汚れを取り除くだけでなく、患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせて、歯ブラシの当て方やフロス・歯間ブラシの使い方などもお伝えしています。

「毎日磨いているのにプラークが残っていると言われる」「どこが磨けていないのか分からない」という方も、ぜひ定期検診の際にご相談ください。

毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なチェックを組み合わせて、虫歯や歯周病になりにくいお口の環境を一緒に作っていきましょう。

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