JOURNAL
歯磨きをしないとどうなる?1日・数日・数週間でお口の中に起こる変化
皆さま、こんにちは!THE DENTAL歯科助手の伊東です。
「今日は疲れたから歯磨きしなくてもいいかな」「1日くらい磨かなくても大丈夫でしょ」と思ったことはありませんか?
もちろん、たった1回歯磨きを忘れたからといって、翌朝突然大きな虫歯ができたり、歯が抜けたりするわけではありません。
しかし、歯磨きをしない時間が長くなればなるほど、お口の中では少しずつ変化が起こっています。
今回は「歯磨きをしないと実際にどうなるのか?」について、時間の経過とともにお口の中で起こる変化と、「どのくらいになったら歯医者に行った方がいいのか」という具体的な受診の目安までわかりやすく解説していきます。
そもそも歯磨きは何のためにするの?
歯磨きの大きな目的は、歯の表面に付着した「プラーク(歯垢)」を取り除くことです。
プラークは食べかすだと思われることがありますが、実際には細菌のかたまりです。歯の表面を舌で触ったときに、少しザラザラしたり、ヌルヌルしたりすることがあります。この中には非常に多くの細菌が存在しています。
食事をすると、お口の中の細菌は糖分などを利用して活動します。その結果、酸が作られて歯が溶けやすい環境になったり、歯ぐきに炎症を起こしたりします。
つまり歯磨きは、単純に「食べかすを取るため」に行っているのではなく、虫歯や歯周病の原因となる細菌の集まりを取り除くために行っているのです。
歯磨きを1日しなかったらどうなる?
1日歯磨きをしなかったからといって、すぐに大きな虫歯になるわけではありません。
しかし、歯の表面には徐々にプラークが蓄積していきます。特に汚れが残りやすいのが、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、奥歯の溝などです。
また、プラークが増えることで口臭が強くなることもあります。
朝起きたときに口の中がネバネバしたり、口臭が気になったりすることがありますよね。睡眠中は唾液の分泌量が減少するため、細菌が増殖しやすい環境になります。
そのため、「夜だけ歯磨きをしない」という習慣は特におすすめできません。
疲れていてどうしても歯磨きが面倒という日でも、できるだけ寝る前の歯磨きは行うようにしましょう。
数日間歯磨きをしないと?
歯磨きをしない状態が数日続くと、プラークの量はさらに増えていきます。この頃になると、歯ぐきにも変化が現れ始めます。
健康な歯ぐきは引き締まっていて、歯磨きをした程度では基本的に出血しません。しかし、歯と歯ぐきの境目にプラークが残り続けると、細菌によって歯ぐきに炎症が起こります。
これが「歯肉炎」です。
歯ぐきが赤くなる、少し腫れる、歯磨きをすると血が出るといった症状がみられるようになります。
「歯磨きをしたら血が出たから、傷つけないように磨かない方がいいのかな?」と思われる方もいますが、実際には汚れが残って歯ぐきに炎症が起きているケースも非常に多いです。
もちろん強く磨きすぎて出血している場合もありますので、出血が続く場合には一度歯科医院で確認してもらいましょう。
さらに放置すると「歯石」ができる
プラークを除去せずに放置していると、唾液に含まれる成分などによって徐々に硬くなり、「歯石」になります。
ここが非常に重要です。
柔らかいプラークであれば歯ブラシで取り除くことができますが、一度硬い歯石になってしまうと、基本的には自宅での歯磨きだけでは除去できません。
歯科医院で専用の器具を使用して取り除く必要があります。
さらに歯石の表面はザラザラしているため、その上に新しいプラークが付着しやすくなります。
「汚れが残る→歯石になる→さらに汚れが付きやすくなる」という悪循環が生まれてしまうのです。
長期間歯磨きをしないと歯周病へ
歯肉炎の段階であれば、適切な歯磨きや歯科医院でのクリーニングによって改善できる可能性があります。
しかし、炎症を長期間放置すると、炎症が歯ぐきだけではなく、歯を支えている骨にまで影響するようになります。
これが「歯周病」です。
歯周病が進行すると、歯を支えている骨が少しずつ失われていきます。
厄介なのは、初期から中等度の歯周病では強い痛みが出ないことも多いということです。
歯磨きをすると血が出る、口臭が気になる、歯ぐきが下がってきた、歯が長くなったように見える、歯と歯の間に物が詰まりやすくなった、といった変化があっても、そのまま放置されてしまうことがあります。
さらに進行すると歯がグラグラするようになり、最終的には歯を残すことが難しくなる場合もあります。
もちろん虫歯のリスクも高くなる
歯磨きをしないことで問題になるのは歯周病だけではありません。
プラークの中に存在する細菌が糖分を利用すると酸が作られます。その酸によって歯の表面からミネラルが失われる「脱灰」が起こります。
唾液にはそれを修復する「再石灰化」という働きがありますが、プラークが多く残り、頻繁に糖分を摂取する生活が続くと、脱灰と再石灰化のバランスが崩れてしまいます。その状態が続くことで、やがて虫歯になっていきます。
特に注意したいのが、歯と歯の間です。
歯ブラシだけでは歯と歯の間のプラークを完全に除去することは難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが重要です。
「毎日歯磨きしているのに虫歯になってしまった」という方では、歯と歯の間に汚れが残っていることも少なくありません。
口臭にも影響します
歯磨きをしない状態が続くと、口臭が強くなる可能性もあります。
お口の中に残ったプラークや舌の汚れ、歯周病などは口臭の原因になります。
マウスウォッシュを使えば一時的にスッキリするかもしれませんが、歯の表面に付着したプラークそのものがなくなるわけではありません。
大切なのは、香りでごまかすことではなく、歯ブラシやフロスなどを使って原因となる汚れを物理的に取り除くことです。
「毎日磨いている」だけでは十分ではありません
ここまで読むと「自分は毎日歯磨きをしているから大丈夫」と思われるかもしれません。
しかし、実は大切なのは「歯磨きをしたかどうか」ではなく、「プラークをきちんと落とせているかどうか」です。
毎日2〜3回歯磨きをしていても、毎回同じ場所に汚れが残っていれば、その部分では歯磨きをしていないのと近い状態になってしまいます。
特に磨き残しが多いのは、奥歯、歯と歯の間、歯ぐきとの境目、歯並びが重なっている部分などです。
人によって歯並びや磨き方の癖は違うため、「どこに汚れが残りやすいのか」も人それぞれ異なります。
歯科医院では専用の染め出し液を使用してプラークを見えるようにし、普段どこが磨けていないのかを確認することもできます。
自分ではしっかり磨いているつもりでも、実際に染め出してみると意外な場所に汚れが残っていることもあります。
どのくらいになったら歯医者に行く?具体的な受診の目安
「歯ぐきから少し血が出るくらいなら大丈夫?」「口臭だけで歯医者に行ってもいいの?」と、受診するタイミングに迷う方も多いと思います。
基本的には、痛みが出るまで待つ必要はありません。
具体的には、歯磨きをすると頻繁に歯ぐきから血が出る、歯ぐきが赤い・腫れている、以前より口臭が気になる、歯の表面を舌で触るとザラザラする、歯の根元に硬い歯石が付いている、冷たいものや甘いものがしみる、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなった、歯ぐきが下がってきた、詰め物や被せ物の周囲に違和感がある、といった変化があれば、一度歯科医院で確認することをおすすめします。
特に「歯磨きをするたびに血が出る」という状態を、いつものことだからと放置しないことが大切です。
一時的な出血ではなく、丁寧な歯磨きを続けても1〜2週間程度出血が続いている場合には、歯肉炎や歯周病、歯石の付着などがないか確認した方がよいでしょう。
また、次のような症状がある場合は「そのうち治るだろう」と待たず、できるだけ早めに受診してください。
・何もしなくても歯がズキズキ痛む
・噛むと強く痛む
・歯ぐきが大きく腫れている
・歯ぐきから膿が出る
・歯がグラグラする
・詰め物や被せ物が取れた
・顔まで腫れてきた
特に、顔の腫れに加えて発熱がある、口が開きにくい、飲み込みにくい、呼吸がしづらいなどの症状がある場合には注意が必要です。お口の中の感染が周囲に広がっている可能性もあるため、早急に歯科医院や医療機関へ相談してください。
痛くなくても定期的な受診を
「特に痛いところがないから歯医者に行かなくても大丈夫」と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、虫歯や歯周病は初期の段階では自覚症状がほとんどないことがあります。
特に歯周病は、痛みがないまま少しずつ進行することがあります。自分では問題ないと思っていても、検査をしてみると歯ぐきの炎症や歯石、歯周ポケットの深まりなどが見つかることがあります。
そのため、症状がない方でも定期的に歯科医院を受診し、虫歯や歯周病のチェック、クリーニングを受けることが大切です。
受診する頻度はお口の状態によって異なりますが、一般的には3〜6か月程度をひとつの目安として考えるとよいでしょう。
歯周病のリスクが高い方、歯石が付きやすい方、虫歯を繰り返している方、磨き残しが多い方などは、より短い間隔でのメンテナンスが必要になることもあります。
歯磨き+定期的なクリーニングが大切
毎日の歯磨きは非常に重要ですが、自宅でのセルフケアだけですべての汚れを完全に取り除くことは簡単ではありません。
特に一度歯石になってしまった部分や、自分では歯ブラシを当てにくい場所については、歯科医院でのクリーニングが必要になることがあります。
歯科医院でのクリーニングは、「汚れたから掃除する」というだけではありません。
虫歯ができていないか、歯ぐきに炎症がないか、歯周病が進行していないか、被せ物や詰め物に問題がないかなどを定期的に確認することにも意味があります。
問題が小さいうちに見つけることができれば、治療の負担を抑えられる可能性も高くなります。
まとめ
歯磨きを1回忘れたからといって、すぐに歯が悪くなるわけではありません。
しかし、歯磨きをしない時間が長くなるほどプラークが蓄積し、口臭、歯肉炎、歯石、虫歯、そして歯周病へとつながっていく可能性があります。
そして重要なのは、「歯磨きをすること」ではなく「汚れをきちんと落とすこと」です。
毎日磨いているのに歯ぐきから血が出る、口臭が気になる、歯石が付きやすい、虫歯を繰り返してしまうという方は、磨き方や使用している歯ブラシ、フロスなどがご自身のお口に合っていない可能性もあります。
そして、「痛くなったら歯医者に行く」のではなく、「痛くならないように歯医者に行く」ことも大切です。
THE DENTALでは、クリーニングだけでなく、一人ひとりの歯並びやお口の状態に合わせた歯磨き方法についてもお伝えしています。
「ちゃんと磨けているのかな?」「最近歯ぐきから血が出る」「しばらく歯医者に行っていない」という方は、ぜひ一度ご自身のお口の状態を確認してみてください。
毎日の数分間の歯磨きと定期的なチェックが、10年後、20年後に自分の歯を残すことにつながります。











