2026.09.01 診療コラム

【症例紹介】前歯の古いコンポジットレジンをダイレクトボンディングで自然に修復

皆さまこんにちは、THE DENTAL歯科助手の雛田です。

今回は、上の前歯に以前詰めたコンポジットレジンの変色と、詰め物と歯の境目が目立ってきたことを主訴に来院された患者さんの症例をご紹介します。

前歯は笑ったときや会話をしているときに非常に目立つ部分です。そのため、「虫歯ではないけれど昔治療したところの色が気になる」「詰め物をした部分だけ黄色っぽく見える」「歯と詰め物の境目が分かるようになってきた」といったご相談をいただくことがあります。

今回もまさにそのようなケースでした。

治療前|古いコンポジットレジンの変色と境目

患者さんが特に気にされていたのは、以前に前歯へ詰めたコンポジットレジンが黄色っぽく変色していること、そして天然歯と詰め物の境界が分かるようになってきたことでした。

肉眼でもある程度確認できますが、当院では拡大して撮影できる口腔内カメラを使用して細かく確認しています。

約3倍に拡大してみると、詰め物と天然歯の境界がかなり分かりやすくなっており、コンポジットレジン自体の色調変化も確認できました。

さらに気になったのが、歯と歯の間、特に歯ぐきに近い部分です。

治療前の状態では、歯と歯の間にできる黒い三角形、いわゆる**「ブラックトライアングル」**がやや不自然な形に見えていました。

単純に色だけを合わせて詰め直すのではなく、歯と歯の間の形態や表面性状まで整えることが、前歯を自然に見せるうえでは非常に重要です。

まずは「削る前」に色を確認します

前歯のダイレクトボンディングで非常に重要なのが色合わせです。

天然歯は、単純に「白色」ではありません。

歯の内側と表面では透明感や明るさが異なり、光が当たったときの見え方も変化します。そのため、白い材料を1色だけ詰めれば自然に仕上がるというわけではありません。

今回は治療を始める前に、実際に使用する材料を歯の表面に置き、

WE(ホワイトエナメル系)
A1
BL(ブリーチシェード系)

などを比較しました。

実際の口腔内で確認することで、「この患者さんの歯にはどの明るさ・透明感が自然なのか」を判断してから治療を開始しています。

特に今回は、患者さんが今後ホワイトニングも検討されているとのことでした。

そのため、現在の歯の色だけに完全に合わせてしまうのではなく、将来的に歯が明るくなった場合にも極端な違和感が出にくいよう、材料の構成も考えています。

古い詰め物を除去してダイレクトボンディングへ

色を確認した後、古くなったコンポジットレジンを除去し、新しくダイレクトボンディングによる修復を行いました。

今回は2本の前歯を治療しています。

途中でまず片側を仕上げ、その段階で周囲の天然歯との色味や透明感を確認しました。

前歯の場合、治療直後は歯の乾燥などによって色の見え方が変化することもあります。そのため、ただ材料の色番号だけで判断するのではなく、実際の口腔内で周囲とのバランスを見ながら進めていくことが大切です。

片側を修復した段階で色調に問題がないことを確認し、反対側も同様にダイレクトボンディングを行いました。

1色ではなく「2層」で自然な透明感を再現

今回の修復では、1種類の色だけで仕上げているわけではありません。

内側にはBL系の明るさを出すシェードを使用し、表層には透明感のあるWE(ホワイトエナメル)系のシェードを重ねています。

つまり、

内側:BL系
表面:WE系

という2層構造です。

天然歯も内部と表面で光の透過性が異なります。そのため、複数の性質を持った材料を重ねることで、単純に白くするのではなく、天然歯らしい奥行きや透明感を再現することを目指しています。

特に前歯では、この「白さ」と「透明感」のバランスが仕上がりを大きく左右します。

白すぎれば詰め物だけが浮いて見えますし、透明感が強すぎても暗く見えることがあります。

その患者さんの歯に合わせて調整することが重要です。

ブラックトライアングルも自然な形へ

今回、色と同じくらい意識したのが歯と歯の間の形態です。

治療前は歯ぐき付近のブラックトライアングルが少し不自然に見えていました。

そこで、新しい材料を充填した後に歯と歯の間を細かく調整し、研磨を行いました。

治療後は歯と歯の間のラインがかなり自然になり、ブラックトライアングルも目立ちにくい形態に仕上げることができました。

また、見た目だけではなく、フロスなどの補助清掃器具が引っかからないことも重要です。

前歯をきれいに見せるために材料を盛りすぎてしまうと、歯と歯の間に段差ができたり、フロスが引っかかったりする場合があります。

見た目だけではなく、患者さん自身が日常的に清掃しやすい形態に仕上げることもダイレクトボンディングでは大切にしています。

「プラスチックの詰め物」と何が違う?

一般的に保険診療などで使用されるコンポジットレジンも非常に優れた材料ですが、長期間使用していると、材料の種類や口腔内環境によっては着色や摩耗、表面性状の変化などが生じることがあります。

今回のダイレクトボンディングでは、セラミック成分を高配合した審美修復用の材料を使用しています。

これによって、表面を非常に滑らかに研磨しやすく、適切に仕上げることで光沢感を出しやすいというメリットがあります。

また、前歯では色だけでなく、光沢や透明感が天然歯とのなじみ方に大きく影響します。

ただし、ダイレクトボンディングも人工材料である以上、絶対に変色しない、絶対に欠けない、二次虫歯にならないというものではありません。

噛み合わせや食生活、ブラッシング、着色性の高い飲食物、メンテナンス状況などによって経年的な変化は起こり得ます。

だからこそ、治療後も定期的に状態を確認していくことが大切です。

今回の治療費について

今回の症例では、前歯2本にダイレクトボンディングを行いました。

1本 35,000円+税
2本合計 70,000円+税(税込77,000円)

となります。

また、当院では今回のようなダイレクトボンディングについて1年間の保証期間を設けています。

保証条件の範囲内で、治療後に材料の不具合などが認められた場合には対応させていただきます。

※治療費や保証内容は治療部位・症例・使用材料などによって異なる場合があります。詳しくは診察時にご確認ください。

前歯の詰め物の変色が気になったら

前歯の古い詰め物は、痛みがなくても少しずつ色や表面の質感が変化し、「昔は気にならなかったのに最近境目が目立つようになった」と感じることがあります。

特に写真を撮ったときや鏡を近くで見たときに、

「前歯の一部分だけ黄色い」
「詰め物と歯の境目が見える」
「歯と歯の間が黒く見える」
「フロスが引っかかる」
「昔治療した前歯をもっと自然にしたい」

と感じる場合には、一度状態を確認してみてもよいと思います。

すべてのケースでダイレクトボンディングが適しているわけではなく、詰め物の大きさや虫歯の範囲、噛み合わせによってはセラミックなど別の方法が適していることもあります。

一方で、今回のように比較的限局した範囲であれば、歯を削る量をできるだけ抑えながら、色・透明感・歯の形まで調整できることがダイレクトボンディングの大きなメリットです。

今回も古い修復物の変色を改善するだけではなく、歯と歯の間の形態やブラックトライアングルまで含めて整えることで、非常に自然な仕上がりになりました。

患者さんは今後ホワイトニングも検討されているため、引き続きメンテナンスで経過を確認しながら、必要に応じて口元全体の色調も整えていければと思います。

この度は治療をお任せいただき、ありがとうございました。
今後も定期的なメンテナンスでお待ちしております。

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