2026.09.29 診療コラム

ストレスで歯が痛くなる?虫歯がないのに歯が痛む原因について

皆さまこんにちは、歯科医院THE DENTAL歯科助手の伊東です。

「仕事が忙しくなると歯が痛くなる」「疲れていると奥歯がズーンと重く感じる」「歯医者で虫歯はないと言われたのに、なぜか歯が痛い」

このような経験はありませんか?

歯が痛くなると、まず「虫歯かな?」と思う方が多いと思います。
もちろん歯の痛みの原因として虫歯は非常に一般的ですが、実は歯そのものに大きな問題がなくても、ストレスや疲労などをきっかけとして歯に痛みを感じることがあります。

今回は「ストレスと歯の痛みにはどのような関係があるのか」について、歯科の視点から詳しく解説します。

ストレスだけで歯が痛くなることはある?

結論からいうと、あります。

ただし「ストレスが直接歯を傷めている」と単純に考えるのは少し違います。

ストレスが強くなることで、無意識の食いしばりや歯ぎしりが増えたり、顎周囲の筋肉が緊張したりすることがあります。その結果、歯や歯を支えている組織、顎の筋肉などに負担がかかり、歯の痛みとして感じることがあります。

また、歯や歯周組織そのものには痛みの原因が見つからないにもかかわらず、歯に痛みを感じる「非歯原性歯痛」と呼ばれる状態もあります。

そのため「レントゲンで異常がない=気のせい」ということではありません。痛みを感じている以上、どこからその痛みが発生しているのかを考えることが重要です。

①ストレスによる「食いしばり」

ストレスと歯の痛みを考えるうえで、まず知っておきたいのが食いしばりです。
人は集中しているときや緊張しているとき、無意識に上下の歯を強く接触させてしまうことがあります。

例えば、

・パソコンで仕事をしているとき
・スマートフォンを見ているとき
・車を運転しているとき
・家事や育児に集中しているとき
・仕事上のプレッシャーが強いとき
・イライラしたり緊張したりしているとき

などです。

本来、食事や会話をしていない安静時には、上下の歯はわずかに離れているのが自然な状態です。

ところが長時間歯を接触させ続けると、一本一本の歯にはそれほど強い力をかけているつもりがなくても、歯を支えている歯根膜や周囲の組織に負担が蓄積していきます。

その結果、「噛むと痛い」「歯が浮いているような感じがする」「奥歯が重い」「特定の歯だけ違和感がある」といった症状につながることがあります。

②寝ている間の「歯ぎしり」

もう一つ注意したいのが、睡眠中の歯ぎしりです。

日本歯科医師会でも、朝起きたときの歯や顎の痛み・疲労感、歯の欠けや破折などと歯ぎしりとの関連が紹介されており、歯ぎしりに関係する要因の一つとしてストレスも挙げられています。

寝ている間の歯ぎしりは、自分では気づいていないことも少なくありません。

「家族から歯ぎしりを指摘されたことがないから大丈夫」と思っていても、音を出さずに強く噛みしめるタイプの方もいます。

朝起きたときに、

「奥歯が痛い」
「顎がだるい」
「歯全体が疲れている感じがする」
「こめかみが重い」
「頭痛がする」

といった症状がある場合には、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが関係している可能性があります。

③歯ではなく「筋肉」が原因のこともあります

「歯が痛いから、その歯に原因がある」とは限りません。

例えば食いしばりが続くと、噛むときに使う咬筋や側頭筋などの筋肉が緊張します。

筋肉に疲労や痛みが生じると、その痛みを脳が「歯の痛み」として認識することがあります。これを関連痛と呼びます。

特に奥歯の痛みとして感じるケースでは、実際には歯ではなく、噛むための筋肉が原因となっている場合があります。

このような場合、痛いと感じる歯を削ったり神経を取ったりしても、原因が筋肉側にあるため症状が改善しない可能性があります。

だからこそ、原因がはっきりしない歯の痛みに対しては、いきなり大きな治療をするのではなく、本当にその歯が原因なのかを慎重に確認することが非常に重要です。

④「非歯原性歯痛」という歯の痛み

歯や歯周組織に明らかな原因がないにもかかわらず、歯に痛みを感じる状態を「非歯原性歯痛」といいます。

少し聞き慣れない言葉ですが、日本口腔顔面痛学会でも診療ガイドラインが作成されている歯科医療の一分野です。

原因には筋肉からの関連痛、神経に関係する痛み、頭痛に関連する痛みなどさまざまなものがあります。また心理社会的な要因、つまり強いストレスなどが痛みに影響しているケースもあります。

重要なのは、「歯に異常がないから痛みは存在しない」というわけではないということです。

痛みを感じる仕組みは非常に複雑です。

歯科医院でレントゲンを撮っても虫歯が見つからない、神経にも大きな異常がない、それでも痛みが続く場合には、歯だけではなく筋肉や神経なども含めて原因を考える必要があります。

では、ストレスが原因だと思ったら放置していい?

これはおすすめできません。

「最近ストレスが多いから、この歯の痛みもきっとストレスだろう」と自己判断することには注意が必要です。

なぜなら、本当に虫歯や歯周病、歯の根の炎症、歯の破折などが存在している可能性があるからです。

特に、

・冷たいものや温かいものが強くしみる
・何もしなくてもズキズキする
・夜眠れないほど痛い
・噛んだときに特定の歯だけ強く痛む
・歯ぐきが腫れている
・膿が出る
・歯が大きく欠けている
・日に日に痛みが強くなっている

といった症状がある場合には、一度歯科医院で確認することをおすすめします。

まず虫歯や歯周病、根の病気など「歯そのものに原因がある痛み」を除外したうえで、食いしばりや筋肉、非歯原性歯痛などの可能性を考えていくことが大切です。

食いしばりを減らすにはどうしたらいい?

日中の食いしばりについては、まず「自分が歯を接触させていることに気づく」ことが大切です。

パソコンやスマートフォンを使っているとき、ふと自分の口元を確認してみてください。

上下の歯が接触していませんか?

食事や会話をしていないときには、「唇は閉じても歯は離す」という状態を意識してみましょう。

デスクやパソコンの近くに「歯を離す」などと書いた付箋を貼っておき、目に入ったら顎の力を抜くという方法もあります。

また、ストレスそのものを完全になくすことは難しいと思いますが、十分な睡眠、適度な運動、入浴、ストレッチなどによって緊張を和らげることも一つの方法です。

ナイトガードを使用することもあります

睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが強い場合には、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを使用することがあります。

ナイトガードを装着したからといって、必ず歯ぎしりそのものがなくなるわけではありません。

目的の一つは、歯ぎしりや食いしばりによって歯に加わる負担から歯を守ることです。

強い歯ぎしりが長期間続くと、歯がすり減ったり、欠けたり、詰め物や被せ物が壊れたりすることがあります。場合によっては歯に亀裂が入ることもあります。

特にセラミックなどの被せ物が多い方や、すでに歯の摩耗が進んでいる方については、歯を長期的に守るという意味でもナイトガードを検討することがあります。

「痛い歯=悪い歯」とは限りません

歯科治療では、痛みの原因を見極めることが非常に重要です。

虫歯が原因であれば虫歯を治療する必要がありますし、根の先に炎症があれば根管治療などが必要になることがあります。

一方で、食いしばりや筋肉からの関連痛が原因であれば、歯を削っても原因は解決しません。

特に「レントゲンでは問題がないのに痛い」「治療したのに痛みが続いている」「忙しい時期だけ歯が痛くなる」「痛い歯が毎回変わる」といったケースでは、歯以外の原因についても考える必要があります。

まとめ

ストレスが強くなると、無意識の食いしばりや歯ぎしりが増え、歯や歯を支える組織、顎周囲の筋肉に負担がかかることがあります。その結果、虫歯がなくても「歯が痛い」「噛むと違和感がある」「奥歯が重い」と感じることがあります。

また、歯そのものに原因がない「非歯原性歯痛」という痛みも存在します。

ただし、歯が痛いからといって最初から「ストレスが原因」と決めつけることはできません。虫歯、歯周病、歯の根の炎症、歯の破折など、治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。

まずは歯科医院で歯や歯周組織に問題がないかを確認し、そのうえで食いしばりや歯ぎしり、顎周囲の筋肉、非歯原性歯痛などの可能性を考えていくことが大切です。

「最近忙しくなると歯が痛い」「歯医者では異常がないと言われたけれど痛みが続いている」「朝起きると歯や顎が疲れている」という方は、一度歯科医院で相談してみてください。

THE DENTALでは、痛みのある部分だけを見るのではなく、歯や歯ぐきの状態、噛み合わせ、食いしばりや歯ぎしりの可能性なども含めて確認し、痛みの原因を考えていきます。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

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